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カテゴリ:高校時代
たった一人、私にはライバルがいた。
いや、私は、ライバルなんていなかった 誰も、意識なんてしなかった。 一人ですっくと、生きていた。と、思いたかったが、 じっと、心の中をのぞくと、残念だが、彼女はライバルだったと 認めないわけには、いかない。 その娘は、転校生だった。 育ちの良さそうな、品の良い美人の姉妹だった。 妹は、かわいい美人で、 私の同級生の姉のほうが、大人っぽい美形だった。 二人は、目立って、 たちまち取り巻きができた。 実は、私は、いつもいつもでは無いが、まあ大抵は、一匹狼だった。 人が、煩わしくて、うっとうしくて、みんなで、がやがやと 心を合わせて物事をするのが、嫌いだったのだ。 誰かが「一緒にしましょう?」と、誘ってくるのがいやだった。 さっと、ひと目に触れないように、身をひるがえして行動し、 食堂に行くのも一人でさっと行って、食べてしまい、誰かに、 「一緒に教室にかえりましょ?」と、声をかけられたら、 いやだなと、内心思うのだった。 ところが、その転校生は、 がやがやとみんなで、行動し、ちやほやされるのを楽しんでいるのだ。 「低次元に、友人をはべらせて、何だろう?」と、 その頃の私には理解できなかった。しかも、 きゃぴきゃぴ遊んでいるのに、成績は、上位なのだった。 ある日、何だったか忘れたが、私が、彼女のご機嫌をそこねたらしい。 取り巻きの連中が、私をにらみながら、聞こえよがしに私に文句を 言っているので分かったのだ。 もとよりそんなことは、自分の本心であるはずもなかったので、 すぐに、私は一通の手紙を書いた。 誤解がとけ、それっきり手下の矛先は、収まった。 25年前に電話で、話しをするチャンスがあった時、 彼女が 「あのころ、貴女とは、気持ちのずれがあったけど、 今、うれしい言葉を掛けてくれて、ほっとした」 と、言ったので、 私のことを、ライバルと思っていたらしいことが分かった。 いやいや、 本当を言えば、自分は、全部彼女に負けていたんだが、 歯牙にもかけていないふりをしていただけだ。 彼女が銀行家の跡継ぎのハンサムな遊び人と恋愛結婚して、 離婚後、 また、40才のころ、年下の男と再婚し、 また、別れたことを、最近知った。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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