夫の父親が75才の誕生日のころは、
私達の一番輝かしい時代だった。
親孝行をしたいと思い、夫の両親や、妹達を呼び式典をした。
そして、蟹料理のお店に行き、蟹づくしのお料理でお祝いをした。
それから、皆を引き連れて四国に小旅行をした。
小豆島から、高知、徳島などを回った。
義父は80才で亡くなったんだから、その5年前だ。
ちょっと、元気は無かったと思う。
しかし、私達は若くて元気いっぱいだったから、
父を車椅子に乗せ、どこどこまでも引っ張っていった。
ある宿で、食事中に父は、「くるしい=」と言って、倒れた。
食べ物が喉に詰まったのだ。
みんなで背中をさすったりしていると、
「ああ、楽になりました。ありがとう」と言って息を吹き返した。
それから、両親と、1ヶ月ほど一緒に暮らした。
父はそのとき、少し太った。
あちこちに連れて行っても、あまり、うれしそうではなかった。
父は、体が辛かったのだったが、
私達は、あまりにも若くて元気だったから、
父の体が、辛いという感じが、あまりつかめていなかった。
仕方がない。
親孝行したいとき、義父は、もう、弱っていたんだ。
今の夫よりも若かったのに、何と!年取って見えたことか!