父の世話に明け暮れ、母が一人でがんばって暮らしていた頃の事。
母は、何でもおおざっぱな人で、たとえば卵を買うにしても、
段ボールに一箱買う。私達娘が、「こんなに買ってどうするの?」
と、詰め寄っても、どこ吹く風だ。
彼女には彼女の言い分があった。
母は、病んだ夫の世話で疲れ切っていたし、
買い物に行くチャンスもあまりない。
「買えるときにたくさん買っておかないと、飢え死にしないとも限らない」
と、言うのだ。
その頃、たまたま近所に引っ越しして来ていた私は、
どんな時でも母の呼び出しには、真っ先に駆けつける親孝行?な、
娘だったんだけど、母のおおざっぱな感覚には
反映しなかったようだ。
その頃の、我が家の子供達のセリフ、
「お婆ちゃんのところで出されるものには注意しないといけないよ、
何十年前の物だか分からないからね」
まあ、冗談だけど。
ある日、母の庭にある倉庫に入ったら、草原だった。
何だろう?よくよく見ると、箱の中のジャガイモが育って
倉庫の中を蔓が占拠してしまって...