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カテゴリ:母
母は、女学校と専攻科を卒業して家に帰って来てみたら、
まわりの友人達が、皆、嫁入り前の大人になっていた。 母は、結婚という、型通りの人生に身を置くのをためらった。 もっともっと人生には何かがあるのではないかと、考えていたそうだ。 そのころ新しくひとりの友人が出来た。学生気分の抜けない2人は、 非常に気があって、2人で、いつも何かを探っていた。 大正時代と言っても、田舎ではまだまだ女性の自由はなかった。 ある日二人は、近くの街の、工場の隣に飲食店をみつけた、入って行くと、 「あんたたち、工場の娘?」 勇気を出して、 「酒と、刺身!」と言ってみた。案外すっと口から出た。 一度こう言ってみたかったのだそうだ。 2人で、お酒とお刺身を食べて、店を出ると、 「こわかったあ~~!」と、友人は言った。 次の朝、目が覚めて、 昨日はお酒を飲んだから、不良になったかな? お酒を飲む前の自分と、今の自分は、変わったかな? と、思ったが、どこも変わってないじゃないか~と 思ったりもしたのよ。と、母がおちゃめに話してくれたのは、 私が大人になって、分別のついた45才くらいの時だ。 ってゆうか、 その頃、たまたま近所に住んで、母の家に毎日世話などしに 行けたから、母の昔話のお相手ができたのだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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