長女は、こころのきれいな貧しい男性と結婚した。
初めて、我が家に夫婦で遊びに来てくれたとき、
おみやげは、<からすみ>だった。
からすみは、1つ、6千円もするから、驚いて、
貧乏人がこんなものをはりこむなんて、
無駄なことをするものだと思い、また、
その気持ちがもったいなくて、
あだやおろそかには食することができないなと思ったので、
何か記念日に食べようと、大切に、その日が来るのを待っていた。
ある日とうとうその日が訪れた。
めったに顔を出さない夫の兄が、我が家を突然訪問したのだ。
冷蔵庫の奥深く眠っていた<からすみ>が、陽の目をみた。
ででででも~、カビがはえていて、
ちょっとかじってみたら、とんでもない味!
食べられるような味ではなかった。嗚呼!!
長男は、心の美しい、貧しい娘と結婚した。
母ひとり娘ひとりで、ニューヨークで健気に生きて来たのだ。
ある日、
初めて我が家に妻を連れて長男が帰省した。
おみやげは、<フォワグラ>の缶詰だった。
こんな上等の物をおみやげにするなんて!もったいない!
と、思い、また、その気持ちがありがたくて、
あだやおろそかに食べられないぞと思い、
冷蔵庫の奥深くしまった。
ある日、引っ越しをすることになって、冷蔵庫内を点検した。
あの、フォアグラが出てきた。賞味期限を3年過ぎていた。
誰にも言えず、そっと捨てた。
子供達よ!ごめんなさ~~~~~~~~~~~~い!!!!
貧乏人の上に貧乏性の私、子供達のまごころを頂き損ねるの巻でした。涙