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カテゴリ:母
古いタオルの束を、雑巾に使おうと思って、広げていると
下のほうに薄い文字で、母の名前のあるタオルが出てきた。 母が晩年、入院したとき、持って行ったタオルであろう。 力もなく書いたマジックインキの文字は、かすれている。 (ああ、お母さんの字だ) 文字の所を頬にあてて 「お母さ~~ん」と、つぶやいたら、涙が出た。 66才にもなって、母が恋しくて涙を出すなんて、 ええかげんにせえ!と、思う。まあ、2秒間だったが。 私が若くて元気いっぱいだったころ、母が 「私のように、年を取ったら、タオルは、安物の薄い物が いいの。ぶ厚いのは、力が無くて、使いにくいのよ」と 言ったとき、 私は、ぶ厚いブランドのタオルにあこがれていたので、 へえ?と、思っただけだ。 今、その年齢になって、つくずく、あの時、すぐに、 薄でのガーゼのタオルを買い込んで、母に届けてあげたらよかったのに 思いつかなくて、馬鹿だったな~~と、哀しく想う。 私も、今では、タオルを3つに切って、使うほどになった。 母を、私のところに呼んだ時、きれいな新しい普通のサイズの 風呂用洗面器を用意しておいたが、 「小さな軽いのを、買ってきてほしい、大きいと使いにくいのよ」 と、言われて、驚いたことがある。 とうとう私も、小さな道具などの、ありがたみを感じる年齢にはなった。 母が、結婚したとき、 台所道具は、大きなものばかり持って行ったので、 近所で、何かイベントをするときは、いつも自分の道具を持って行って 何かと役に立ったと笑いながら話してくれたのも懐かしい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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