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カテゴリ:母
母の晩年
母を誘い旅に出た。 能登半島をドライブしていた。 途中のサービスエリアでお食事をして 窓いっぱいに広がる海を見ていた。 そこは、能登半島の千里が浜(ちりがはま)という海岸だった。 浪が、幾重にも重なって、静かによせている浜辺だ。 海の上の浪の線が、何重あるのかと数えてみると 12段もあった。すばらしい。 こういう浜の景色は、他では見られないものであった。 遠浅が広いから出来る自然の美であろう。 すぐに、すてきなアイデアが浮かんだ。 「お母さんの90才の誕生日には、私のデザインで着物を 創ってあげる。模様は、この千里が浜。 浪が幾重にも重なっているのを描くのよ。 お腹の部分から裾まで、ずっと浪の重なりを描くの。 だから、もう一回ここに取材にこなくちゃね?」と私。 すると、母は、 「春の海、夏の海、秋の海、冬の海、を何度も取材しないとだめ。 10回は、来なくちゃ」と、さらりと言った。 でも、その後 一度も行けずに88才で亡くなってしまった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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