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カテゴリ:すぐ上の姉
12月になると、長女と次女に着物を見繕って送る。
次女もようやくちびちゃんの手が離れて、 とうとう去年から お正月に晴れ着を着る我が家の習わしに戻ったようだ。 二人とも、着物のことは私にまかせっきりで、のんきに構えている。 私は、うれしい。 今年は、次女には、一人で着付けやすい「紬の小紋」に決めた。 帯と道行きコートの模様を、おそろいの柄であつらえた 楽しいアンサンブルだ。 長女には、 私の姉の晴れ着だった「色留め袖」を送ろう。 すぐ上の夏子姉さんが、この色留め袖をあつらえたのは 私の長女の結婚式に出席する為だった。 あの頃は、私も姉も40代の若さだったけれど 私の長女も、あの時の私の年齢にあと数年でなってしまう。 年月の経つのは早いものです。 倉庫で、 夏子姉さんの着物を出していると、懐かしく、 ひしひしと寂しさがつのった。 私の長女の結婚式は、私の母にとっては、 ひ孫の中での初めての結婚式だった。 今はもう、 亡くなってしまった母と兄と一番上の姉と、すぐ上の姉の4人が、 まだ元気で生きていて、揃って写真に収まった。 夏子姉さんは、いつも仕事に生きる現代的な女だったから パンツスーツで車やスクーターを乗り回していたけれど めずらしく自分の新しい着物が気に入ったらしい。 「一人で、ためつすがめつ撫でていたのよ」と、 母が私にうれしそうにウインクしたことを思い出す。 夏子姉さんがその着物に手を通したのは、 あの時が最初で最後だった。 次ぎの年に事故で植物になってしまったから。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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