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カテゴリ:大学時代
私が大学生になった時
両親は、東京の家はそのままにして、仕事の為、地方へ移った。 東京の我が家には、私とすぐ上の姉だけが残っていた。 お正月に、引っ越し先の家に帰省すると 仕事関係の人々のお年始で盛り上がっていた。 私は、お酒の席に挨拶ができるような女の子ではなかったので、 茶の間にいた。すると米屋の女主人が入ってきた。 この女性は、常に母をサポートしてくれている頼もしい女傑だった。 いつも私を可愛がってくれていた。 「お嬢さん、一緒に飲みましょうか?」と、どんと座った。 お酒の大好きな女傑は、一升瓶を前にしていた。 私と米屋の女主人は、湯飲み茶碗で飲んだ。 私は、まだ、お酒の味などは、何も知らなかったから、 いくらでも飲める気がした。ぜんぜん顔に出ない体質なのだ 「突然、泣きたくなるほどの感情がこみ上げてきた。 丁度、その頃、友人の恋人に横恋慕していた私は、 どうにもならない切なさが、酔うほどに噴出してきたのだ。 自分でも、信じられないのだが、苦しいほどの悲しみが襲いかかった。 大声で、わあわあ泣いていると、母が部屋に布団を敷いて寝かせてくれた。 枕元では、「申し訳ございません!私が悪いのです」と米屋の女主人が 平身低頭していた。 母は、濡れたタオルを私の額に当てて 「あら~~この子は、泣き上戸なのね~~」と呑気に言った。 私は全く、誰にも、叱られなかった。 でも、泣いたのは、あの時限りだ。 その後の50年間のお酒は常に楽しい。 人間は、ほんとうに悲しい時だけ、泣き上戸になるのかな? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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