すれ違いに涙。
海の向こうの取引先と電話でケンカしてしまった。内容は、言った言わない、聞いていないという、たわいもないもの。普段はFAXかメールでやりとりしているのだが、スケジュールの関係などで、事態が切迫してきて、電話でのやりとりになり、ついにブチ切レ。相手とは面識こそあまりないものの、仕事上での付き合いは長い。しかし、ある程度の気心が知れているとはいえ、やはり現地の人。東京の分刻みの仕事と中国の僻地では、スピード感やリズム感がまったく違う。(中国は今やかなりレベルが高いが、以前、ベトナムが相手だった時は、ほんとうにマイペースで、100倍苦労した)また、顔を付き合わせて打ち合わせすることができないせいか、なんとなくのまま、わかったような気になったり、伝えたような気になってしまうことが往々にしてある。文章を書くことは好きだが、私はもともと電話が大の苦手。ボキャブラリーも足りないのにムキになったりして、相手を怒らせてしまった。今まで、仕事のパートナーとして、数々の試練を共に乗り越えてきただけに、このすれ違いは私にとって、とてもショックなことだった。 受話器を置き、頭を冷やした。相手の対応もよくない点があったが、自分は間違っていないという根拠のない奇妙な確信で言いたい放題だった私もかなり悪い。自分の言葉が足りなかったこと、一方的な言い過ぎがあったことをお詫びしようと、あれこれ文面を考えていた矢先、先方から電話とメールが届き、先に詫びられてしまった。感情的にガチャン!と電話を切った後、考えていたことはだいたい同じだったようだ。しかし年齢も仕事上の立場も相手のほうが上。相手が気遣いでかけてくれた電話に受話器を握りしめながら、申しわけないやら、先に謝れなかった自分が情けないやらで、必死に涙をこらえた。先に折れてくれた相手に感謝し、このような失敗を繰り返さないよう、今回の失態をしっかり胸に刻もうと思う。