「華氏911度」鑑賞と金魚たち返還の会
今日は独立記念日の振り替え休日。クラスメイトのCと奥さんがシカゴからDCに帰ってきた。とうとう預かっていた金魚たちを返す日がきた。一緒にマイケル・ムーアの「華氏911度」を観て、夕飯を食べてから金魚の返還式、ということに。アパートのフロントにチケットがあるかどうか聞いてみた。ある系列の映画館だったら封切り10日後くらいであれば、$5で前売りチケットを買えるという特典があるのだ。残念ながらその映画館は系列外であった。しかし、フロントの彼とさっそく「華氏911度」の話になった。「俺も見たけどなかなかの映画だよ。俺はやつは好かないね」文脈から言って、「やつ」=ブッシュであった。。。映画館はかなりの混雑であった。さすがは政治都市ワシントンDC周辺といったところであろうか。映画の内容についてはこれから観る人のためにも詳しくは書かないが、一貫してブッシュ現大統領の「失政」を糾弾するものであった。プロパガンダ的要素を否めない点はあったが、政府の言動の不一致、イラクとの戦争が本当に必要であったのかという疑問を感じざるを得なかった。あの過激な映像をカットなしで日本で上映するのは難しいだろうとも思った。上映中のブッシュへの皮肉には笑い声が響き、映画終了後には拍手に包まれた。外では次の上映分のための長蛇の列ができていた。映画鑑賞後、メキシコ料理を食べながらC夫婦と映画について語り合った。語り合ったというより、私が一方的に質問しまくったと言った方が正しいかもしれない。「なぜ大統領選に関する上院への陳情をしていたのが皆黒人であったのか」「なぜ民主党を含めた、たった一人の上院議員さえもその陳情に応えなかったのか」などなど。。。渡米する前は「政治と宗教と戦争については友人と議論のテーマとしてはいけない」と自然と考えていた。しかし、アメリカに実際に来てみて、どうも様子が違うと感じた。人事組織論の授業では、文化・宗教がいかにその国の企業文化に影響を与えるかを学んだ。チームプレゼンテーションで、あるチームはキリスト教徒の韓国人が孔子のコスプレをして儒教の影響を説明した。インド人のヒンズー教についてのプレゼンはやはり熱かった。我々が個々に何を信ずるかを越えて、国際的な企業のマネージャーたるもの、彼らの思考の背景への最低限の理解が必要である。現在受講しているヘルスケアシステム入門の授業では、「ヘルスフォーラム」という分担制のプレゼンテーションが毎週あり、ブッシュ、対立候補のケリー、アメリカ医師会、その他のNGOのそれぞれの視点からの意見を発表する。これはディベートと同じで、自分の実際の支持団体に関わらずその立場をとらねばならない。ブッシュチームはブッシュのモノマネをしながら演説を行ったりしていた。けっこう似てた(笑)。彼らの白熱した議論やプレゼンテーションを聞くにつけ、自分の勉強の足りなさ、関心の低さに自省を促させられる。「何が正しいか」の議論は別にして、アメリカの学生達は何を支持するか、その理由は何かを明確に持っていることが多い。自国のことも含めて、私ももっと政治についても関心を持たないといけないな。食事後、三匹のVIPを無事返還した。任務を終えて一安心。一週間という短い付き合いだったが、ちょっと情も移ってしまったな。またCの家で会えるよね。お礼にと、シカゴの街がデザインのマグカップをもらった。シカゴが舞台の「ER」でも見ながらこのマグでコーヒーでも飲むとしよう。