誰かが言わなきゃならない

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• ドスンと座る女

     最近、女性でも列車で隣の座席にドスンと座る人が多くなった。こちらの身体は準備が出来てないから内臓にショックが来て不愉快である。埃も立っているに違いない。まるで、自分の部屋でベッドにドスンと座るような感覚でやられると「おしとやか」などという言葉はどこに行ってしまったのかと思う。  こうなったのは、畳に座る機会がなくなったからだと思う。畳に直接座るとなると、ドスンと座るわけにはいかない。足をおりたたみ、衣類の裾が広がらないようにそっと座る必要がある。ところが、椅子の生活の場合、そんなことをする必要はない。そっと座るのは痔病の人くらいだろう。伝統的な畳の間が失われたことは、人々の行動や習慣に大きな影響を与えている。

  2008.09.10

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• お礼

  　帰国に際して、多くの方々より「おかえりなさい」とのコメント頂きありがとうございました。お礼にロシアの小話をもう一つ。　釣りをする人は大体自慢話が好きだ。その中でも普段から仲間に自慢ばかりする男がいた。手を一杯に広げて「こんな大きな魚を釣った、とか「もう少しのところで逃した」などとあまり大げさな自慢するので、友人たちは彼が自慢話が出来ないようにその男の手を手首のところで縛ってしまった。すると、男は縛られたまま両方の手のひらで丸い形を作り、「俺が釣った魚は目の玉だけでもこんなに大きかった」と自慢したとさ。

  2008.09.09

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• 日本人の魔法

   　ロシア人は誇り高い人種だ。世界で始めて人工衛星スプートニクを打ち上げたように確かに能力もあり、特に物理、化学は優れている。彼等は日本の技術をうらやましがるが、決して勝てないとは思っていない。今は少し遅れを取っているが、資源大国となり豊かになったのでこれからはますます自信を深めるだろう。　ロシア人が日本で感心するのは技術そのものより工程管理などのノウハウと実行力だ。例えば、ロシアで完成真近の発電所の建設工事が長年ストップしているので、理由を尋ねると「今、完成させても、消費地に電気を送るための送電線が出来ていないので急いでやらない」との答え。　日本では発電所の計画スタートと同時に送電線の建設に取り掛かり、発電所試運転のずっと前に送電線は出来上がっているのが常識である。どうやらロシアでは共産主義のなごりもあって、そうではないらしいのだ。日本人が計画通りに建物や設備を完成させることについて、彼等は「日本人は魔法でも使っているのではないか」と感じているようなのだ。

  2008.09.09

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• ロシア紀行・鈍き黄金の輝き（２９）

    （日本へ）　公園の散歩と街の散策を終えて汗をかいたので、通訳のＣ氏のアパートに戻りシャワーを浴びる。浴室は広いのだがカーテンがないので、水が浴室中に飛び散ってしまった。荷物を詰め替えて帰路の準備をするうちに何日も降らなかった雨が降り始め、それが豪雨となった。外を見ると道路が冠水するほどの降り。たちまち見通しが悪くなる。この夕立は間もなく収まり、空港に向かう車に乗るころには完全に止んだ。　モスクワ空港は駐車場も構内も大変な混雑。チェックインのため日本人の大きな団体と一緒に列に並ぶ。ツアーコンダクターが年配客の多い一行に懸命に注意事項を話している。空港のみやげ物屋には様々な種類のウォッカがずらりと並んでいる。ウォッカやウォッカを飲むグラスなどをドルで購入した後、特別ラウンジで休む。　搭乗した飛行機は無事定刻に出発。機内食ではじめてキャビアが出る。しかし食欲は進まない。いままでロシアの脂っこくボリュームのあるものばかりだったせいか。シベリア上空でかなり揺れる。ウトウトするうちに、飛行機が乱気流に突っ込んだようで、なかなか収まらない長い地震の夢を見た。飛行機が高度を下げ始めたので、窓の外を見ると緑あふれるそして細密画のように人々の暮らしが詰まっている日本の風景が薄い雲の下に広がっていた。

  2008.09.08

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• ロシア紀行・鈍き黄金の輝き（２８）

    （生活費）　モスクワでは電気は従量制であるが、水や温水、ガスは定額制でいくら使っても同じ料金。共産主義時代の名残り。しかし、使い放題は資源の無駄遣いになっている。道路などのまわりの広い芝生は市が手入れをしているが、公園などのごみの放置はかなりひどい。　所得税は一律１３パーセント。これで金持ちはどんどん金が貯まる仕組みである。年金ではモスクワ暮らしは不可能でみんなアルバイトをしている。　モスクワでは平均月収は７００ドル程度。どんなに切り詰めても月に５００ドルは掛かる。ミルクとパンは政策価格で安く抑えられている。地方は少しましだというが、お年寄りなどの生活が苦しいことにはかわりない。年金は月に７０ドル。　これではアルバイトをせざるを得ない。特に子供の教育費が掛かる。家庭教師は大学の先生などのアルバイトになっている。とても金がかかるようだ。

  2008.09.08

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• ロシア紀行・鈍き黄金の輝き（２７）

    （素敵なアパート内部）　管理のおばさんに挨拶しながらエレベータに乗る。エレベータの内は縦長で、担架で病人を運ぶときは良いだろう。各戸のエアコンは外付け。徐々に付ける人が増えているとのこと。取り付けは屋上から吊るすようだが、万一落ちたら大事故だ。こうした大きなアパートでも屋外機を一台づつ外壁に付けている。　アパートの窓からは市内の二方向が見渡せる。遥か遠くの地平線に火力発電所が見え、とても景色が良い。というのはアパートが高台にあるのとまわりが公園で緑が多いからだ。通訳のＣ氏は金融恐慌の時に１５００万円くらいで中古でこのアパートを購入したが、今は２倍以上になっている。通訳のＣ氏のアパートは広く、天井も高い。作りも良い。　靴で入れるのだが、スリッパもおいてある。置物がいろいろある。ヨーロッパ製のガラス製品も戸棚に飾ってある。居間は大きくソファの後ろの壁に桃山時代の京都らしき風景が描かれた屏風が広げられかけられている。ソファと離れたところにテーブルセットもある。この部屋だけで１５畳くらいはある。そこで荷物の整理をさせてもらう。隣に続く部屋は食堂テーブルとキッチン。材料はステンレスと木で作られ大きな冷蔵庫も同じですっきりしたデザインである。

  2008.09.07

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• ロシア紀行・鈍き黄金の輝き（２６）

    （モスクワの高級アパート）　モスクワ市街地には一戸建の家はない。全部アパートで、ほとんどてが２０階程度の大きさである。中世を残すヨーロッパを除いて、世界中の都市が高層ビル群に変わろうというのに、モスクワは広大なフラットな都市だ。モスクワ市内には高層の建物はソ連時代に建てられたホテルや銀行など数棟あるのみ。他には放送タワーや大寺院がぽつんと見える。　ロシア人はクリーム系統と茶色の系統が好きなようである。両替は通訳のＣ氏のアパートの近くにあるスーパーの両替所がレートが良い。ホテルの両替は手数料がすごく高いことがわかる。花屋で大きなバラ５本で４７０ルーブルした。通訳のＣ氏夫人への贈り物として買う。太ったおばさんが包んでくれた。花屋といってもキオスクのような形でおばさんは窓をあけて上から渡すようなかたち。アパート群は道路からは少し離して立てている。歩道との間はグリーンゾーンで芝生と木が植えてある。これはどこに行ってもそのようになっている。ただしキオスクやスーパーは歩道に面して建っている。　アパートの前は車が雑然と置いてあるが、アウディ、ＢＭＷなど高級車が多い。たぶんこのアパートはモスクワでも相当裕福な人たちが入っているアパートである。アパートの敷地の入り口には男がいて車の出入りを管理している。また、アパートの一階にはいくつも入り口があるが、それぞれ管理のおばさんが配置されている。

  2008.09.07

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• ロシア紀行・鈍き黄金の輝き（２５）

    （モスクワの公園）　日本に向かう飛行機の出発する夕方まで時間があるのでロシア人通訳のＣ氏とモスクワの街に出ることにし、荷物をまとめ休憩するために通訳のアパートに向かう。ロシア人通訳のＣ氏は高級アパートの建っている地区に住んでいる。彼の自宅は２２階にある。その地区は公園に隣接している。この公園は南区を代表する大きなもので新宿御苑くらいはあると思われる。　公園を歩き、湧き水のところに案内されてそれを飲む。汚染の話しを思い出して不安だったので少しにしておく。広大な公園内はまったく標識もなく、道路も舗装されてない。迷子になりそうだ。金曜日の昼ではあるが、人も日本の公園のようにぞろぞろはいない。自然そのものである。そのうちの一画に女帝エカテリーナが造ろうとし、未完成に終わった宮殿を再建する工事をしている。工事現場には大勢の若い男女の労働者がいるが、顔つきが違う。聞くと旧ソ連邦の国々からの出稼ぎであるという。彼らの給料はとても安く、モスクワ市内のあるところにまとまって住んでいるようだ。　復興中の宮殿の近くにはチェスやバトミントンの広場もある。チェスをやっている年配者とそれを見ている人がいる。ロシア人はチェスが好きで世界チャンピオンもいる。この森は冬は子供たちはソリ遊び。クロスカントリーなども盛んであるという。宮殿の先にレストランがある。オープンな感じのレストランであるが、ここも一般の人は経済的になかなか来れないという。　時間は１２時近いのだが、１２時半からでないと営業しないので少し待つことに。開店時間が遅いのではというと通訳のＣ氏は客がいないのでそんなに早くは開かないとのこと。メニューを見て通訳のＣ氏勧めのポークの串焼きとサラダを注文。飲み物はビールとワイン。串焼きはまだ火が起きてないと若いボーイがいう。のんびりしたものだ。串焼きは大きくてしかもやわらかく良い肉だった。デザートを頼もうとしたらボーイが居眠りをしているのでだめ。ロシア人はこれを起したりしないのだと通訳のＣ氏が言う。

  2008.09.06

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• ロシア紀行・鈍き黄金の輝き（２４）

    （再びモスクワへ）　モスクワ行きの一番早い飛行機に乗るため、前の晩ホテルの支払いを済ませて、午前３時半に荷物を全部持って部屋を出る。９階からエレベータに乗ると次の階で女が乗ってきた。どきっとするような美しい顔立ちとみごとなプロポーション。こちらでは一般の人は着ない高そうな服装。1階までは行かず途中で降りていった。こんな時間なので多分に宿泊客ではないだろう。　車に荷物を積み込みサラトフ空港に向かう。まだ暗い空港で待つこと１時間。蚊に悩まされる。ようやく朝日が昇って、数機のジェット機と大型ヘリをシルエットに空が美しい。あっという間に夜が明ける。ここでも写真はトラブルのもとだから写せない。女性スタッフの厳しい検査の後、ようやくチェックインしたが小さな待合室で搭乗までまだ１時間ある。　待合室にはベンチ以外何もない。荷物用のベルトコンベアは腰くらいの位置にあるのだが、重いトランクを乗客に自分で持ち上げさせる。トランクの重量オーバーもしっかり料金を取られる。やっと搭乗はしたが、飛行機は滑走路の端で１０分も待つ。後で操縦士に忘れ物を届けるために待っていたことが判る。朝食としてまずい機内食を食べ、二時間ほどで無事にモスクワ空港に着陸。　車で市内に向かう。ロシアでは道路際の木の幹が白く塗ってある。虫よけのようだ。道路に雪はたいして積もらないという。風で飛んでしまうのだ。凍った道が解けるときがすべるので一番危険であるとのこと。スパイクタイヤの車は急ブレーキが効き、追突されがちなので、後続車に知らせるようにスパイクタイヤ装着中の標識を付けている。

  2008.09.06

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• ロシア紀行・鈍き黄金の輝き（２３）

    （最後のロシア料理）　夕方、ホテルでサラトフ最後の食事をする。ホテルの特別レストランは広い空間に７テーブルしかない贅沢なもの。フロアも立体的でテーブル毎にフロアの高さが違う凝った造り。男性の歌手がキーボードを弾きながら歌っている。席はほぼ一杯であるが、ここで食事を出来る人は外国人か金持ちのはずである。　いつものようにまずサラダから始まる。トマト、パプリカ、きゅうりなど。新鮮である。ロシアでは夕食は昼食とちがってスープはない。キャビアはないがチョウザメの肉があるというので注文する。サーモンと同じような切り方で出てくる。サーモンもチョウザメも切り方が分厚い。少し癖があるが食べられない味ではない。牛タンを蒸したものが、マッシュポテトを添えて出てくる。これはやわらかくて美味い。仙台の牛タンより美味しいかもしれない。サラミも出ている。黒パンはバターと言わないとバターを出してくれない。普通はつけないようだ。これはモスクワでもどこでも同じであった。　ワインはフランス産。ウクライナ産は化学物質の汚染の恐れがあるという。ビールはロシア産で十分に美味しい。ここのビールはボルガ川の海水浴場と違って良く冷えている。特別に頼んだスープはきのこが美味い。こうした素材はいいものがある。ボルシチ、ギョーザのようなものも食べる。デザートはアイスクリーム。　他の階では広い部屋に大勢の人が集まって祝賀会のようなものを開いていた。踊り子も三人ほどいて賑やかである。

  2008.09.05

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• ロシア紀行・鈍き黄金の輝き(22)

    （ボルガ川の水浴び）  モスクワに戻るためにバラコボからサラトフへ元来た道を帰る。行きに宿泊したスロバキアホテルに再び宿泊する。最初がかなりひどい部屋だったので旅行会社にクレームをつけた。今度は９階の部屋で同じように木製のしつらえだが見違えるほど快適である。風呂もちゃんとしている。眺めもよくボルガ川に掛かる橋が近くに見える。サラトフの街が一望出来る。  街は海水浴客で賑わっている。ホテルの前にはボルガ川の船着場があり、二階建ての船が何隻も横付けになり、そこが食堂になったり、ディスコになったりしている。絶えず賑やかな音楽が流れ、男女が夜遅くまで踊っている。日本の夕涼み感覚で大勢の人が川岸を歩いている。  ボルガ川に掛かる橋を通って川の中州にある海水浴場に行く。橋は一応車道と歩道が分かれているが、ところどころコンクリートがはがれ、傷みがひどい。その脇を車が絶え間なく走っている。歩道を行き交う人は海水着で、女性は１００パーセントがビキニ。ボルガ川はとても川幅が広く、３０分ほど歩いてやっと中州に着く。  中州へ降りる階段部分で係員がいて１０ルーブル取られる。中州は広く大きな木も生えている。水は生ぬるくあまり綺麗とはいえない。澄んではいるのだがごみも浮かんである。ロシア人は若い人を中心に泳いだりボールで遊んだりしている。暑いので日陰に座る。せっかくなのでひざまで川に入ってみる。  売店で生ビールを売っていたので買うことにする。泡がすごいので次の一杯を注ぐのに五分掛かると学生のアルバイトが言う。驚いたことに生ぬるい。缶ビールは売店の冷蔵庫にあったのでそちらにすべきであった。ロシアでは生ビールは衛生上もやや問題がある。

  2008.09.05

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• ロシア紀行・鈍き黄金の輝き（２１）

    （街の歴史案内人）　市内の案内人はボランティアの婦人。街の歴史館に案内してくれ街の成り立ちなど熱心に説明してくれる。こういう人は自分達の地域にとても思い入れが強い。昔使った道具などが展示されていてこれについても詳しく説明がある。菩提樹などの木でいろいろなものが作られた。楽器などもある。非常持ち出し用の長持。鍵を回すと音が出るようになっている。家々には必ず祈るためのイコン（キリストなどを板に描いたもの）があった。角材で作った家には１０人以上の大家族で暮していたという。　バラコボという川の名前が町の名前になったそうだ。小麦の生産の中心地であり、国外へ輸出もしてきた。英国のエリザベス女王はいまでもこの地方で取れた麦で作ったパンを食べているそうだ。かつては教会が五つ、銀行が五つあった。金持ちの商人が大教会も中学校も造った。国からの援助は無かった。ツァー（皇帝）の直轄領であり、豊かな土地だったので革命が起こったときもここの労働者は給与がよかったので反乱に加わらなかったという。また、第一次世界大戦の時はコーカサスに列車一台分の援助物資を送り出した。工業も盛んでディーゼル機関の製造工場がつくられた。キャタピラつきトラックはここで初めて製作されたという。　革命前は二万人の町であったが、１９１１年に市になり、いまや二十万人が住んでいる。かつては大きなチョウザメが採れたが、近年激減している。ステップ地帯は年間雨量が５００ミリ。この辺りは白亜紀には海底であったところ。地元には考古学のクラブもある。　道路は広い。歩道もあるが、舗装はほとんど剥がれているし路肩がはっきりしない。歩くとすぐに細かい砂が巻き上がる。道路が凍ることもあるが、一番危険なのは氷が解ける零度付近の頃。雪そのものはパウダースノウなので飛んでしまう。あの独特のロシアの毛皮の帽子は保温もあるが、転倒したときに頭部を保護するためだという説がある。

  2008.09.04

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• ロシア紀行・鈍き黄金の輝き（２０）

     （小話）　今、ロシアで流行っているのはこんな小話だ。　大勢の乗客を乗せた飛行機が離陸して間もなくのこと、操縦士がどうも客室の様子がおかしいことに気づいた。そこで客室に行ってみると、なんと大勢いたはずの乗客がいない。たった一人だけ男が壜を抱えてしくしくと泣いている。（空の上だからそんなことはありえないのだがそこが小話）　操縦士が驚いてその男に「どうしたのだ」と聞くとその男が「みんな配られた飲み物を飲んで空壜を返しに行った。（空壜を返すと金をくれる制度が最近始まったので）」と言う。「それではキミはどうして泣いているのか」と操縦士が尋ねるとその男は「自分もそうしたかったのだが、壜が割れてしまったので、金が貰えず悲しくて泣いているのだ」と答えた。　資源リサイクル制度が出来て、みんなが壜と交換で金を貰うことに夢中になっている様を風刺した小話。でも小話は書いたものを読むより、聞いた方がやっぱり面白い。 

  2008.09.04

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• ロシア紀行・鈍き黄金の輝き（１９）

    （ウオッカの一気飲み）　ロシア人は小話が好きだ。宴席でのスピーチ代わりにこの小話をやる。終わると皆で立ち上がってウオッカを一杯一気飲みする。アルコール類は食時中、いつ飲んでもいいわけではなく、この乾杯のときだけＯＫ。次々に立ち上がって小話をして乾杯を繰り返すので、グラスが小さいとはいえ、結構な量を飲むことになる。ロシア人は飲んべいが多いので、飲みたいがために進んで立ち上がって小話をするのではないかと思うくらいに積極的だ。　ウオッカは無色透明。水と見分けがつかないがとても強い酒だ。よく冷やしたウオッカを小さなグラスで一気飲みすると、抵抗無く水を飲むように飲めてしまう。と次の瞬間、胃の中で小爆発が起きてパッと上半身が熱くなる。それでもしばらくすると収まってほろ酔い気分になる。落ち着いたころにまた、乾杯が繰り返される。　小話はフランスの小話のようにウィットに富んだものでも、イギリスのように皮肉っぽいものでもなく、風刺それも政治や現代の世相を攻撃するものが多い。多分、皇帝が絶対的権力を持っていた封建時代、その後の共産主義時代に、公然とお上や政府批判が出来なかったので、小話で鬱憤を晴らしたようだ。その伝統がいまでも残っている。だから、小話といってもオチがなく、「政府は何をやってるんだ」みたいな話でも結構受ける。

  2008.09.03

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• ロシア紀行・鈍き黄金の輝き（１８）

    （一軒家の喫茶店）　１時間ちょっと、距離にして３分の１くらい走ったところで、喫茶店を見つけて休憩。石造りのしゃれた建物で内部も感じ良く出来ている。まわりに何もないこんなところで若い女性が一人でやっている。他の客はいない。紅茶を頼むと７０ルーブル。テーブルにはパンの切れ端を皿に盛ったものがある。　こんなところにこんな店がと不思議な気がした。宮沢賢治の「注文の多い料理店」のようだ。周辺にはこの店のほかには何もない。店の棚にはアルコール類もあったから当然飲酒運転しているのだろう。トイレは外だがドラム缶が半分に切って囲いになっているだけだ。外でやったほうがまし。それからまた、穴ぼこ道を１時間以上走って、やっと少しましな舗装道路になったと思ったら、訪問先企業の付属のゲストハウスに到着。　バラの咲き誇る庭園やテニスコートがついていて木々に囲まれ、とても綺麗な大理石がふんだんに使ってある二階建ての建物。食堂も立派。ここでしばらく滞在し工場と往復することになる。もともと工場幹部のためにつくられたようで各部屋は全部違う間取りやインテリアになっている。食事は朝夕ともここで食べることに。歓迎パーティーもここでやるという。この建物は造りは立派なのだが、部屋の風呂場に行くたびにゴキブリが出るのには困った。今は夏だから使わないが、暖房器具などはしっかりしたものだった。　ゲストハウスの敷地のすぐ横を大きな川が流れていて対岸は海水浴場になっていて夜遅くまで人声が聞こえる。入り口にはゲートがあり遠隔操作である。そのゲートの外はこの街の大きな教会の入り口になっていて乞食が二、三人いつも座っていて、ゲストハウスに出入りする人に金をせびっている。

  2008.09.03

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• ロシア紀行・鈍き黄金の輝き（１７）

    （サラトフからバラコボへ）　サラトフからさらに小さな町バラコボへは車で約二時間半である。道路は直線ですいているがその道路がひどい。穴がたくさん空いているが少しも補修されていない。乗り込んだベンツのワンボックスカーはそこを平均１１０キロで走る。当然激しくバウンドするが、もっとゆっくり走ったらもっと揺れたかもしれない。高速走行だから穴を飛び越えて行く感じだ。　センターラインはなく、遅いトラックがいるとどんどん反対車線に飛び出して抜いて行く。両側は地平線。ひまわりや小麦、牧草などが植えてある。遥か遠くに低い山が見えたりするだけで単調な風景が続く。人はいない。時々車が故障しているのがある。こんなところで故障したら大変なはずだ。　モスクワが道路など整備されていただけに、地方との格差が目立つ。日本は地方に行っても、いや地方のほうがどんな農道でも林道でもきちんと舗装されガードレールがついている。ロシアで地方に住む人は気の毒だ。日本で道路予算を使いすぎと非難されているが、日本は地方との格差を無くす素晴らしいことをやっているのだと思ってしまう。 

  2008.09.02

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• ロシア紀行・鈍き黄金の輝き（１６）

    （スロバキアホテル）　宿泊したスロバキアホテルは当地では唯一の良いホテルのようだ。ホテルのロビーには一段高いところがあり、液晶テレビで一日中ロック番組を映していていつもやかましい音楽が流れている。ロビーの中央にはオーケストラの指揮台のようなものが置かれ、若い男がノートを見ながら携帯電話で会話している。ホテルの玄関の外には銃を持った男が警備している。　各階に当番のおばさんがいて鍵を渡してくれるようになっている。同時にパンとジュース壜を渡してくれる。部屋の風呂のお湯は黄ばんでいる。水も透明感がない。床は木が貼ってある。いわゆるフローリングではなく木組みのような感じ。粗末な木製の家具。日本にはもう存在しないようなふるい冷蔵庫。ソケットをコンセントに自分で入れて動かす。電気のスイッチも大きく独特のデザインである。洗面台は傾いて取り付けてあるので流しても、いつも少しの水が溜まってしまう。 

  2008.09.02

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• ロシア紀行・鈍き黄金の輝き（１５）

    （地方都市サラトフ）　ロシア人通訳のＣ氏から「飛行機の窓から地上を撮影しないように」との注意がある。どうやらソ連時代に徹底的な教育を受けた年配の人は外国人に対して警戒感が強く、写真を撮っているとスパイと疑われてトラブルになる例があるらしい。　サラトフ空港に夜遅くに到着。飛行機からバスで空港建屋に。バスを降りるとそのまま建物の間を通って公園のようなところを通って小さなターンテーブルで荷物が出てくるのを待つ。マイクロバスに乗り込み走り出すと、夜の１０時頃だが街には人がちらほら歩いている。暗くても建物が古くて貧しい生活だということが判る。　低く月が出ているのが見える。誰かが「月が出ている」と言う。何もないので月が目立つのだ。こんな状態で今は夏だからそれなりに過ごせるかも知れないが、冬はどんな生活になるのだろうと思う。それでもサラトフは１００万都市であるという。　サラトフのホテルにチェックイン。部屋のテレビでは国内線で飛行機が着陸時に豪雨でハイドロプレーン現象でオーバーランして乗客が多数死傷したというニュースを繰り返しやっている。よく見ると我々が搭乗したのと同型機である。　翌朝、朝食前に街を散歩すると犬をつれた中年の男に話しをする。相手はロシア語しか出来ないので、旅行会社に貰ったロシア語の日常会話のわずかな文章と単語でコミュニケーションを試みる。高そうな犬を連れて散歩しているところを見るとかなり裕福な階級の人ではないかと推測する。歩いていると１カペイカショップを見つける。日本の百円ショップ。　教会は立派だが、街は繁華街などはなくどこまでもおなじような感じでさえない。建物も古く、埃っぽい街だ。天気が良いうえにかなりの距離を歩き喉が渇いたので道路端の売店でコーラを買って飲む。

  2008.09.01

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• ロシア紀行・鈍き黄金の輝き（１４）

    （国内線専用空港）　カスピ海の近くのサラトフ行きはモスクワの国内線専用のドモジェドボ空港から。国際線のシェレメチェボ空港とは羽田と成田の関係。モスクワ市外の北と南に分かれていて、この間の行き来に時間がかかる。　ドモジェドボ空港は大変な混雑。相当な待ち時間があったので、売店に行ってカレー味のつつみパンのようなものとビールを採る。電子レンジで暖めてくれるのだがあまり美味しくない。ビールの銘柄はミラー。小瓶が１００ルーブル。　空港のテロ対策チェックは今までで一番厳しい。カメラ、携帯電話も全て見せる。カメラは実際に画像を出してカメラとしての機能があるかを確かめる。靴もぬげという。シェーバーが引っかかりバッグを開けさせられる。サミットが迫っていることと、これから行く地域がアフガニスタンに国境を接していて、反ロシア勢力もいるからだという。　ドモジェドボ空港からは１５０人乗りの「ヤク４２」という小型三発ジェット機に搭乗。尾翼の下から階段が地上に降りてこれで搭乗する。地方の空港が滑走路が短く大型機が着陸できないためだ。６人席で前の座席との間も狭い。我々でもきついのだから大きなロシア人には大変だろう。天井から降りてくる酸素設備もない。窓も１枚でパッキンに直接触れる。機内はなんとなくオイル臭い。おそらく２０年前くらいの飛行機である。我々はもちろんエコノミークラス。でもこんな飛行機でもビジネスクラスに乗る金持ちのロシア人もいる。 

  2008.09.01

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• ロシア紀行・鈍き黄金の輝き（１３）

    （地下鉄）　広場を横切って広場の外に出ると地下鉄の駅がある。公衆電話があるのだが、駅ではテレフォンカードは売っていなかった。大きな木の扉を押して駅に入ると中は薄暗い。運賃は一律１５ルーブル（日本円で６０円）。改札は無人。切符を入れると改札のバーが開く。タイミング良く通過する必要がある。　そこから先は上下の長いエスカレータ。昔は核シェルター代わりということでとても深い。千代田線の新御茶ノ水駅のように長い長いエスカレータで深く潜る。エレベータの運行速度がどの都市のものより速く乗り降りは少し危険を感じるほど。多分モスクワが１位でプラハが２位。　降り立ったホームは半円の天井。漆喰が塗られていて薄いクリーム色。そこからシャンデリアが下がっていて、柱の脇には労働者などのブロンズ像がある。少し薄暗いが良い雰囲気である。ここも人が多い。ホームで待っているとすぐに地下鉄が入ってくる。車体は白と青に塗られ古ぼけている。　車内も蛍光灯ではなく普通の電球に白い笠がついているもので、車内は暗い。つり革はないのでバーに掴まるしかない。揺れは少ない。車内放送はなく、眠っている人は誰もいない。座席は皮張りで少し硬い。東洋人は珍しいのでじろじろ見られてしまう。

  2008.08.31

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• ロシア紀行・鈍き黄金の輝き（１２）

   　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　    （高級レストラン）　中心部の高級レストラン「カフェ・プーシキン」で食事を採る。古い伝統的な建物を改装していて二階は少し天井が低いが、雰囲気はすこぶる良い。サラダ、ビーフストロガノフ、ピロシキ、黒パン、飲み物はバルチックビール。ロシア料理はまずいとの前評判と違って、とても美味しい。料金は一人１万円。現地のロシア人には高値の花。客は外国人か一部のロシア人の金持ち。店内に鉄格子タイプの小さなエレベータがある。身なりの良い子供たちが乗って喜んでいる。　食事後、希望して赤の広場に行く。それに地下鉄にも乗りたい。赤の広場はひろい石畳の広場である。石は四角いタバコの大きさのもの。１カペイカ硬貨（日本円で０．４円）が落ちているのを拾う。周囲は赤や緑の派手な色彩の教会、石造りの大きな国営デパート、レーニン廟、博物館で囲まれている。　人はいっぱいいるのだが広場が広いので適度の混雑だ。結婚式のカップルが何組も行進している。晴れ着を着た小さな子供たちがそのまわりを走り回っている。デパートの前は大勢の人だかりがしている。赤の広場と言えばなにやら血生臭い印象があるのだが、天気も良く平和そのものである。

  2008.08.31

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• ロシア紀行・鈍き黄金の輝き（１１）

    （クレムリン）　クレムリンは空から見ると三角形をしている。もともとの意味は要塞で２２の塔を持っている。塔の頂には金色のスターがついている。掘がめぐらされて高い塀が取り巻いている。日本では城下町の城という感じである。周囲が２．７キロ、次に１８世紀に１６キロと環状道路がつくられて、さらに現在は１０９キロのものもその外側に作られて街が発展してきたという。　さんざん並んで、クレムリン内部に入る。入り口から石橋で空堀を渡り大きな時計台のある門をくぐると中は広場になっていて、それを囲んでたくさんの建物、教会、鐘楼などが配置されている。また広い花壇もある。良く写真や絵葉書で見た金色の教会はとても大きなものである。監視員が配置されており、写真を撮るため通路から少しはずれると注意をされた。　数段の階段を上って納骨堂内部に入る。教会の建物と同じだが、内部は壁、天井、柱いたるところにキリスト教に関する絵が極彩色で描かれている。どこにも空白がないので息苦しいくらいである。音楽学校の生徒が５人、ボランティアで聖歌を歌う。堂内は天井が高くその響きに圧倒される。出口には彼らのＣＤを売っていて多くの観光客が買っている。　外に出ると青を基調とした制服の騎馬隊が行進している。彼らは花壇のある広場で隊列を整えてクレムリンの中央広場に出てくる。馬も綺麗に手入れがされて皮膚に光沢がある。彼等の走ったあとに馬糞を片付ける係りが走る。

  2008.08.30

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• ロシア紀行・鈍き黄金の輝き（１０）

    （似顔絵Ｔシャツ）　立体交差の下に歩行者用のトンネルがあり、そこに観光客向けの店が出ている。店といってもトンネルの壁にもたれかかってその下に平台を置いただけの露店である。　店番は若い女。旧ソ連軍の帽子。プーチンやチェゲバラの顔をプリントしたＴシャツなどを売っている。おもしろいのでプーチンのＴシャツを買う。店員と値段交渉の結果、少し負けてくれた。　一般の道路にも板をおいてその上でＤＶＤを売っている。ロシア人は冬が長いせいか演劇や映画好きのようだ。テレビでもいつもドラマをやっている。他にテレビのショーでもパントマイムなどは見事なものをやっている。　中心街は賑やかである。石を積み上げたビル。この石は古いもののようで何かの建物を取り壊した石の再利用。ビルとビルの間には大きな鉄製の扉がある。マグドナルドも中心部に大きな店があり人気だ。　道を尋ねながら日本人向けのみやげ物屋に行く。客はいない。売っているものはショール、ロシアの毛皮の帽子、琥珀を使ったペンダントなどの宝飾品、伝統的な玉子の形をした宝飾品のコピー、ウォッカなどの飲み物、オルゴール付きのおもちゃや置物、ボーリングのピンのような形をした入れ子式のロシアの木製人形。最大のものは中に同じ形の小さな人形が２５個入って１５０００ルーブル（日本円で６００００円）。そんなものだ。　キャビアはないのかと聞くと、小さな缶詰を出してきて１００００円だと言う。 街中は車で大混雑。二重駐車も横行している。中国ほどではないが、人と車のきわどい行き違いもある。カリーニン通りにはやってくる車のほとんどがＵターンする場所がある。そこには警官がいて誘導している。どうやらその前の交差点が左折禁止かなにかになっていて、車はまっすぐここまで来てここでＵターンして元に戻って右折しているようだ。ロシアでは路上にＵターンマークがあってバスも豪快にＵターンする。

  2008.08.30

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• ロシア紀行・鈍き黄金の輝き（９）

    （モスクワ見物）　朝、ホテルに案内人のタチアナ嬢が現れる。３０は過ぎているようだ。東京のＹＭＣＡで日本語を学んだという。自分も知っていた今は取り壊された神田のＹＭＣＡだったのでびっくり。モスクワの観光名所を案内してくれるといっても中心街を歩くこととクレムリン見物だ。　最初にモスクワの銀座通りに当たる場所を歩く。長い通りが緩い坂になっていて銀座よりパリのシャンゼリゼに似ている。幅はシャンゼリゼより狭い。高層ビルがなく８階くらいのビルで統一されているのも似ている。その坂の下はるか向こうにクレムリンの赤い壁が見える。赤といっても柿のような茶色のような独特の赤である。　中心部には専門店なども多い。大勢の市民が歩いている。その表情はみんなうれしそうだ。立体交差の橋の上から救世主大聖堂がはっきりと見える。例によって黄金のタマネギ屋根である。夏の日がかんかんに当たっているといかにも安っぽい感じであるが、一瞬日が雲にさえぎられると違う感じになった。なるほど、冬の日差しは弱いから、この鈍い金色は安っぽさが消えて荘厳で哀しい色合いになるのだ。

  2008.08.29

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• ロシア紀行・鈍き黄金の輝き（８）

    （街での食事）　午前中に訪問先との打ち合わせを終わらせ、昼食を街中のレストランで食べる。中は広くて女性客が大勢いる。テント張りのような明るいスペースに座る。トイレは別の建物の二階にあり行くまでが大変。食事はメインは鳥の煮込んだもの。油の臭いがあまり好きになれない。サラダとスープは美味しい。　その後、タス通信社の近くにある日本大使館に回る。大使館の中は手狭である。館員は昼休みでキャッチボールをしていた。記念に菊の紋章の入り口や外の日章旗を撮す。　道路が大渋滞でこれでは効率が悪くて仕事にならない感じである。特に金曜日の午後はダーチャに行く人の車で道路が溢れてしまう。　夕食は市内のレストランで。早速ボルシチを注文する。小さな壷のような容器にはいった赤みがかったスープである。それをスプーンで掬って食べる。赤カブで色が出ているようだ。入れる野菜によって別の色がつく。細く切った肉が入っていてなかなか美味しい。ピロシキは日本でみかけるような揚げパンではなく、小さめのロールパンの中に野菜、肉などの具が入っているもの。少しイメージが違う。

  2008.08.29

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• ロシア紀行・鈍き黄金の輝き（７）

    （笑わない女性）　ホテルの食堂のウエイトレスは若い女性だがニコリともしない。後で聞くと学校教育の中であまり意味なく笑わないように躾をされているらしい。そういえばホテルで受付の若い女性が「何故、そんなに笑うの」と言ったことを思い出した。　もちろん仲間同士では若い女性たちでもみな陽気に談笑しながら食事をしている。日本で子供に「知らないおじさんに声を掛けられても返事しちゃだめよ」と言っているのと同じなのかもしれない。　日本に到着したと国際電話を入れたいのだがいっこうにかからない。フロントに聞くと１０００ルーブル（日本円で約４０００円）のデポジットを差し入れないと掛からないようにしているとのこと。早速ドルをルーブルに換金してフロントに入れると掛かるようになった。客をほとんど信用していないのだ。冷蔵庫も開かない。　１０００ルーブルでは１、２分の通話を三回くらいしてもう不足だという。あまり高いのでやめてロシア人通訳の携帯電話を貸してもらうことにする。

  2008.08.28

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• ロシア紀行・鈍き黄金の輝き（６）

    （朝の散歩）　ホテルの庭はレンゲ草が刈り込まれバラが咲いている。モミの木が植えられ、雪国らしくベンチは石造りである。門番がいて、車が来るとゲートの上げ下げをしている。労働力が豊富なのだろう。日本のように自動にはしない。　朝食もバイキングでアジア人向けの料理もある。果物、ハムなどは豊富であるが、パンや飲み物、おかずはあまり美味しいものではない。上海のホテルのようなその場でオムレツを調理してくれるようなサービスもない。朝、食堂は満員である。　朝食後、ホテル周辺に散歩に出かける。気がつくのはキオスクのような売店の多さである。飲み物と雑貨を売っている。ところどころにスーパーマーケットもある。そのひとつに入ると窓がない平屋の建物でかなり広い。一応食料品など品物は揃っている。それほど高くはない。日本と同じようにカゴに品物を入れてレジで清算する方式。レシートをくれるので内容が良く判る。　屋根のついたバスの停留所にはどこも大勢の人がバスを待っている。環状線の内側には一戸建ての家は皆無。全てアパートである。テントで囲った露店が集まった場所もある。日本の百円ショップで売っているようなあまり質のよくない雑貨を並べて売っている。結構買い物客が出ている。　周辺散歩の後、ホテルのロビーの片隅のバーで生ビールを飲む。ジョッキのデザインが良い。乾燥して喉が渇いていることもあり美味しい。

  2008.08.28

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• ロシア紀行・鈍き黄金の輝き(5)

    （モスクワ郊外のホテル） モスクワ中心部のホテルはどこも満室なので郊外のホテルになった。都心から車で１時間弱かかる。ホテルの名はアイリス。 アイリスホテルの周辺を散歩すると鳩や小型の鳥がたくさんいる。冬は彼等はどのようにしているのだろう。草は一回刈ればあまり伸びないようである。道路脇のごみは驚くほど少ない。しかし、散水車が埃が立たないように道路端に水をまくほかには掃除をしているのは見ていないので人々がごみを捨てないのだろう。 ホテルの宿泊客はほとんどがアジア人。中国、韓国など。日本や中国、韓国で見かけるような一般客相手のアメリカンスタイルの建物である。しかし、一泊３万４千円ではロシア人には高くて泊まれるようなところではない。各階通路に面したところに大きな消火器と赤いホース、大きなバケツが置いてある。こういうところは見栄えより実際的である。エレベータ脇には無料の自動靴磨きがある。 夕方に到着したのであまり空腹感はないが、一階の吹き抜けのホールで、ビールを飲みながら少しつまみを食べることにした。こわごわ飲んだビールは意外にいける。ホテルの部屋は広く暑くもない。カーテンを開けると道路とアパート群が見える。テレビはチャンネルが多いがチャンネル選択操作が難しい。 通訳さんから「部屋に入って電気を点ける前に窓を閉めること。すぐに蚊が入るから」と注意があった。日本を昼に出てからずっと起きていたので比較的良く寝ることが出来た。

  2008.08.27

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• ロシア紀行・黄金の鈍き輝き（４）

    （別荘）　モスクワでは３０年前に一斉に週休二日にしたとき、全市民に一軒につき一つのダーチャが郊外に与えられた。しかしこれを別荘と訳したので誤解が生じた。別荘というよりは個人の畑地である。そこに小さな小屋を建てて週末を過ごすようにしたもの。別荘とは程遠い。　モスクワ市内は町ごとに小さな教会がある。いずれもタマネギ頭の塔がたくさんある。町によってそれが赤であったり、青であったりする。特別大きな教会は金色のものが多い。ロシア人は赤や茶色が好きなようで、建物や看板にもこの色が多い。緑が多いから赤とか茶色が映える。バス、トロリーバス、電車はいずれもクリーム色を基調にして黄緑や青のラインが入るなどおとなしい色使いである。冬には少し寂しいのではないかと思う。　また、中心街はところどころに広場があり、花壇の中に銅像がある。これはヨーロッパスタイルが守られている。銅像は軍人や政治家や作家などである。水道管は凍らないように地下２．５メートルに埋設しているという。

  2008.08.26

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• ロシア紀行・鈍き黄金の輝き（３）

    （モスクワ市内）　空港から市街地へはひどい渋滞である。車が自由に使えるようになってからこうなったという。故障車も多く見られ、それも渋滞の原因となっている。ラッシュアワーとなっているが、勤務はほとんどの場合、６時までだという。数は少ないが、信号機がある交差点もあり、待ち時間が秒数で表示される。１００からカウントダウンだ。　大きな道路沿いには外国車の販売店が目立つ。日本のメーカーのもたくさんある。モスクワの主な道路は立体交差が原則だ。しかし、故障車がいたりして混雑するとスムースには曲がれない。１０９キロメートルに及ぶ環状線は５車線である。運河が大きな川をつないでいて大型船が通っている。街の中にも火力発電所があり、燃料は天然ガスを使用している。　ガソリンは１リットルで１９ルーブル（日本円で８０～９０円）。ペットボトル一本の水が同じくらいの値段。しかし、彼らの年収からすれば高いはず。　道路端に巨大な鉄の棒を組んだモニュメントがある。これは第二次世界大戦で使われた対戦車用障害物であり、ここでヒットラーのドイツ軍を阻止した地点であることを示している。　幹線道路沿いには多くのアパート群がありほとんどが２０階程度。５階建て以上はエレベータがつけてるがよく故障するらしい。戸建住宅はまったく見当たらない。アパートのベランダは冬に備えてサッシが入っている。日本でも北陸などで見かけるのと同じである。　道路脇のごみは少ない。大きな道路でも路肩が不明確である。木が多いがそんなに太い木はない。日本の表参道のような大木ではない。せいぜい一抱えくらいである。木はどこも地面から高さ一メートルくらいまでは白いペイントが施されている。理由は良くわからないが、虫よけかも知れない。

  2008.08.26

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• ロシア紀行・鈍き黄金の輝き（２）

    （モスクワ到着）　空から見る夏のモスクワは夕方であるが真昼のように明るい。緑が多いのが印象的で太い川には大きな船がゆったりと航行しているのが見える。晴れているのだが、もう夜なので、やや光の力が弱い。ロシアの第一印象は金属が鈍く反射しているという印象。　空港ではイミグレーション、税関とヨーロッパの国々と比較するとやや緊張する雰囲気がある。少し照明が暗いせいなのか。それとも旧共産圏だからか。　空港の建物を出ると外は日が燦燦と輝いていてまぶしい。駐車場まで荷物を引きづりながら行く。たくさんの車がごった返していて極めて危ない。駐車の仕方も勝手だ。ここでまず車の汚いことに驚く。すべて埃だらけなのだ。日本では見かけない古い型の車昔の東欧タイプの車がたくさんある。その中にベンツやアウディやトヨタもあるのだがすべてが埃まみれである。　乗り込んだ小型のチャーターバスが広い四車線の道路を走りだす。全体的にスピードが速い。二両連結の市営バスも同じようなスピードで走る。　道路の両側は白樺並木が続く。高さが一様。６時だが日が高い。通訳さんが「寝るときカーテン閉めるように。３時ごろにはまた明るくなるから」と注意してくれる。

  2008.08.25

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• ロシア紀行・鈍き黄金の輝き（１）

    （モスクワへ）　正午すぎ、成田をアエロフロート機（Ｂ７６７）で定刻よりやや遅れて離陸。日本海の北朝鮮スカッドミサイルの着弾地点上空を通ってシベリアへ向かう。客室はほぼビジネス、エコノミーとも満席。ロシア人の太った女性乗務員が通路を歩くと床が揺れる。水平飛行に移ると直ちにボリュームのある昼食が提供される。コーヒーは縁まで一杯に注いでくる。砂糖は必ず２袋ついてくる。ロシア人はとても甘党である。デザートなどもすごく甘い。機内ではスクリーンで奇妙な内容の映画が２時間上映される。シルクハットに長髪の男が案内する御伽噺のような人工的な旅の話。やっと出発後５時間が経ちモスクワまでの半分飛んだことになる。窓の外はシベリアに入ってからは一面の乳白色の雲で地上の様子はまったくうかがい知れない。モスクワ近くで高度を下げたために地上が観察出来るようになる。赤茶けた水たまり。草原が続く。ものすごくたいくつな大地である。白い雲の限りない変化と対照的だ。川の蛇行は時として川を取り残して池となっている。まっすぐな道路は舗装されていないので褐色である。

  2008.08.25

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• 神の手による解決

   　大型車が得意のアメリカの３大自動車メーカーはとてつもない赤字を出した。ガソリン価格の高騰は車社会のあり方を変え、電気自動車の開発を後押しする。　これは古典経済学者アダム・スミスの言った「見えざる神の手」なのだろうか。石油、天然ガス、石炭の価格が高騰することで、電気料金値上げをしても追いつかず、日本の電力会社は赤字となり、火力発電を減らす方針になると思われる。これも「神の手」なのだろうか。　投機も影響してエネルギーや穀物の価格が高騰し続けると、結果として各国の経済政策ではなかなか進まなかったエネルギーの転換や省エネ技術の開発と普及、食糧自給率の向上がダイナミックに進むはずだ。　地球温暖化はガイアからの人類に対する警告とも言われているが、サミットでの議論とは別に「神の手」でこれらの問題の解決が図られようとしている。　ただし「神の手」は人類と違ってかなり荒っぽいやり方をするだろう。

  2008.08.24

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• 落ち着きのある社会

     ヨーロッパの街はほとんどが何世紀も前に造られた建物が数多く残されている。モーツアルトの生涯を描いた映画アマデウスの撮影は、ウィーンよりさらに昔の街並みが残っているという理由でプラハで行われた。 各都市は古いビルの外観はそのままにして、かなり苦労して内部を改装して使い続けている。道路も狭い道は石畳の部分が多い。しかもこれらはある程度まとまっていないと様にならない。ニューヨークでは教会など古い建物もあるが、それが一つだけ高層ビル群に囲まれてかえって場違いの感じがする。　落ち着きのある社会をつくるのは、人々の生活態度や生活様式がよく伝統を守っていることも大切だが、こうした街がそのまま何百年も形を変えないということが最も必要なことだと思う。　東アジアでは北京もソウルも東京もひどく変わってしまっていて、京都ですら毎年のように古い町屋が失われているのが現実だ。

  2008.08.24

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• ドライバー感覚の道路建設計画

    　東名や東北道などの高速道路は日本の大動脈として必要だと思う。　でも、例えば日本海側の国道７号線に平行しての北陸道建設は不要。お盆明けでも時速７０～８０キロですいすい走っているところに高価な高速道路はいらない。　国道の幅を少し広くし、歩道を設ける。また、土地に余裕がある所では二車線にしてトラックや遅い車をパス出来るようにするくらいで十分だ。こうした道路でも問題は都市部。バイパス作りや周回道路をしっかりしたい。　日本列島は中央が山なのでこれを横断するのが大変。国道でも急な坂道で曲がりくねって時間が掛かるのでそれをトンネルや橋でまっすぐにすると大いに助かる。　道路建設計画はもっとドライバー感覚で検討をして金を有効に使ってほしい。これから日本も道路のメンテナンスに金が掛かる時代を迎えるのだからなおさらだ。

  2008.08.24

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• 韓国人のリタイアー願望

   　韓国の団塊世代の人に「定年後も何らかの形で働くか」と聞くと、「早く定年がこないかと楽しみにしている」とのこと。こちらが驚いて「でも家にいると邪魔になると言われないか」と聞くと、「日本はどうか知らないが、韓国では年寄りは大事にされるから」と言う。　なるほど、韓国は日本以上に儒教の考えが浸透していて、目上の人には尊敬の念を持っていることが改めて分かった。欧米人は早くリタイアーして悠々と生活することをあこがれているし、歳をとっても身体の動くうちは働かなくてはいけないと思い込んでいるのは日本人だけのようだ。　じっとしていられず、あちこち動き周りたいので金も掛かるしね。

  2008.08.23

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• 事故・故障の情報ネットを

   スペインで多数の死者が出る墜落事故が起き、マスメディアはコスト競争が原因を作ったと報じている。　飛行機の場合、事故や故障に関する情報伝達は航空機メーカーが世界どこの空港で起きた事故、故障でも直ちに全世界の同型機を使用している航空会社に知らせて、点検や交換、あるいはメンテナンスの方法の変更をするようになっている。これは素晴らしいネットワークであるが、人命に直接影響するものだから当然であるとも言える。　自動車、エレベーター、原発、医薬品、医療機器などもこうした全世界を繋ぐ事故、故障情報ネットワークを早く構築すべきだ。

  2008.08.23

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• 大企業のサラリーマンは大変

   　先日、大企業の大工場を視察した際、事務所の廊下にはグラフや写真やチャートがずらりと掲示されていた。担当者に聞くとＴＰＭ（トータルプラントメンテナンス）という活動。ＱＣサークル活動以降さまざまな活動が行われていて今はこれだという。　それにしてもこれだけの活動報告を作成するだけでも大変だと思われたので、「よく作れますね」というと「本当のことを言うと現場では結構な負担になっています。でも、本社からは次から次へと新しい活動を言ってくるので...」との返事があった。　この担当者も本社に転勤すれば、トップからの圧力で、同じように現場に指示を出すに違いない。

  2008.08.22

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• スーパー、コンビニの廃棄食品

    　スーパーやコンビニの売れ残り食品が大量に廃棄されている。業界はこの大量廃棄を減らす努力をどのくらいやっているのだろうか。 　スーパーでは惣菜、弁当などについては夕方になると１００円引きや２割引きのシールを貼っているが、コンビニではそのまま捨てているようだ。賞味期限が迫ったものはレジで自動的に値引きするようなシステムに出来ないか。　インターネットオークションでは締め切り時間があり最後に値が付かねばゼロ円販売もある。ニューヨークブロードウェイのミュージカル券は当日だと半額で入手できるシステムになっている。　業界は何かといえば、エコバッグや省エネ店舗など環境問題に取り組んでいますと言っている。お客様を大切にするのは良いが、商品を提供してくれている農家や漁師に対して廃棄しては申し訳ないという気持ちが足りないのではないか。

  2008.08.22

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• もう高級食材は食べられない

   　日本が誇っていた一億総中流社会は崩壊しつつあるようだが、これを加速するようなことが起きている。　隣の中国にいわゆる富裕層が出来たのだ。人口１５億人の中国の一割としても１億人以上が経済的に豊かになれば、衣食住に関わるあらゆる高級品を求めるようになる。　これに対して農林水産業が対応できないとすれば、数が少ない高級品は価格上昇する。食材でもファッションでも日本の中流程度の経済力では手が届かなくなる。日本産の魚や肉や果物でも良い品は高価格でも買ってくれる中国市場に流れてしまう。料理人もスカウトされる。　日本の食文化の世界進出が日本人の食生活を脅かすという皮肉な現象が起こりつつある。和食も柔道や相撲のように、「これはもともと日本で生まれたものなのだよ」と子供に教えなくてはならなくなりそうだ。

  2008.08.21

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• 制限という不思議

   　どこにでも自由に絵を描いてよいと言われたらまとまりがつかない。どこに描いたらよいかこまる。画用紙という枠があって初めてその中が自由になる。海でも山でも宇宙だって描けるのである。　本当に自由になろうとすれば、不自由になることだ。バッハの無伴奏チェロソナタは奥が深い。大管弦楽でも表現出来ない内容である。それはチェロというやや大きめの楽器の４本の弦と一本の弓で表現しなくてはならず、技巧的にも制限の多い。そうした制限の下で深さが増している。　竹内栖鳳の「雨の蘇州」という日本画がパリの美術館にある。墨一色で朦朧としたタッチで一見何が描いてあるか判らないが水辺の湿度まで表現出来ている。制限があって単純な技法しか使えないのでかえって複雑なことが表現できるというのは不思議なことだ。

  2008.08.21

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• 夏風邪が治るとき

  　夏風邪を引くと憂鬱である。ティッシュペーパー二箱使い切って鼻が真っ赤になり皮が破れ「風邪はもう治らなくてもいいや」と達観した頃、風邪は突然治ってしまう。　危険性が少しあるから乗り物として成立する。絶対安全な乗り物は絶対にない。正常細　胞だけの身体も成立しない。ガンと正常細胞の両方があっての生身の体である。　煩悩、欠点、短所があるから人間であり、生きていられる。まったくなくなったら神であり、この世に存在出来なくなってしまう。こう考えると気が楽になる。　夏風邪ぐらいで、気に病む必要はないのだ。風邪をひくのは生きてる証拠。死んだら風邪はひけないのだ。

  2008.08.20

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• 京都イノダコーヒーは三条店

  　イノダコーヒーといえばどの京都の旅ガイドブックにも載っている有名店だが、どこも同じだと思うのは大間違い。味やカップは多分に同じでも、雰囲気は店によってまるで違う。　本店は継ぎ足し家屋のようで、絶えず混み合っていて落ち着かない。庭もあるが狭くて目の前が壁で単に屋外というだけ。　私の好きなのは三条店の円形の大カウンターだ。ここでカウンター内でコーヒーを淹れている白衣の店員を見ながら飲むのが一番好きだ。他の客とは向かい合いになるが、相当に距離があるのでぼんやりとは見えるが目を合わせることはないし、話声も気にならない。たまに隣に座った地元の常連客の自慢話に付き合わされるくらいだ。　ひどいのは大丸デパート内にある店で、デパートの食堂のような雰囲気。コーヒーはもちろん味が大切だが、タバコと同じでストレス解消のために飲むのだから、これでは残念だ。そういえばマンハッタンのエンパイアステートビル近くのスターバックスも客が押し寄せていて落ち着かなかった。

  2008.08.20

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• 昔の人の知恵

    普段見えないもの、なんとなく漠然としているもの、ないとは言えないがあることはまだ証明できないものがある。 　大事故が起きるとそれが姿を現す。我々がもし爆発事故の起きる一部始終を空から見ていたら、恐らく被害者は何かに誘導されたように、事故現場に近づいたように見えるはずだ。何故爆発はその一時間後ではなかったのか。何故作業をしていた人々はそこに近づいたのか。飛行機事故の犠牲者は何故その便を選んだのか。　昔の人は、わざわざ一度行きたい場所と別の方向と別の方角に行ってそこから、本当の目的の場所に行った。それが人々をレールに乗せて不幸な事故に連れて行かないようにリズムを狂わせるのが目的ではなかったのかと思う。　世の中の出来事は自然の活動も人々の行動もまったく無関係で独立しているように見える。少なくとも我々はそう思いこんでいるが、実は偉大な力を持つ誰かによって台本が密かに作られ、役者である我々の考えの及ばぬところでつながりを持たせている。ということに昔の人が感づいたのではなかろうか。　昔の人は考え抜いたのちにそうした流れを断ち切る方法を編み出したと想像する。

  2008.08.20

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• こだわり

  　「場末の店で安酒を飲むくらいなら飲みに行かない」と言った女友達がいた。　けじめ、筋の通った考え、信条、こだわり、品格、毅然とした態度、まっすぐな姿勢、礼儀、やせ我慢。　日本が日本であるためには、こうしたものが日本社会から失われてはならない。江戸や明治には貧しい庶民でもこうした気質を持つ人がたくさんいた。　「日本の品格」がベストセラーになり、武士道の本や黒澤映画が見直されていることを考えると、そう思っている人が多いようだ。　こうした日本人の気質が失われた理由は、自分の生き様を考えることがなくなり、その場その場が楽しければよいという生き方をしているからだ。高度成長以降は生き様とは次元の違う「気楽に、気ままに、ちょっと贅沢に」がキーワードだ。　食べ物、ファッション、インテリアなどモノにこだわりを持つ人は多いが、もっと自分の言動にこだわりを持った方が格好よい。

  2008.08.19

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• 出ずいらず

    最近はガソリン価格の高騰で遠出をしなくなった。でもお盆も過ぎ、夏も終わりだと思うと、どうしても出かけたくなり、エコ運転に徹すれば燃費も良いはずと自らを納得させて、日本海までドライブし民宿に一泊した。 　かつては高く感じた高速道路代が安く感じられたのは不思議。行く先々のガソリンスタンドの価格表示が気になる。民宿の人に、遠いところをガソリンも高いのによく来てくれたと感謝された。今年の流行語大賞は「ガソリン価格高騰」に違いない。民宿こそ一泊二食でまだ６０００円台でやっているから大変だろう。　結局、土産だ食事だで軽く数万円が飛んでしまった。昔、じいさんがよく言っていた「出ずいらず」は本当だ。

  2008.08.19

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• 緑と清流を

  　中央線に乗り高尾を目指すと日野駅の手前で川を渡る。その河原に大きな看板があり、「緑と清流を　日野市」と書いてある。　緑と清流を奪ったのは誰なのか。ディベロッパーが木を切り、宅地開発をしてマンションや一戸建てをどんどん建てた。その許可は市が与えた。市が道路を造り、下水を流すようにしたに違いない。それまでは周辺は緑と清流がある豊かな自然環境だった。　とすると日野市が立てたこの看板の意味はわからなくなる。もっと判りやすく「日野市は地域開発と自然環境保護のバランスを誤った」と書いてくれた方がいい。たぶん皮肉屋のイギリス人ならそう書くだろう。

  2008.08.19

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• 繁乃井の親子丼

   　東京駅八重洲口地下黒塀横丁。 　地鶏炭火焼の繁乃井。親子丼九百八十円也。　カウンターより厨房が見え安心。目前、炭火で焼く分厚い鶏肉。　スポットライト照明で雰囲気良好。背景音楽イパネバ娘もお洒落。　丼の鶏香ばしく、スープも濃厚美味。店広くないが、紺色布の被り物した店員六名。　他に地鶏柳川風丼の膳。千七百円也。米飯に代わり生麦酒も可は便利。

  2008.08.18

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• 日本の弱点

   最近の穀物価格高騰で食糧の自給率がカロリーベースで４０パーセントを切っていることが話題となっている。でもいまさらではないか。 　今農業、漁業は石油がなければ回らない。米作りにしてもほとんど人力を使わず機械によって作られている。作った食糧を運ぶのも石油が使われている。そして国産の石油はないに等しい。　実は４０パーセントの食糧の自給率を支えているのは輸入石油なのだ。だから食糧問題も含め、我が国の基本的問題はエネルギーの自給率の向上である。現在、そのエネルギーの自給率が僅か４パーセント(原子力を国産エネルギーとすると１９パーセント)であることは意外に知られていない。ピンとこないほど低いからなのだろうか。　このことを真剣に取上げない政治家やマスメディアは金さえあればエネルギー源は買えるものと信じているのだろうか。石油などの戦略物資は金があっても国際政治情勢によっては買えない場合があることは第二次世界大戦直前に思い知らされたはずだ。自給率を上げておかなければ、またいつ何時外国から難題を押し付けられるか判らない。

  2008.08.18

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• たかりの構造

    トヨタの役員が１億円もの報酬を貰っていると聞くと、うらやましいと思う反面、当然だという気もする。 　資源も食糧も外国から買っている日本でそれを買うための外貨はトヨタのような企業の輸出と今までに蓄積したマネーの利息で稼いでいるからだ。　こうした企業とは別に国内だけを相手にしている企業が多数存在している。輸出企業は世界中と競争しているので生産性は高いが、国内産業はせいぜい国内での競争なのでまだまだ生産性が低い。　農業を守るための関税があるから、生産性が低くても存続していられる。公共事業関連企業、電力、運輸、不動産なども国内産業だ。学校も国内を使わざるを得ない。水道やガスもゴミの収集もだ。　中でも省庁や県の外郭団体などは、天下りの幹部も含め職員は暇だ。国や県から毎年仕事が特命で入ってくるし、仕事も外部の民間業者に丸投げに近い。自分達は手続きだけで実際の仕事はやらない。こういう構造が日本全国どこにでもある。大企業の子会社も親会社から仕事を貰っている。困ったことにこういう企業や団体は食い物にしたり、食いつく能力には長けている。　必死に努力している輸出企業がこうした生産性の低い企業や団体からモノを 買ったり、サービスを受けざるを得ないのは皮肉な話。一人の出世頭に大勢の親戚がたかっているという途上国のような構図。少なくとも外郭団体の生産性向上について省庁や県は毎年ノルマを課すべきだろう。 

  2008.08.18

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