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カテゴリ:乗り物話題いろいろ
仙台市地下鉄東西線は、仙台平野の真ん中で標高があまりない「荒井駅」から仙台市中心部の地下を抜け、市街地西部に聳える「八木山」の中腹にある「八木山動物公園駅」(標高136.4m)まで登る、まるで「登山地下鉄」です。
※地形図では駅の出入口付近に標高160mの等高線が引かれているので、この数値は地下にある駅施設の位置の標高を表していると思われます。 地図読みで、山登りを始める直前にある国際センター駅の地上の標高が30m前後(ホームは地表に近い地下1階)ですから、同駅から3駅4.3kmで100m以上登るという難路線。最大57‰(1000mで高度差57m)という、地下鉄のみならず国内すべての普通鉄道の中でも、他の例がないわけではないが異例の急こう配を擁する区間となっているので、従来からある地下鉄南北線とは走行方式も地上設備も違うものとなっています。 ※JRの最急こう配は、飯田線にある40‰とのこと 八木山動物公園駅から市街地へ戻ります。 車両と設備も一緒に見てみましょう。 ★今シリーズの写真は、一般の方のお顔をぼかす修正をしています 開業初日 八木山動物公園駅の混雑 posted by (C)Traveler Kazu 電車が着いたようで、改札口からどわ~っと人が出てきました。 休日のたびにこんなになれば御の字でしょうが、さて、どうなるでしょうね? 入れ替わりにホームに降りてみると…ドアにへばりつかないと乗れない激混雑。 どうみても乗り込む余地はなかったので1本見送り、次の電車を待ちました。 リニアモーターのプレート posted by (C)Traveler Kazu レールの幅は在来線より広く、新幹線と同じ1435mm。 この、レールの間に敷かれている見慣れないプレート。これが、急こう配を克服する立役者のひとつです。 仙台市地下鉄東西線は、一般的な電車と違い、「リニアモーター」で走る電車が使われています。原理は「リニア中央新幹線」と同じで、電磁石のS極N極が反発しあう力で推進力を得るものです。このプレートと電車側とで磁石が反発しあうと列車は走ります。なので、モーターの音は非常に静か。 そして、この路線の連続急こう配に回転モーター駆動の一般的な電車を走らせても登れないだろうということです。 ただ中央新幹線違うのは「浮上はしない」ということ。 リニア新幹線の場合は摩擦を減らすため浮上して高速走行しますが、地下鉄では浮かす必要がある程の速度は出さないので、鉄製レールの上を車輪で走ります。 また、「止める」方の対策では、ディスクブレーキが普通の電車では各輪1枚のところ、2枚付いているそうです。 荒井行き列車 posted by (C)Traveler Kazu 2000系の車内 posted by (C)Traveler Kazu 車両はこぶりな「16m級」の4両編成。 急勾配と急カーブ(と、資金?)を克服すべくトンネルが狭いため、車体断面も3割ほど小さいが、種々の工夫で、車内の空間は南北線車両(一般的な20m級車両)の2割減に抑えた…ということですが、でもやはり狭いと感じました。天井も低く、外観の見た目以上にコンパクトな車両となっています。 普通の電車と「新交通システム」(ex:ゆりかもめ、日暮里・舎人ライナー、ニュートラムなど)の中間のような雰囲気です。 同様の構造の路線としては全国に5路線あるそうで、都営大江戸線もリニアで走る小断面の地下鉄ですね。 以上のような条件、車両につき、この車両は南北線を含む他の路線を走ることができません。 帰路は、山を駆け下りる感覚で乗車し、前回紹介した「竜ノ口渓谷」「広瀬川」の明かり部分の写真を撮りつつ、仙台駅に戻りました。 いったん2階(乗り換え階)に上がり、そこから南北線のホームに降りると、何やら、みなさんカメラ・スマホを床に向けています。 新たな案内表示 posted by (C)Traveler Kazu 乗り換え案内でした。 初日はなんでも珍しいものですね。 開業初日 仙台駅の混雑 posted by (C)Traveler Kazu 路線が増え、仙台駅では通路も改札も増えたので、分かりやすい表示は必須です。 JR仙台駅のエスパル地下ともつながっていたり、エスパルの地下売場を突き抜け東口まで行く通路もあります。さらに地下鉄仙台駅で「仙石線のりかえ口」を通ると、そこはなんとJR仙台駅ではなく「JRあおば通駅」です。 迷わないように…。 ※この位置から新幹線改札口へ行くには、「仙石線に乗って仙台に行く」より歩いたほうが早いし、近いと思われます。 仙台市地下鉄南北線の車両 posted by (C)Traveler Kazu こちらが、1987年の開業から走っている南北線の車両「1000系(1000N系)」。 20m級で、回転モーターで走る一般的な構造の通勤電車です。 4両編成で、車内の広さもごく普通の通勤電車の広さです。 南北線は普通の線路です posted by (C)Traveler Kazu 線路の幅はJR在来線と同じ1067mm。 リニアではないのでプレートはなく、ごく普通のスラブ軌道です(なお、板は停止位置目標と思われます)。 ちなみに、電力方式は両線とも仙石線や関東のJRと同じ(=東北線・仙山線とは違う)「直流1500V」だそうです。 以上、今日は特徴的な「リニアモーター地下鉄」の概要と、東西線開業で迷宮になりつつある仙台駅をご紹介しました。今日の記事はいつもの公式ウェブサイト、Wikipediaのほかに、Youtubeと、昨日聴取したNHK第一放送「先読み夕方ニュース」のリポートを参考にしました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015年12月11日 14時04分19秒
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