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カテゴリ:言語
 今日から少しずつ「○○語のすすめ」シリーズを書いていこうと思う。なかでも、アジア図書館で講座を開いている言語については、受講を決めるにあたって少しでも参考になれば幸いである。


 外国語を勉強するってのは、やっぱり獣医さんになるのと同じじゃないかと思う。病気の犬は助けてやるけど、猫は知らないって獣医さんはいない。人間のお医者さんに、お金もちはともかく、貧乏人は知らないっていう人がいるのとは大違い。

 で、ともかく犬と猫は守備範囲に入れるとしても、マングースを飼ってる人がやってきたら、やっぱりマングースも何とかしてやろうという気になる。

 いったん動物が好きになったら終わりがない。

 外国語もそれと同じ。


 ひとつひとつ外国語を取り上げて、どんな言語なのかを説明している本もあるけれど、あんまりありきたりなのもつまらない。


 フィンランド語との出会いっていうのも変だけど、日本語とフィンランド語には不思議な縁がある。実を言うと、これにイタリア語を加えて三兄弟と言ってもいい。

 セビリア大学でイタリア語の授業を受けていたとき、どの単語も母音で終わる言語は世界に3つしかないと先生は言った。ひとつはもちろんイタリア語、それとフィンランド語に日本語。先生はそう言い終わると、「いかん、このクラスに日本人がいるのを忘れていた」と、ぼくに続きをふってきた。「日本語もそういう言語であること、まちがいないですか」

 ぼくが「まちがいないです」と答えると、先生はMenos mal.(「ああ、よかった」)と言って胸を撫で下ろした。

 本当はほかにもあるんだろうけれども、経済的に重要な国の言語としては、この3つしかないと言い切ってしまってもいいだろう。ただ、イタリア語にしても、定冠詞ilなどは例外としての話だし、日本語も「ん」の扱いによっては、必ず母音で終わる言語とは言えないことになる。 

 

 そういう本質からはずれた共通点はさておくとして、言語学的に近い関係にあると言われる言語を、自分のなかで有機的につながるようなかたちでわがものにしてみたいと思う気持ちがぼくにはある。フィンランド語と日本語は、異説もあるにはあるが、いわゆるウラル・アルタイ語族という名でひとくくりにされている。

 その名で呼ばれるものには、日本語、フィンランド語のほかに、ハンガリー語、トルコ語、モンゴル語などがある。実に錚々たる顔ぶれではないか。ハンガリーのマジャール、(オスマン)トルコ、モンゴルはどれも、世界史に燦然と輝く大帝国を築いた民族ばかり。日本は極東にあって欧米の範疇には入らない国のなかでこれだけの経済力を築き上げた不思議な国。フィンランドはヨーロッパの言語を話す国に囲まれて、人口わずか500万の国ながら、今や学力世界一を誇る。

 これだけの国がみな、ウラル・アルタイ語族のひとつを公用語にしていることが、いったい単なる偶然なのか、それとも何かがあるのか。それを考えるだけでも、わくわくする。 


 日本人には日本に生まれたから仕方なく日本語を使っているようなところがあって、スキあらば言い訳を見つけて何でもかんでもカタカナにし、名前だけは日本語のまま、「ねこまんま」みたいに混ぜこぜにして使いたがるくせがある。

 それにひきかえ、フィンランドでは自分たちの思考を培う手段として、母語であるフィンランド語をどれだけきっちり教えていることか。新聞がおかしな使い方をすれば、抗議の電話が殺到する。そういうものがあってこそ、対外戦略としての英語教育があれだけの成功を収めているわけで、まずはフィンランド人がフィンランド語に対してどのような思いをいだいているかを知るだけでも、フィンランド語を学ぶ価値はある。

 もちろん、そのときには、自分たちの母語に対する姿勢が恥ずかしくなって、顔から火が出ること請け合いである。


 日本人が自分たちの言語を見つめ直すのに、いちばん適した言語はフィンランド語ではないかと思っている。近い将来に現地に行くのでないかぎり、目先の利益はほとんどない。しかし、5年先、10年先にはきっと人生に何かをもたらしてくれる言語である。 


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最終更新日  2006年10月26日 08時59分23秒
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