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カテゴリ:言語
チェコの小さな町でスーパーを見つけ、即席ラーメンを買った。左右に同じ説明が書いてある。なぜそんなことをするのだろうと思ってよく見ると、まったく同じところもあれば、微妙に綴りのちがうところもある。そうか、チェコ語とスロヴァキア語の両方で表示してあるというわけだ。
ぼくの本拠地、大阪城でも日本語のほか、韓国語、北京語、英語の表示がある。日本語でフェアコーナーなどと書かれていても何のことかよくわからないので北京語を見る。簡体字を日本の漢字に直せば「観覧会場」。なるほど、それでよくわかる。 それなら複数の言語を併記する意味があるが、チェコ語とスロヴァキア語とはものすごくよく似ているのだから、どちらかの表示があれば、それで十分なはずだ。ベルギーでフラマン語とフランス語が併記してあったり、スイスで、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ロマンス語の表記があったりするのとはわけがちがう。そう言えば、バルセロナでも同じようなことがあった。レストランのメニューを見ると、左右に一見同じことが書いてあるように思うが、たまにまったくちがう綴りが書いてあったりする。スペイン語とカタルーニャ語である。 そこには「わかればいい」のではない何かがある。ごくわずかな違いであっても、それぞれの民族にとっては大切な違いなのである。強いものが弱いものを飲みこんで同化してしまうようなことは起こらない。 日本ではどうか。カタカナを多用する人と本来の日本語を使っている人との差は、チェコ語とスロヴァキア語との差どころか、ドイツ語とフランス語との差よりもまだ大きいとも言えるのではないか。バイリンガル、バイリンガルと騒いでいるが、カタカナと本来の日本語とを確実に使い分けることができれば、バイリンガルになんか簡単になれる。 駅伝のことを英語でekidenと言う。それがカタカナになるとリレーマラソンになる。日本語がわかる人には英語のekidenの方がはるかにわかりやすい。 カタカナの氾濫を嘆く人が現れるたびに、推進派はあの手この手で自己弁護を繰り返してきた。食事だってそうだろう。和食しか食べない人はいない。洋食も食べれば中華も食べる。ことばだってそれと同じだ。 いったい、どこが同じなのかさっぱりわからない。今日刺身を食べて、明日ステーキを食べるくらいは当たり前のこと。同じ食卓に刺身とステーキが出てきても、ぼくには抵抗はない。しかし、まさか刺身にソースをかけて食べる人はいまい。 今のカタカナの状況はまさに、刺身にソースをかけて食べさせられているようなものだ。和食にこだわるつもりは毛頭ない。だけど、頼むから別々に食べさせてくれ。 飲食店のお品書きを二言語併記にする店、二言語を併用する店があってもいいのではないか。 お品書き メニュー お飲み物 ドリンク 紅茶 ブラックティー 檸檬(レモン)紅茶 レモンティー 緑茶 グリーンティー 珈琲(コーヒー) コーヒー 麦酒(ビール) ビール お食事 フード ご注文 オーダー ご注文は~時までです ラストオーダー お値段 プライス 合計 トータル 1割引 10%OFF 注文した時 ~でよろしいですか。 ~でよろしかったですか。 持ってきてもらった時、確認の意味で ~でよろしかったですか。 ~でよろしかったですか。 支払う時 ~円お預かりします。 ~円からお預かりします。 細かいのお持ちでは、 ~円からでよろしいですか。(慇懃無礼) 988円のものを買って1000円渡した時 1000円お預かりします。 1000円からでよろしいですか。 (単なるアホ) 順番待ちの客に 次お待ちのお客様 二番目にお待ちのお客様 ←ランキングに登録しています。クリックおねがいします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年11月29日 10時50分24秒
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