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カテゴリ:言語
 人称というものは渡し舟のようなもので、こちらの岸があれば、向こう岸もあることがわかったところで、敬語について考えてみよう。
 日本人は自らも日本語が特殊な言語であると思っており、思いたがっているふしがある。
 日本語に敬語があることが「世界遺産」級の特質だと思っているかもしれないが、敬語は韓国語にもあるし、ほかにもさまざまな言語にある。
 ケチュア語ではimaynaya kashanki (いかがですか。お元気ですか)と言って挨拶するが、kapushankiになると丁寧になり、kapuwashankiになるとさらに丁寧になる。そういうことはインカ帝国の昔からあるのであって、日本語の専売特許なんかでは断じてない。
 いや、形の上で敬語がない言語にしても、相手に対する敬意、他人に対する敬意はどこかで表現しているのであって、本来、敬意というものを知らない人種は、ごく一部の政治家などを除けばこの地球上に存在しない。
 イギリス人に日本語を教えたとき、アクセントのことを聞いてくるので、ヨーロッパのような強弱のアクセントはないと答えると、急に声を荒げて「それじゃあ、いったいどうやって感情を表現するんだ」と食ってかかってきた。敬意なんてものは声の調子などによって表現できるものである。
 人間の言語にとって、文法構造のなかに敬意を表すものを組み込むことは必須条件ではない。ほぼ完全に「出没情報」として扱うことができる。
 日本語の敬語というものは、いわば敬意のかたちを借りて、渡し舟の岸の存在がわかるようにしたものであると捉えることができる。
 文部科学省は「お」などを美化語としたらしいが、「お」にはもっと面白い働きがある。
 ホテルに行って、「部屋空いてますか」と訊く。部屋が決まれば「お部屋にご案内いたします」となる。この場に限れば、英語の定冠詞とほぼ同じ機能をしている。
「お身体」はほとんどの場合、二人称になる。お手紙となると、I→II、II→Iのどちらかであることがほとんどである。お電話はI→IIでも「お電話差し上げます」と言えるけれども、三人称が介在すると、「私からお電話があったことをお伝えください」とは言えない。

 敬意はどこにでもある。だれもがもっている。美化語といっても、物を大切にする気持ちはだれにでもある。
 わかりきったことを形に表してそれで終わりにするほど、人間はバカではない。ことばにもっとふだん気がつかないようなカラクリが秘められている。
 人称の問題から敬語というものを照らしてみると、日本語が世界で孤立した言語ではなく、人間結局はみな同じなんだということがいっそうよくわかるようになるはずである。


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最終更新日  2006年12月18日 00時26分12秒
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