寅さんの口上
寅さんの口上 映画「男はつらいよ」の主題歌(作詞・星野哲郎、作曲・山本直純、歌・渥美清)をゆっくりと聞く機会に巡り合えた。 この曲の台詞(せりふ)に味がある。 歌詞カードから転載してみよう。「私生まれも育ちも葛飾柴又です 帝釈天で産湯を使い 姓は車 名は寅次郎 ひと呼んで フーテンの寅と発します とかく 西に行きましても 東に行きましても 土地 土地のお兄貴さん(おあにいさん) お姐さん(おあねえさん)に ごやっかいかけがちなる若造(わかぞう)です 以後 見苦しき面体(めんてい)お見知りおかれまして 今日こう万端(ばんたん)ひきたって よろしくお頼み申します」 前段は主題歌の頭にあたる部分であり、皆さんがよくご存知のとおり。しかし、後段の、歌では最後に唄われる部分は案外知られていないのではないか。こうして、歌詞をゆっくりと見ると、時代を感じさせる台詞である。 最近では、こういう啖呵(たんか)をきる人もいなくなっており、そのうち死語になるのであろう。「若造」はまだ分かるにせよ、いずれ「面体」とか、「万端ひきたつ」などの言葉は使う人がいなくなるんだろうなぁ。 的屋(香具師)も近代化され、古い文化は廃れるのみか。*************************************謎の不良中年 柚木 惇 Presents*************************************