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テーマ:あの本、おぼえてる?(347)
カテゴリ:あの本、おぼえてる?
中学生の時、学校の近くに小さい本屋ができた。広さは8畳もあっただろうか。今なら、ありえない小ささ。
本棚をながめていると、同級生の女の子がやってきた。 いきなり、本棚を指差して「これ、おもしろいよ」と言った。 そのまま、わたしの返事も待たず、すたすたと行ってしまった。 そこにあったのが、 星新一だった。 せっかくだから「ボッコちゃん」と「ようこそ地球さん」を買った。 その日、わたしは、産まれて初めての完全徹夜をした。 ボッコちゃん ようこそ地球さん 全ては、ここから始まったのだ。 星新一がなければ、筒井康隆にも、小松左京にも、平井和正にも、豊田有恒にも、たどり着かなかったのではないか。 で、今日は、「できそこない博物館」の紹介。ショートショートは、説明したら、すぐネタバレだから、エッセイで。 「できそこない博物館」は、月刊誌「問題小説」に連載された、星新一の創作メモ。つまり、ショートショートになり損ねた話。(これを読むためだけに、問題小説を買った。) 「アイデアとは異質なものを結びつけるところから生じる」が、星新一の持論。書き損じの原稿用紙の裏をメモにして、いくつかのアイデアをひねり出す。 「これ」と、決まれば切り抜いて、作品に仕上げる。メモの残りの部分は、ため込まれ、また、引っかき回される。 このメモの公開。 「このままでは、似たような話がある」とか、「もう一ひねり足りない」とか、文章の作り方、アイデアの仕上げ方を教えてくれる。 いろいろとやっている内に、「こう仕上げれば、それなりの作品になるな。まぁーいいか」と、一本分の話をエッセイの数行で、片付けている。 筒井康隆が、この「できそこない博物館」について「貴族のごみ箱は下々には宝の山である」と、書いていた。 全くすごい才能である。 ※1 わたしが一番気に入っているのは、「時代物など」の章の冒頭。 「どうやら今回は、中だるみという感じになりそうである。長期にわたる連載というものには、ありがちなことなのだ。のっけから、なんというひどい弁解」 こんな文章、平気で書ける人すごいよな。 最相葉月の「あのころの未来」 ※2 「絶対音感」の最相葉月さんが、科学ニュースと星新一のショートショートを、結びつけた本を書いていた。完全なネタバレだが、ご家族の承認を得たとのこと。作品が1,000を超えたら、10や20のネタバレは何でもないかな。むしろ、コマーシャルになるかしら。 ← メールマガジン始めました。「応援メール」です。登録はこちら。よろしくお願いします。 バックナンバーはこちら 人気blogランキング ←1日1押し有効です。よろしくお願いします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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