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テーマ:あの本、おぼえてる?(347)
カテゴリ:あの本、おぼえてる?
前に、「わかりやすい論理療法 国分康孝」というタイトルで、ブログを書きました。
『国分康孝と河合隼雄が、日本の心理学の二大スターだが、国分康孝の方が、実用的ですね。すぐに、役立つ。 でも、河合隼雄の方が面白いけど、効いてるのかどうか、わからないし。』 なんてね。 実は、国分康孝より前に、河合隼雄の「明恵夢を生きる」について、書いてみましたが、できませんでした。この「明恵上人」も興味深い人なのですが。 で、今回は、気を取り直して「心理療法個人授業」南伸坊、河合隼雄。 河合先生の講義を、南伸坊生徒がノートにまとめる形式。途中に、先生の語り口調や生徒とのやりとりが入ったりする。まとめられたわかりやすさと、臨場感が両方ある。 一応、心理療法の歴史的流れや、現在の心理療法でも問題になっている、転移や逆転移、箱庭療法などが、手際よくまとめられている。 そして、わからないこと、簡単にわかった気にならない方がいいことも、良く、書かれている。 臨床心理学自体は、この本や河合先生の他の著作を見てもらうこととして、私が、気になったことをいくつか。 クライアントから、今から自殺すると言われた時に、止めるか、止めないか。 実は、これは二者択一の問題ではない。「死にたい」という言い方でしか、生きたい気持ちを表現できない人がいる。その発言の裏にある気持ちをつかまえて、答えなければならない。 これは、クライアントがカウンセラーを試しているのではない。そんな、知性だけの話なら、表面的に対応すれば済む。クライアント自身もぎりぎり、カウンセラーもぎりぎり。 もう一つ、生きるというのは自分の物語を作ること。養護施設にいる子供たちには虚言癖のある子が多い。つまり、自分は、本当は金持ちの生まれだとか、母親は女優だとか。 これは、そういう物語を作らなければ生きられないと考えるのだ。 それを、嘘をついてはいけません。等と言ってもなんの解決にも成らない。 正論どおりに出来れば、病気になぞならん。 結局、人間も人間関係も理屈どおりには行かない。でも、理屈も知らんでは発展もしない。カウンセリングを簡単に考えると、地獄の蓋を開けることになる。 河合隼雄を読むと、一筋縄ではいかない事も、余裕を持って見れるような気がしてくる。 心理療法個人授業 ※1 帯が良い。 南 伸坊「人の心ってどこまでわかるのですか」 河合隼雄「わかってたまるか(笑)」 ※2 「明恵」は、鎌倉時代の初期に、京都にいたお坊さん。座禅を組んでいた時に、裏の手水で虫が溺れているから、助けておいでと弟子に言った人。 修行が進めば、これぐらいのことは誰でも出来るが、それは仏法ではないから、他言は無用とのこと。 現代の超能力やら占いやらで飯を食っている輩に聞かせたいね。 ← メールマガジン始めました。「応援メール」です。登録はこちら。よろしくお願いします。 バックナンバーはこちら 人気blogランキング ←1日1押し有効です。よろしくお願いします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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