文章で飯を食う

　今日は、パティＰさんのブログ「いろいろあったりなかったり」で「乳首が痛いのだ」という、大変、心引かれるお話を読みました。
　私の本日の日記は、パティＰさんからの連想です。でも、「パティＰさん」の話の方がおもしろいはず。

　今日の話は、新井素子の「もとちゃんの痛い話」
　少しネタバレがあるかも。
　新井素子が左の乳首の下の深さ２センチぐらいの所が化膿し、ある朝起きると、ぱっくりと割れてパジャマが血膿まみれ。
　病院に行くと、膿をかき出して、クスリを染みこませたガーゼを詰め込んでいく。
　実は、うちのかみさんも背中におできができて「こめガーゼ」をしたことがあって、帝王切開より痛かったと言っております。

　で、いろいろ話は続き、悪い病気では無いが、やっかいで再発しやすい病気と判明。その間、間違った病名での治療のため、完治にいたらず、５回の再発。

　そして、最大の謎は、局所麻酔を使ったときの処置より、使わないときの方が痛くない。患部に耳かきみたいなものを入れて、膿や悪い組織をかき出すのですが、麻酔を使わない方が痛くないのだ。
　　
　この謎が解けたときが、「もとちゃんの痛い話」の一番痛い部分なのだ。


「もとちゃんの痛い話」


　えーっと、これからは聞いた話。「読んでない本の話。何のことか？」に登場した、ＳＦ好きのディック君（仮名）。彼の実家は水道屋で、現在の仕事につく前は、オヤジさんの手伝いをしていた。
　ディック君は、今でもトイレの故障や水道の水漏れとかはすぐ直せる。
　でも、若いときは国道の水道管を破裂させて、地方新聞の一面を飾る、大渋滞を引き起こしたりした。

　で、ディック君、郊外型ショッピングセンターの屋上の工事に行った。ディック君とお父さんの仕事は、屋上の水タンクからの配管工事。
　大きな３階建ての建物で、１、２階が店舗、３階、屋上が駐車場になっている。

　駐車場になるのだから、屋上はフラット。でも、その時は、鉄筋コンクリートの鉄筋が１メートルぐらい、何百本とつき出ている。
　鉄筋屋が端の方から一本ずつカットしていた。

　「店長だ」
　作業をしていると、お父さんが言った。視線の先を見ると、作業服を着た男が、なんだか跳ねるようにやってくる。開店前から店長が決まっていて、工事業者といろいろとやりとりをしている。若いけど熱心で、なかなかの好青年。
　見ていると、いきなり店長の動きが止まる。

　「あっー」
　何やら情けない、悲痛な叫び。近くの職人が近寄っていく。と、みんなが集まっている。ディック君とお父さんも気になって行ってみると。
　
　店長のお尻の穴に鉄筋がすっぽりと、はまってしまっているのだ。

　ズボンには穴が開いている。後で聞いたところでは、１０センチぐらいはまっていたらしい。みんなで抜こうとするがダメ。
　何しろ、車を屋上に止めようという、ショッピングセンター。鉄筋の太さも直径が３センチぐらいある。どうやって入ったかわからないが、いったん入ったら、抜けるものではない。

　とうとう救急車がやってきた。作業は全部とまってしまった。
　救急隊員も、困ってしまったが、病院に連れて行って、手術と決まった。
　鉄筋屋は、何人もいる。鉄筋カッターで、鉄筋を切ることになった。


鉄筋カッター。


　中腰で鉄筋の上に座ると言うか、お尻から鉄筋を生やすと言うか。
　脂汗を流している店長。
　鉄筋を一番離れたところで切る。近ければ振動が伝わる。床ぎりぎりの所に鉄筋カッターを当てる。でも、振動が伝わる。

　「痛い、痛い、痛い」
　
　あまりにも痛そうで、作業は、いったん停止。職人や棟梁、救急隊員が首をそろえて相談。
　

ガス溶接機


　ガス溶接機で切ることになった。
　シュボッ。青白い炎が鉄筋を切る。

　「あちっ、あちっ、あちっ」

　後少しなので、店長の叫びを無視して、鉄筋を切る。

　やっと、鉄筋が切断され店長はタンカで救急車へ。
　タンカに仰向けに寝ることはできない。うつ伏せになって、お尻から１メートルの鉄筋を、斜め４５度に突き出して運ばれていったのだ。

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※１　結局、手術で、お尻を切って、鉄筋を抜いたそうです。

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※２　まことに申し訳ないが、痛い話はおかしい。