199859 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

月夜に夢を  

月夜に夢を  

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
2007.07.07
XML
カテゴリ:Mountain
女性ひとりでの山歩きは危険だときいていた。
特に低山だと山好きじゃないひとでも入ってこれちゃうし 余計危ないと。
・・・つまりケモノより怖いのはヒトってこと・・・皮肉なことだ。

そうはいっても 勇気を振り絞ってコイビトを誘うメールをしてみたところ
つれなくたった一文字の返信で撃沈。(その一文字が何かはご想像にお任せいたします)
仕方がないので 前日に慌てて山岳保険に加入した上
性善説に基づき(年金の第三者審査委員会みたいだな) 単独行に挑戦することにした。
念のため 口紅もささず 目もいじらず ファンデーションと眉のみのメイクで臨む。
あたしはおばさん と強烈にアピールしたいところなのだが
山の年齢層はかなり高く 三十路の女性は結構若い方に分類されてしまう。
普段はちょっとウレシイことが ひとりだと不安要素になる。


芦ヶ久保駅→丸山(△960.3)展望台→大野峠→狩場坂峠→虚空蔵峠→旧正丸峠→正丸駅


七時過ぎに芦ヶ久保駅に到着。
軽く準備運動とトイレを済ませ 7:15いざ出発。
丸山の展望台までは前回登っていることもあり 迷うことはあるまいと思うと気が楽。
朝早いせいか誰にも会わないと思っていたら
展望台の手前ぐらいで 単独行の男性二人に追い抜かれる。
ひとりはえらい早歩き。オンタイムじゃあるまいしそんなに焦ってどこへ行くってかんじ。
ひょうひょうと登っていくひとが好きなんだけどね あたしは。
しかし いいなあ 男のヒトは。
単独行だってそんなに緊張しないでひょいと気軽に行けるんだろうなあ。羨ましいよ。

IMG_0420.JPG
朝露があちこちで光っている。
踏みしめる道も湿っていて 曇との予報どおり陽もささず涼しいのだが 山の中は薄暗い。
不安が増幅されるから ひとりのときはまぶしいぐらい快晴の方がいいような気がする。

展望台で休憩。上まであがるが 靄がかかって何にも見えない。武甲山すら見えない。
いつもは 登山地図の標準コースタイムの1.5倍かかるあたしが 10分オーバーぐらい。
ひとりだと甘えが出ないんだな きっと。

9:30展望台を出発するものの 特に「大野峠」と書かれた標識は無い。
登ってきた道以外には 
広葉樹の森とかなんとか書いてある道しかみあたらないのでとりあえずそちらへ。
白石峠へ向かわないよう注意しながら
鉄塔の脇をとおり 芦ヶ久保駅 の指す方へと細く気持ちのよい道を下っていく。
ぱっと明るく視界が開けたと思ったら 一面の霧。
IMG_0424.JPG
うーん 見事に何にも見えない。

木の階段を降りると車道に出る。ここが大野峠だろう。
横切った先に 赤谷経由で芦ヶ久保駅に降りる道は見えるのだけれども
狩場坂峠へ向かう登山道が見当たらない。車道と平行してあるはずなのだが。
もしかすると途中で分かれるのかと思い ちょっと下ってみるがわからない。
また戻って道路脇の案内板のあたりを薄暗い山の中を覗きこむようにウロウロしていると
東屋で休んでいたご夫婦が見かねて声をかけてくださった。

確かにわかれる道があるそうなのだが
標識も出ていないし こんなに下草が生えているとわかりにくいという。
我々が正丸からこちらに歩いた三月頃には 踏み跡がはっきりしていたからねえ と。
車道を歩いていって 途中で標識があるところから入るのが無難だね ということになり
ご教示どおりそうすることにした。

「ひとりですごいねえ。トレーニング?高い山も行かれるんでしょう?」
・・・いや。そんな大それたものじゃないんですけどね。
女性がひとりで山に来るということは そういう目で見られるのかと
実力以上に無茶をしているらしい自分を自覚させられた。

「連れが急に都合が悪くなりまして」
・・・まさか 誘ったけど振られたとも言えまい。

「我々はもう歳ですから」
いやいや しっかりしていらっしゃいます。たぶんあたしよりよっぽど健脚。
おまけに仲がよさげで羨ましい。
夫婦関係が良好じゃないと 相手を信用できないと ふたりで山にはこられませんもの。
いつ事故に見せかけて突き落とされるか わかりませんからねえ。ああオソロシイ。

ああいうふうに歳を重ねられたらいいなあ と思いながら車道を少しくだると
確かに右側に標識があり 登山道に入れた。
実はこの先 何回か入っては出て また入っては出て を繰り返すのだ。
地図で見ると車道のすぐ脇のようなのだが 
車道からずいぶん上の高い尾根の部分もあり 少し岩場もあった。
ここであたしは 股関節が固い自分を自覚する。いかん。ぐぎっ ていったよ。確かに。
霧も濃くて三メートル先が見えない。人間界じゃないみたい。

結局 最後の牛立久保へ向かうはずの登山道に入りそびれ
(下草がすんごくて どれが道かわからず踏み込むのに躊躇した)
そのまま車道を歩いていったら 刈場坂峠のりんどう茶屋に着いてしまった。
ここでも ひとりなの?すごいねえ?
と茶屋の方や ツーリングの集団の方々から声をかけられることになり
あたしはますますやっぱり無謀?!と不安になることこの上なし。
天気も怪しくなってきたし 休む間もなく逃げるように虚空蔵峠へと車道を下る。

やはり雨足が強くなってきた。初単独行で 初雨天。心細いことこの上なし。
車道だから 遮るものもなく 容赦なく降り注ぐ。
ひとは来ないのにときどき車が通るのが 余計不安をかきたてる。
ああ 今すぐ帰りたい。ほんと 帰りたい。
でもあと二時間以上歩かなきゃ 行くにしろ戻るにしろ帰れない。
ああもう こんな天気にこんなとこひとりで歩いてるなんて あたしって馬鹿。

仕方がないので (ちょっとタイミング的には遅かったように思うが)
レインスーツとザックカバーを装着することにした。
上は風除けに使ったりしたけど 下なんて使うことないんじゃないのと思っていたが
いやあ買っておいてよかった。ゴアテックス万歳。
問題は色だよなあ。遭難したとき目立つ色がいいってきいたので赤にしたのだが
まじでこれじゃ 赤レンジャーだよ。うーむ。

お腹が空いたからマイナス思考になってるんじゃないかと考え
ザックカバーを装着するときにおにぎりをひとつ取り出し ほおばりながら歩いていると
食べ終わった頃 前からひとが! おお 山仲間!(←まるで知り合いに会った気分)

彼はあたしとまったく逆のコースを行くのだと言い
「(彼の出発地点まであたしが辿りつくのは)大変ですかね?この天気だし」と
不安いっぱいで えらい抽象的な不適格な質問をするあたしに 
「そんなに大変じゃないですよ。大丈夫ですよ」と穏やかに笑ってくれた。
すうっと気持ちが落ち着く。
と同時に さっき食べたおにぎりの海苔が歯にくっついてるんじゃないかと
はっと我に返るぐらいの余裕を取り戻した。
ありがとう 山仲間よ!

もうおひとり 虚空蔵峠の登山道のところから出てきたひとが愛想よく道を教えてくれ
雨具を装備して当然のように歩いている彼らに ちょっと励まされた。
なんだ 山に来るなら 途中で雨に降られるなんて当然のことなんだ!
そうか フツウにそのまま歩き続ければいいんじゃん!

さらにもうおひとりそのあとすれ違った方は 
身体よりも小さな折り畳み傘が まさにトトロのようで 思わずひとりほくそ笑む。
おかげで完全に余裕を取り戻した。
しかし 男性の単独行ばっかだな。(この後はもう誰とも会わない)

明けない夜がないように 止まない雨は無いのだよ と調子を取り戻す。
実際 雨はだんだん弱くなって サッキョ峠の木の急階段あたりではやんでいた。

今度は雨具を脱ぐタイミングが難しい。
着たままだと暑いし でも下はドロドロだから また降ってきたとき再度履くのやだし。
迷った挙句 上だけ脱いで 間抜けな赤レンジャー状態で進む。

あたしはこの木の階段がすんごく苦手。
歩幅が限定される上 高さがあるから えらい疲れる。
いつもなら段の脇を行くのだが 雨上がりで滑るためそれもままならない。くそお。
IMG_0426.JPG
これは二つ目の階段で 長さも高さも楽だった。これを登ればほどなく旧正丸峠。
一つ目はちょっと写真を撮る余裕もないほど 長く急だった。
髪が汗だか雨だかでぐしょぐしょで 思わず出産時の分娩室を思い出してしまった。

静かな旧正丸峠で腰掛けて ようやくお昼ごはんにありつく。
時間的にはまだ余裕があるし天気も回復したので 予定どおり正丸峠まで行くか迷ったが
腰がどうもぶり返しそうな痛み。このまま正丸駅まで下ることにする。13:00発。

いったん車道に出た後 そのまま車道を少し下ると
右側ガードレールの切れたあたりに正丸駅へ向かう登山道の入口がある。
小さく目立たない標識だし 道も暗く細いので見落とす可能性が。

沢沿いにずっと下る道は 水の音が心地よい。
何度もあっち側 こっち側と沢を渡るのだが あたしは実は橋が大の苦手なのだ。
歩道橋もだめだし 車を運転していても心臓がばくばくする。

IMG_0429.JPG
雨で濡れていて すべるし こんなのもう へっぴり腰で恐る恐るってかんじ。

民家が広がる舗装された道に出るときに レインパンツも脱ぐ。
一応とっておいた非常食をもう一安心とほおばりながら 正丸駅へそのまままっすぐ。
まだこのあたりはアジサイが綺麗。
IMG_0421.JPG

14:10正丸駅着。14:40発の電車で芦ヶ久保まで戻る。
武甲温泉に寄って 帰途につく。
いやあ 長い一日だった。今回出会った方々 ありがとうございました。
人間はひとりでは生きられないってほんとです。


日々のスクワットで 下りの足元はだいぶ改善。
地道な努力が実を結ぶってまさにこのことね。
次なる課題は 股関節のストレッチ だな。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2007.07.08 11:41:04
[Mountain] カテゴリの最新記事


PR

Profile

月夜夢.

月夜夢.

Category

Calendar


© Rakuten Group, Inc.
X