199814 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

月夜に夢を  

月夜に夢を  

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
2007.09.08
XML
カテゴリ:Mountain
英会話の外国人講師に「山が趣味」と言うと必ず「富士山は登ったか?」と聞かれ
「まだだ。」と言うと「なぜ登らん?」と相当つっこまれ 答えるのが非常にめんどくさい。
だから 富士山にはぜひとも早いとこ登っておきたい。

これがコイビトが ここ最近富士山富士山とうるさい理由だった。
もうすぐ一般人には登れるシーズンではなくなってしまう(既に8/26に山終い済)から
今週末が最後のチャンスなんだと 半ば焦り気味であたしを説得にかかる。

なんてったって日本一の山なわけだし、
あたしたちはまだ標高2000メートル超クラスの山には登ったことがないし
あたしは遠慮しとくわ。独りで行ってくれば?と思っていたのだが
軽い気持ちで調べだしたら これがいけない。すっかり 行きたくなった。

須走口→山頂(△3720m)  日帰り富士山 決定!

なんともシンプルな行程だけれども そこは富士山 登山道と下山道がわかれているため
単純なピストン登山とも違う雰囲気になるはず。

だが すっかりその気になったものの 不安要素はもりだくさん。

1.あたしはまだ 標高差1200mまでの山歩きしか経験したことが無い。
 須走口は2000m。山頂まで差し引いて 単純に1700mはある標高差をこなせるか?

2.どう考えても日帰り登山ということは 睡眠不足になる可能性大。
 高山病になっちまって登頂を断念したときに 彼に一生恨まれるのではないか?

3.前の晩9:00に自宅を出て 当日の夜もきっと帰りは遅くなるはず。
 事実上ほったらかしで遊び歩いてて 大事な娘は ぐれやしないか? ・・・などなど。

まあ なんとかなるだろ と楽観的に考えることにして いそいそと用意した。
いつもの山の用意から 熊鈴を外し(さすがに富士には出ないだろう。うるさいわな。)
酸素の素(酸素はかさばるので、水に溶かしてつかうものを。気休めともいう)を加え
往きの運転は彼に任せ 出来る限り眠った。二時間ぐらいは寝れたと思う。

2:00頃 須走口の駐車場のある五合目に着く。
既に五割以上は停まっているかんじ。しかも 若者が賑やか。
満天の星を眺めた後 少し仮眠をとるはずだったのだが うるさくて眠れず
しびれをきらした彼が「ヘッドランプつけて もう登ろう」と言い出す。

そんじゃトイレに行ってから と寄ろうとすると
なんとここのトイレは8:00~なんですと。営業時間が決まっているとは。やられた。
閉まっている山小屋のものは利用できない とか 基本的に有料だ とか
そのへんは知っていたけど そっかあ 夜も利用できないのかあ。登山口なのに。

とりあえず ヘッドランプデビュー。あたしのは これ。

いやあ。明るい。樹林帯で道がしっかりしていたせいもあって 苦もなく登れる。
ただ いまいち自分の頭にくっついていることに慣れず
いちいち 彼に話しかけるたびに顔にライトを向けることになって
「だから まぶしいってば!!!」と文句を言われちまったけれども。

30分ぐらい登ったあたりで だんだん空が白みだしてきた。
IMG_0663.JPG
このコース しばらく樹林帯だと聞いていたから期待していなかったんだけど
ところどころで ちゃんとひらけている場所があって 夜が明けていくさまがよく見える。
カメラを構えて待っている人達もあちこちに居た。
IMG_0664.JPG
なんていったて 既に眼下には雲が広がっているわけで(そんなにまだ登ってないのに)
いままで暗闇に包まれていた分 徐々に広がる光が感動を呼ぶ。
こりゃ ご来光 ご来光 ってみんなが騒ぐわけだな。納得。

IMG_0667.JPG

ちょうど樹林帯を抜けたあたりで 太陽を迎えられた。
計算したかのように ばっちりのタイミングで登り出したということになる。
台風一過で お天気に恵まれたことに あらためて感謝。
写真じゃあというか あたしの腕前じゃあ 上手に色が出ていないけれど
肉眼で見ると もっと赤い。燃えるように深みのある赤。
それを反射して 富士も赤い。
もうここで 帰ってもいいんじゃないか という満足感に酔いしれる。

IMG_0668.JPG

樹林帯を抜けると 風が強い。日があたるため寒いという印象はあまりない。
愛想のいいご主人と少々メタボがはいってるらしいワンちゃんがいる長田山荘がある
六合目までは いつもの山歩きとだいたい似たような感覚。

問題は この後。
砂礫の道が延々と続き 景色は富士の地肌と雲ばかり という状況になってからが長い。
風もビュービュー吹き付けるし 道は整備されてる分単調だから飽きちゃうし
一応小さく上の方に見える山小屋を次々目指して進むわけだけど 
あれはいったい何合目?ってかんじ。
既に営業を終了しているところでも ベンチがあるのでそのたびに休憩。

IMG_0670.JPG

七合目の太陽館で トイレを借りたら 超綺麗。びっくり。
これなら200円と言わず もっと払っても。
今までの山で一番綺麗だったかも。掃除してくれている山小屋のひとに感謝です。
水鉄砲のようなもので流すらしいのだが上手く出来ず バケツの水をひしゃくで流した。

IMG_0669.JPG

八合目のトモエ館で ホットココアを飲む。美味~。登りでもこんなに身体が冷えるとは。
まだフリース着るほどじゃないけど 立ち止まったときは上着が必須。
富士登山に要らなかったもの。三枚目のタオル。汗かかないので 二枚あれば十分ですわ。

ここからが混むのだときいていた。
メインコースでもある河口湖口(吉田口)と合流するのだ。
確かにここの山小屋前で休んでいる人の数は多い。
中にはぐったり死にそうなひともいる。気がつけば 我がパートナーも目がうつろ。
「君がもう無理というのなら ここから引き返してもいいよ。」って言うんだけど
絶対 帰りたいのはあたしじゃなくて あなたでしょ~ ってかんじ。
そこを察していても「せっかくだから行っちゃおー。」って励ますあたしって
なんて優しいオンナなの。

IMG_0674.JPG

覚悟を決めて えっちらおっちら登り出す。
写真などで見て覚悟していたような行列というほどでもない。よかった。
だが 登山道のそこかしこで 文字通りひっくり返っているひとたちが大勢いる。
あたしも肺が圧迫され酸素が薄いのがなんとなくわかる。
酸素の素はやはり効果が感じられず 所詮気休めだからしょうがない。
ベリーダンスで習得した(?)腹式呼吸を意識的にやるようにして 
ゆっくりながらも自分のペースを守る。
・・・が いつもと立場が逆転で グロッキー寸前の彼がすぐ休みをいれたがる。
ザックをおろして10分とか休んじゃうと その後がつらいんだよねえ。
歩き出しの足の重いこと。

いよいよ
もう俺はここでいいよ、待っているから独りで頂上へ行っておいで とまで言い出したが
そこは 富士山。
ここは登山道だから 下りは別の道だよ、登るしかないんだよ、と励ましてみる。

いつも 頂上手前とかであたしが 水飲みたいだの 休みたいだの っていうと
あとちょっとだからこのまま行こうよと ひどく嫌な顔をされるのだ。
その「あとちょっと」を乗り越えるのがどれだけつらいのか これでわかったはず。

やっぱり人間は ときどき弱者にまわる必要があるな。
病気をしたり 体調を崩したり いわゆるブランクに見舞われたり
失敗したり 運の悪いことが続いたり もう最悪っていうその経験がなきゃ
相手の痛みをほんとの意味で慮ることが出来ないのかもしれない。
だからきっとその最悪なことは そのひとにとって大事なこと 貴重なことなのだ。

IMG_0675.JPG

しっかし 天気がいい。そして雲しか見えない。
海原のように続き そしてここの雲は 横へ流れるというより 上へと立ち上る。

IMG_0676.JPG

お。ここが9合目か?と思ったら8.5合目。なんていう力抜けるひっかけもあったけど
なんとか9合目を越えてから 最後 ちょびっと岩が大きめになり 
まさに残っている体力を使い果たすかのような様相で ほとんど気力の勝負。

山頂では 固形物の代表格のようなおにぎりを食べる気力もなく コーヒーとどらやきを。
IMG_0679.JPG
案の定 気圧でぱんぱん!

さすがに相当寒いし風も強いのでフリースも着込み 雨具も上に羽織り
結構長居してゆっくり休んだものの 体力がそんなに回復するわけでもない。
ちょうど向こう側にあたる 最高峰の剣が峰(△3776m)まで行く
いわゆる「お鉢めぐり」なんてとんでもないと
ちょぴっと火口を覗いたぐらいでいそいそと帰路につく。

ブルトーザーの道(山小屋へ荷を運ぶブルは往きに何度か見かけた)をしばらく下る。
往きにはずるずるすべって登り難い砂礫の道が 帰りは膝に負担がかからず楽チンなのだ。
でも疲れているため 歩みは亀のように遅い。
山頂でゆっくりしたためか それとも たくさんのひとに抜かれたためか
気がつけばほとんど下山道にはひとがいなくなっていた。
陽も傾き始めたものの のんびりくだる。



【だめだ。文字数オーバーです。せっかく書いたので 次の日へ】





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2007.09.12 19:38:18
[Mountain] カテゴリの最新記事


PR

Profile

月夜夢.

月夜夢.

Category

Calendar


© Rakuten Group, Inc.
X