月夜に夢を　　

「うちはなんせ愛が足りないもんで　すみません～。」

帳簿の数字が合わなかったのは
どうやら　帳簿を受け持つ奥様と　現場を切り盛りする社長との間の
コミュニケーション不足に一因があったらしく　
笑いながら　そう言われてしまった。

これが切羽詰っての口調だったら　こちらも身構えざるをえない　が
まあいつもの冗談だろう　と思って一緒になって笑う。

が　しかし。　愛が足りない。　とは　言い得て妙。

決して枯渇してしまったわけではなく　あるにはある・・・のだが　足りない。
そんな夫婦は　おそらくそこらへんに　ごろごろ転がっていて
さりとて　それを充たすためのエネルギーが自然に湧いてくるわけでもなく
わざわざ努力するのもめんどくさいし　疲れるし　そもそもほかのことで忙しいし
まあ　日々の生活に支障は無いから　これでいいか。みたいな。

厭。あたしは　そんなの厭。いつでも愛は満ち足りてなきゃ。
毎朝「愛してるよ、ハニー」って言ってもらわなきゃ。

性懲りもなく
結婚生活に甘い夢を見る　バツイチ子持ちの３６歳って　どうなのよ。





愛　足りてますか？