月夜に夢を　　

「一体何を買ったわけ？」
発送の確認をとったメールを見て　コイビトにあらぬ疑いをかけられたのだが
こっちが聞きたい。つまり　何を買ったと思ったわけ？

リアルとは　そんな怪しいモノではなく
井上雄彦著のれっきとした漫画で　しかも障害者バスケを扱ったもの。
人間ドックの待合室でついその1巻を手にとって読んでしまったあたしは
どうしたって続きが読みたくて　いてもたってもいられなくなった。
36歳　いいのかそれで？　という自問自答も軽く乗り越え
大人買いをするほどの勢いだったのだが　我慢してオークションで安く入手する道を選んだ。



ようやく届いたその品を読み始めたのは　すべてやるべきことを終わらせた12時すぎ。
読み終わったときにはさすがに2時をまわっていた。明日も仕事だっていうのに　なあ。

スラムダンクを書いた作者なだけあって　バスケの描写はさすがなのだが
今回はテーマがかなり重たい。スポーツ漫画の域を超えている。
単純な爽やか青春モノとは一線をひき
後天的に障害を背負った者の問題に真正面から取り組んでいる姿勢には好感が持てる。
それぞれの立場での葛藤や　人間の醜さ弱さも　わかりやすく表現していると思う。
「自分の知らない自分が出てくるのが怖い」という　病状が悪化したときの山さんの台詞は
あたしにとってかなり真実味があり　ずしんと響いた。


ホームシックにはならなくても　
すっかりバスケシックになってニュージーランドから帰って来た娘のように
バスケットはどうやら　多くのひとを惹きつけるらしい。