マズメの根拠。ニジマスの活動時間と視力を考慮して釣り上げよ!
レイクでのトラウト釣り大スランプ中の私ですが、色んな視点で物事を見ると色んな見方ができるものでして、非常に興味深い研究結果を発表されている方がいらっしゃいましたので、参考にしながらお話しを進めたいと思います。マズメの根拠。ニジマスの活動時間と視力を考慮して釣り上げよ!ニジマスの活動量や活動時間今回、特にレイクでの釣りでどうしてもニジマスが釣りたくて色々調べていると、ピンとくる論文がありました。↓クリックで飛びます(PDFファイル)水槽実験におけるニジマス日周活動と照度の刺網漁獲に及ぼす影響藤森 康澄、東海 正、松田 皎 Nippon Suisan Gakkaishi 60(5),577-583(1994)引用:J-STAGEこの研究は刺網の漁獲過程を明らかにするために、魚の日周活動と照度を取り上げ、ニジマスを用いて日照下での時刻の推移に伴う活動の変化調べたほか、照度変化による活動と対網行動の変化を調べ、ニジマスの刺網に対する遭遇頻度の時刻変化について検討したものです。私のような釣り人にとっては、照度によってどうニジマスの活動が変化するのか。これが非常に興味深いと思いました。また、刺網に遭遇して網に刺さる頻度。これは、魚がラインを認識しているかどうか?と言うことがおおよそわかります。使用したマルチフィラメントナイロン網地は210D/2を使用しているとのことですから、わりと普通の網に使用するような太さかと思います。今回は明るさが非常に考慮されている実験であることから、一般的に言われる【線視力】と言われるものと若干異なる研究かと思われますが、どんな照度によってナイロンラインが認識されているかがわかる内容となっています。さて、手っ取り早くこの論文を最初からじっくり読めば15分程度でとっても心が満たされること間違い無しですが、「文字なんて漫画しか読まないよ」って方が大多数かと思われますので、誤解がない程度にできるだけわかりやすく解説したいと思います。この実験の一つとして、魚を水槽に入れ照度の変化によってどう活動が変化するかが実験されています。まず、引用:水槽実験におけるニジマス日周活動と照度の刺網漁獲に及ぼす影響藤森 康澄、東海 正、松田 皎 Nippon Suisan Gakkaishi 60(5),577-583(1994)J-STAGE縦軸のlight intensityと言うのは光の強度。横軸のは時間だと思っていただければOKです。この図では1992年5月10日~12日の一日の全ての時間において照度変化が示されています。(場所:Ohizumi Experimental Station)この照度の変化を見るかぎりSunset(日入り)付近の17時から20時に、Sunrise(日の出)付近の4時から7時頃に大きな照度の変化が見られます。続いてニジマスの5分ごとの活動量を計測した値が下の図になります。引用:水槽実験におけるニジマス日周活動と照度の刺網漁獲に及ぼす影響藤森 康澄、東海 正、松田 皎 Nippon Suisan Gakkaishi 60(5),577-583(1994)J-STAGE縦軸のactivity indexは活動指数。横軸は時間です。活動量は日の出時刻が近づくと急激に上昇、そして、夕方から夜間にかけ徐々に減少しているのがわかると思います。さらにわかりやすく平滑処理を行ったのがこの図です。引用:水槽実験におけるニジマス日周活動と照度の刺網漁獲に及ぼす影響藤森 康澄、東海 正、松田 皎 Nippon Suisan Gakkaishi 60(5),577-583(1994)J-STAGEExperimentは実験結果。Approximationはその実験のデータを平滑したものです。この実験で興味深いのは照度が0.01lx以下になる19時でも活動量は減少しながらも若干活動しているところです。これは照度だけが影響を及ぼしているわけでは無く、体内時計などによるものも関与されていると推測され、照度は同調因子や刺激要素として機能すると考えられているそうです。なのでここまでをザックリまとめると、日の出前の真っ暗な時間帯では活動量が少ないため回遊するニジマスへのチャンスが少なく、日の出が近づき徐々に明るくなると急に活発になる。日没後に関しては、完全に日が落ち暗くてもまだ活動しているのでチャンスはあると言ったものに繋がるでしょう。確かに私の過去の経験で、支笏湖で20時ぐらいにヒットしたことあるのはそん理由なんでしょうか!?ちなみに、目安として照度(lx)は真夏の海岸:100,000晴天日入1時間前太陽光・オフィスの明るさ:1,000街灯下:100ろうそく20cm:10月明り:1~0.2星明かり:0.01闇夜0.007となっています。ふう(⌒▽⌒)何だかもうお腹っぱい。呼吸置きましょうか(笑)ラインが見える時間帯今度は水槽内に設置されたモノフィラメントナイロン網への侵入をハロゲンライトの照度を変えながら実験されています。ここに記載されれている内容で照度103の場合は実験開始後1時間以内に網近傍への魚の侵入がなかった。これは照度が高いためニジマスが網を明確に認識できたことによると考えられた。引用:水槽実験におけるニジマス日周活動と照度の刺網漁獲に及ぼす影響藤森 康澄、東海 正、松田 皎 Nippon Suisan Gakkaishi 60(5),577-583(1994) J-STAGEと記載されています。と、いう事はオフィス程度の明るさであれば、ごく普通の網(ナイロンライン)は障害物として見えていることになります。続いて接触率は,10-1lx付近から照度が上昇するとともに減少しており,ニジマスは102lx以上で網にほとんど接触しなくなることがわかる。したがって,ニジマスは10-1lx付近で既に網の視認が困難な状態になっていると推測される。引用:水槽実験におけるニジマス日周活動と照度の刺網漁獲に及ぼす影響藤森 康澄、東海 正、松田 皎 Nippon Suisan Gakkaishi 60(5),577-583(1994) J-STAGEと記載されています。という事は、月明かり程度であれば網は認識しずらく、100lx(街灯下)程度の明かりがあれば網を障害物として認識され始めるということがわかります。更にニジマスは10-2lx以下では網の直前であっても,ほとんど網を認識していないと推測される引用:水槽実験におけるニジマス日周活動と照度の刺網漁獲に及ぼす影響 藤森 康澄、東海 正、松田 皎 Nippon Suisan Gakkaishi 60(5),577-583(1994) J-STAGEと記載されていました。星明かり程度になると、ほとんど網は認識できないという事ですね。ちなみにベニザケやギンザケの視覚が暗順応(暗い所で徐々に慣れ、視覚が確保される事)状態になる照度ががそれぞれ10-1、10-2lxとなっているようなので特別真っ暗になったとしても、ラインは認識できなくても、もう少し大きいものであれば認識できるような気もします。さて、ここまで長かったですが、私たち釣り人がニジマスを釣るにはどうしたら良いのでしょうか?それはもう、お分かりかと思いますが、ニジマスは光を感じている時間において非常に活動的だと言うことがわかりますね。また、ラインを認識しているか?などを考慮すると特に朝マズメが一番のチャンス、続いて夕マズメが2番目のであることがわかったかと思います。もちろん日中も十分活動しているので、しっかりタナを合わせて狙うことができればチャンスありでしょう!ニジマスは太陽が上る前から活発に動き始め、その時ラインは特に認識しずらい状態にあります。照度や活動量、そしてラインを識別できるかどうかに焦点を当てて釣りのことを考えるとこんな結果となりました。まとめさて、ちょっと難しいお話でしたが、活動時間や視力的なことに照準を当てたため、摂餌行動の時間帯などは無視しています。もちろん、どの季節の、どの昆虫がどうだと言う話も抜きです。また、巻きの釣りにおいてはラインの太さは関係ないと思われる方も多々いらっしゃると思いますのでご参考程度に。ただ、活発に動きまるという事はそれだけチャンスが訪れやすいことでもありますね。これが釣果に繋がると信じて釣りをしてみたいと思います!藤森さん、東海さん、松田さん、ありがとうございました(*- -)(*_ _)ペコリ最新のサケ、アオリ・マメイカなどの北海道の釣り情報はこちらからご覧ください!↓↓↓