『失はれる物語』 乙一
先日、日記に書いたように毎日少しずつ本を読んでいる。積本消化の第一冊目は、乙一の『失はれる物語』この本は、短編が7つと、作者があとがきにかえて書き下ろした一篇から成っている。その一つ一つの物語に対して、簡単な感想を述べておこうと思う。Calling You不思議な恋愛小説。遠距離のような、これほど近いことはないというような。繋がっていることをいつも実感できるって、最高だね。映画「イルマーレ」を彷彿とさせるような物語。失はれる物語失ってしまった時は戻らない。だが、失った事で始まる物語も確かにあったのだ。ほんのわずかな光でもそこに射していれば、幸せは感じ取る事ができるのだ。傷愛はそこにあり、愛は自らをも癒す。痛みさえも暖かい。わが身に刻まれた傷は愛の証。手を握る泥棒の物語勘違いと偶然が生み出す心温まる物語。泥棒が手に入れたものは、自分さえ気づけずにいた一握りの暖かい心が呼んだ報酬。しあわせは子猫のかたち孤独が好きですか?自分を消してしまいたいですか?闇の中でしか生きられないのですか?闇に生きるものが、光を与えてくれる物語。ボクの賢いパンツくん大人になっていくって、こういうことなんだ!マリアの指人はなかなか変われるものではないが、それは決して絶対ではないのだ。過去の傷に囚われて動けなくなることは悲劇を呼ぶ。幸福を求めるのならば、変わろうと努力すればいいのだ。ウソカノいつか現実と向き合わなくてはならない。自ら創り上げた物語を生きるのはたやすいが、全てわかりきった世界はぬるい。ぬるい世の中でも、生きた風を感じたいだろう?この全8篇の中で、私が一番好きだったのは「しあわせは子猫のかたち」だ。どんな人でも、どこかに通じ合う人がいるんだよ。必ずね。きっかけがありさえすれば・・・しあわせは、誰の前にも平等に転がっている。それに手を伸ばす勇気が持てたら。そこから始まるんだよ・・・ダークな部分を描きながら光をも描いてしまう乙一はすごい。この一冊でかなり心を取り込まれてしまったようだ。 失はれる物語 blogランキングに参加しています☆ どうか、激励のクリックお願いしま~す!