ニーノ・ロータのあまりにも有名なあのテーマ曲の旋律が、今でも耳に焼き付いて離れない。
アラン・ドロンの出世作となったこの映画‘太陽がいっぱい’。
ルネ・クレマン監督の1960年の作品である。
アラン・ドロンは、美しいのだが、どこか陰険で暗い影を持つ、
貧しい青年トムを見事に演じきっている。
金持ちで放蕩息子である、友人フィリップ(モーリス・ロネ)を連れ戻すよう、
彼の父親から頼まれたトム(アラン・ドロン)は、
彼の恋人マルジュ(マリー・ラフォレ)に会い、強く惹かれるようになる。
3人でヨットで海に出るのだが、冷酷なフィリップはトムをいたぶって楽しむ。
やがて、トムはフィリップに殺意を抱き、マルジュがヨットを降りた後、
2人きりになったのをよいことに、ついに殺害を実行する。
トムはフィリップに成り済まし、彼の財産を思うがままにする。
かたや、恋人を失ったマルジュに同情を寄せるフリをし、
トムはマルジュまで自分のものにする。
フィリップではないことが暴かれそうになったトムは、さらに第二の殺人を重ねる。
何もかも手に入れ、うまく行ったかのように見えたが、
ラストに意外などんでん返しが・・・
トムがフィリップと船上で2人きりになった時、
どうやってフィリップを殺すか本人に明かすシーンや、
彼の死を自殺に見せかけるためにタイプライターで遺書を作るシーン、
フィリップに成り済ますために、
大写しにした彼のサインをなぞって練習するシーンが印象的だ。
もちろん、全てが崩壊するラストは圧巻である。