「人のフリみて我がフリ直せ」
異様な臭いを漂わせながらも余裕綽々の爺さんを横目に、我慢する事数分。英語で文句を言う勇気のない腰抜けぴぎーの前に、救世主(その1)が現れた。上沼恵美子を3倍太らせて少し汗をかかせた感じのご婦人である。おもむろに・・・「ちょっと、こんなとこでタバコ吸うのやめてくれないっ?」と(言っていたと思う)、勇猛果敢に抗議を始めたのだ。しかし爺さん、ヒートアップする御夫人の事など素知らぬ顔。「ワシがここでタバコ吸って何が悪い。」と言わんばかりに、無視を決め込むこと約10分。いい加減、周りの我慢も限界になりつつあった。私の後ろにはヤングでナウ(死語)なカップルがいたのだが、どうにも我慢できなかったのだろう。彼氏の方が文句を・・と思いきや、彼女の方(救世主その2)が爺さんに苦情を述べだした。(やはりカナダは女性の方が強いのだろうか?)まぁ、「上沼恵美子×3」など物ともしない爺さんである。小娘の言う事など鼻であしらい、更に煙を吐き出すこと暫し。最後には悪態までつき始めた。はっきり言って、フェスティバルどころではない。「この爺さんを何とかして抹殺しなければ・・」と殺意さえ覚えかけた瞬間、どこからともなくセキュリティーのお兄さんが現れた。どんなに大仁田厚似でも、どんなに足が短くても、ぴぎーには救世主(その3)にしか見えなかった。そして、Excuse me, Sir,,,と切り出すと、聞き様によっては脅迫にもなりかねない言葉で爺さんにプレッシャーをかけていた。爺さん、さすがにビビッタらしい。急におとなしくなったのだ。だって、「止めていただけなければ、あちらでちょっとお話を・・」と強制連行をほのめかされてたもんね。 今回、なぜこんな話をしたかというと、ぴぎーの心の中に一種の偏見(のようなもの)があったことに気がついたのである。この爺さんは車椅子に乗っていたわけだが、だからと言って私たちと何ら違いはない。もちろん、助けの必要な人には手を差し伸べるのが人として当たり前の事であるが、だからと言って必要以上に気を使うことも、逆に差別になってしまうのだなぁ、と。公共マナーはどんな状況下であっても、守れる限りは守るべきものであると、当たり前のことながら再認識した一夜であった。ほら、JTも言ってるじゃない。「煙の行方に気を配る事。」って。