[第5ステージ] ミニ写真展「イスタンブール」4 旧式の車をさらに古風に仕上げる修理屋もちょっと一休み
トルコだけではありません。十年以上前に幾度も旅行したギリシアでもそうでした。道行く車のおんぼろなこと、実に見事でした。交通ルールを守らないことも、見事に徹底しています。歩行者は赤信号でも平気で横断しますが、車もそれを見ていないかのようにして、交差点に猛然とつっこんできます。つまり、歩行者は命がけで横断しているのです。タクシーの乗車方法もときには奇抜。自分でドアを開けるのですが、これが一苦労。なんとかギクシャクこじ開けて、座席に転げ込むと、座席シートは破れ放題、ささくれ放題、スプリングもお尻にじかに当たる感じ。目的地で降車してもまだ一苦労、ドアを閉めようとしても動かないのです。運ちゃんの身振りで、「Ok, I see!」、ドアをガンと蹴って、「バイバイ」まったく、ここまで来ると、おんぼろぶりも立派。イスタンブールでは、数キロ離れた地点に行くのでないかぎり、タクシーは使わず、歩き一点張り。空港からホテルまで使ったタクシーにだまされたことも理由の一つ。乗車時、ついうっかりしてメーターをチェックしなかったのです。もともと超インフレ状態とはいえ、走って5分ですでに初乗り料金の20倍以上!先客のメーターに加算する状態で、べらぼうな料金を取られたわけですが、これには懲りました。お隣の国ギリシアの大英雄オデュッセウス(ユリシーズ)はだましの名人。地中海あたりでは、だますよりも、だまされる方が悪いという感覚があると聞きました。イスタンブールの下町を歩いていて、車の修理屋を見つけました。木漏れ日にペンキが剥がされた車のハーフトーンが美しく映えています。折から中古車のリフォーム中のようですが、修理屋は留守。ここでは私に珍しく、じっくり構えて、2枚いただきました。寿命が尽きるまでこうして大事に使い続けられるこの車、我が国の車たちよりも幸せそうでした。