芸術の秋
秋だからだろうか、いろいろ前からやろうとしていたことを本格的に始めている。先週はミュージシャンの友人の2人と別個に、私が書いた超短編小説を音読し、アンビエントでスカスカなビートをつけた。一つは義理の母のペットの猿を誤って殺してしまい、密かに猿を埋葬する場所を探す話、もう一つは、壊れた家族の絆と崩壊をそれぞれ、母がつけていた梅酒とその樽への蟻の侵入で象徴した話だ。基本的に現在は英語だが、日本語のものもつくろうと思う。3-4分ぐらいの言語ベースではなく、実際のヴィジュアルが思い浮かぶようなストーリーを使う。こちらのタブロイドと呼ばれるスポーツ新聞のようなものから、三面記事や社会記事をピックアップをし、短いストーリーをライターの友人とやる予定だ。これは三島由紀夫がやっていた方法でもある。音読も、コックニーなまりとか北部なまりとか方言の問題がでたり、自信のない人が読めば語尾が消えるようになったり、集中しているためか何となく怒りながら読んでいる人がいたり、音読をする部分もプロダクションは面白い。ただ、読むだけではない。「基本的にノスタルジーだから、ちょっと距離感をもったように読んでくれ」とダイレクションを指導したり、マイクを近づけて、もっと生の音に近づけて、個人的な情感が入っていることを強調したりするなど、いろいろなテクニックがあるようだ。Rはゲイリーニューマンとディペッシュ・モードを信奉しエレクトリカをやっていて、もう一人のDはケミカルブラザースにギターを加えたような音楽をつくっている。どこまで、ストーリーを聞く場合に邪魔にならずにBGMを挿入するのか、今いろいろ実験している。ソフトウエアの発展というのはすごいから、かなりの水準のものが簡単にできる。Flash、Maya, After Effects, Poserなどいろいろなコースに行った。ソフトウエアをマスターをする時間があまりないから、学生を雇おうとも考えている。このラジオ演劇のようなものに、実写、2Dおよび3Dのアニメーションを加えて、アニメーションとして製作をするつもりだ。実際にはAudio Book + Slidesみたいな簡素なフォーマットとなると思うが。状況を考えれば時間があまりかからないフォーマットというのは好都合だ。アニメーションをつくってくれるアートスクールの学生やアーティストを今張り紙をだしたり広告を出したりしていろいろ探している。また作家や俳優などともユニットをつくろうと考えている。リミックスの曲みたいにいろいろなヴァージョンを別のユニットでつくるのもいいなぁと思っている。それで、出版はウエブおよびパブの2階で上映会などをやり、コンペにも出すつもりだ。大学時代、一番楽しかった思い出は、友人と音楽をつくったことだ。つくることと発表することは何と楽しいことか。私が職業としておこなっているアドバイスもクリエーティブな部分があるので、嫌いではないが、このようなアート・プロジェクトはどこまでできるかという境界がなく、プロジェクト・パートナーと深いレベルでコミュニケートできるし、発表するときの満足感があり、他の仕事と比べ物にならないと感じる。仕事も忙しいので、どこまで時間を捻出できるのか調整中だ。しかし、こんなことをやるのは本当に面白い。生きていてよかった。芸術の秋だなぁ。