口伝で継承する色と技
京都は、祇園祭に入り蒸し暑さも厳しくなってきました。京都府民だよりの記事に「顔師」と言う職人を紹介されていました。奥山恵介(71歳)顔師(かおし)長刀鉾のお稚児さんの化粧方を受け継がれて10年ほどになられ、祇園祭に入るときは、化粧道具を新たにして水と酒で清めるそうです。お稚児さんの化粧は、日本古来の和化粧である白塗り。この白塗りの技を継承する者だけが「顔師」と呼ばれるのです。和化粧とは高松塚古墳の時代までさかのぼれるそうで、化粧道具は平安時代から変わっていなく、白塗りも、お稚児さんは神さんの白ですから透明の白これは、京風といわれる色。歌舞伎役者は不透明の白で、また違います。「手足三年、えり首三年、顔四年」いうて、白の下塗りを会得するだけで十年かかるのがこの世界。さらに「上塗り十年」、つまり役によって違う化粧を覚えるのにまた十年。和化粧は今でも親方が口伝で後継を育てる凝縮の世界。親方と言われるには秘伝の色を受け継がねばならず、紅ぼかしに使っている紅は、先代が四十年以上寝かしたその上澄みをとったもの。白粉も独自の配合です。上方にも江戸にも顔師はいますが、神さんの透明の白を継承させてもらえるのが京の顔師だと思っています。と語られておられる記事を読み、色へのこだわりと技の継承の奥深さを感じました。デジタル化が進む現代において、着物の染色もインクジェットでデジタル化も行われているようですが、どうなんだろう・・・・