|
カテゴリ:あ☆ぼたん
むしょーーに活字が読みたくなるときってないですか?
頭の体操変わりに「寝る前に本でも読もうかな」なんて思って、正月前に日本文化会館ってところで本を数冊本を借りてきました。 この会館は、日本で言う図書館みたいな場所なんですけど、漫画とかも置いてあるんですよ。メジャーなので「ドラゴンボール」「ドラえもん」、ちょっとマイナー系では「ランプランプ」とか。 で、この場所には日本の文化を知りたいってことで、普段は陽気なアルゼンチン人もその会館ではホント静かに活字や、京都の寺写真集を読みふけるんです。 アルゼンチンは今真夏で日中は35度ありますから、もちろん会館は冷房が効いている。日本語も解らないのに涼しいから毎日同じ場所に座ってる人も居るそうですが、そこはしょうがないですよね。 ・・・・・ 当方が会館に入ると、真っ先に一人の50歳くらいのマダムが目に入りました。で、よーく手元を見ると読んでいる本が、 「筋肉マン」 ってのはどういうことなんでしょうかね・・・ 当方くらいの漫画オタクになると、何巻くらいでどういうストーリーかは大体解っているんですけど、その推定年齢50歳のマダムは35巻を時間をかけてジックリと読んでいました。 「35巻っていうと、ちょうどアレだ、ウォーズマンに筋肉マンがパロスペシャルを掛けられている所だな、なかなか通じゃないか、あの場面は何回読んでも面白い」 と横目で細かな分析をしているにも関わらず、35巻を読み終わってから61巻を読んだり、、というマダムのトリッキーな動きと、また館内の微妙な静けさも相まって一人で大爆笑。 笑いを堪えるってのは疲れますね、ほんと。注目が一点に集まる中、館内から逃げるように帰ってきたのがつい数日前なんですが、借りてきた中でも非常に心に残った本がありましたのでココで紹介したいと思います。 「年を歴(へ)た鰐(ワニ)の話」レオボール・ショボォ 著、山本夏彦 訳 知ってる方も多いと思います。山本夏彦さんって方は、コラムニストなんですけど、それはそれはその道では有名な方ですよ。この「年を歴た~~」は氏の翻訳代表作と言ってもいいでしょう。 その他の著書に「無想庵物語」「愚図の大いそがし」などがあり、これは数年前に読んだ覚えがあります。そしてずっと気になってた「年を歴た~~」をとうとう借りてきたんです。 何というか、アレですよ、子供の頃にファミコンのカセットを買ってもらったくらいのワクワク感だったんですが、中々読めずに部屋に放置してあって、やっと昨日読破しまして、その内容が呪いのように心に残ってしまっているので、ここであらすじがてら吐き出します。 ************ 「まだ若い頃、ピラミッドを建てられるのを見た」 という、長生きの鰐が主人公です。しかしさすがの鰐も年齢には勝てなくなってきました。その証拠に5、60年このかたナイル川の湿地が身にこたえ始めてきた、何故かと言うとリウマチなのです。 身体が思うように動かないので以前なら簡単に捕まえられた魚も、スルリと逃げられてしまう。日々の献立は貧しくなるばかりの鰐。 冒頭はこんな感じで始まります。 最初の何行かを読んでから、 「なーんだ、あんまり面白くなさそうだな。ただのリウマチのショボくれた鰐の話だもんな。。話の山をどういう風にもってくるんだろう」 と思いながら、しばらく読み進んでいくと、この鰐は大変なことを計画します。ってのは、あまりにも腹が減ったので自分の家族を一匹食おうと決心してしまう。 たまたま自分の側で眠っていた曾孫を発見。気づかれないうちに大きな口をあけて、、、パックリンチョ☆ 年をとった動きの遅い鰐にふさわしく、ノンビリした話かと思ったら実はそうでもない。 後日、曾孫を食べた事がばれた年をとった鰐。自分をどういう風に処罰するかで家族会議が開かれているのを目にして、長年住んだ場所から逃げ出してしまう。 こりゃ、また何か食べるな・・・と嫌な予感がした。そしてその後、その通りになる事を読んでいる人間には止められない。 さて、鰐は何所へ逃げたのかというと、ナイル川の流れをユッタリ下って海へ出る事を決心した。そこで、砂浜に寝そべっているタコと知り合いになる。そのタコは鰐を見てこう言った。 「私の足は12本もあるの」 「勘定したのか?」と鰐。 「ええ、私、12までなら勘定できますわ」 空腹の鰐のために魚を捕ってきては御馳走するタコ。足も多いけど、サービス精神も旺盛な彼女。2人は眠り、朝になって鰐の方が先に目を覚ました。そこである考えが鰐の脳裏をよぎる。 「もし・・このタコを食べたら・・・」 あがあが、やっぱり食べちゃうのか・・・自分のために働いてくれているタコを。ひどいなぁ、、と当方のそういう声が通じたのかは知りませんが、鰐も一応は自分の考えに悩みます。 「いかん。分別がなければいかん。俺は・・このタコは食わぬぞ。だが・・なんと美味そうではないか。ほんの少し、、ほんの少しだけ味を見るだけなら良かろう。ほんのぽっちりだ。明日、目を覚まして何も気がつかないくらいぽっちりだ。例えば、、足一本。十二本もあるのだから・・」 かなり怖い話になってきました。ココまで来ればホラーノベルですよ。タコは「私は十二までなら勘定できる」と言ってたけど、それは嘘で、本来は計算なんか全くできない。 だから足が毎朝1本づつ無くなっていくのにも全然気付かない。可哀相なタコ。間抜けなタコ。タコワサビ大好きで「白木屋」に行けば絶対頼んで3皿は食べるのに、こんなところでタコに同情するのは無責任かもしれないけど、そう思う。 それにも増して、可哀相な鰐。そんなに食べたくて仕方が無いなんて。 一度食べると忘れられないタコの味。 それと同じように一度読んだら忘れられない何かが心に残る「年を歴た鰐の話」。怖い。だけど、懐かしい。当方は時々タコで、時々鰐だったと思ったら何だか恥ずかしくなってくる。 ネタバレになるのでラストは書きませんけど、それはそれは壮絶なラストです。 机の上にこの本を置いておくと、表紙が目に入った瞬間に自分の中で出来上がった寝そべる「鰐」の気配が湧いて来て、 2回怖い。 今日は金髪ちゃんの夢・・・見れるかな。。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|