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2006.05.14
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若い頃のある日、当方は一人で電車に乗り新宿に向かっていました。

千葉駅からの総武線各駅停車三鷹行きに乗ると、千葉駅が始発だったので必ず座れるんですね、だから多少は時間が掛かるけど新宿に行く時はその電車をよく利用してた。

新宿までの1時間20分は遊びつかれた身体に僅かな休息を与えてくれます。

いつものように定位置の角の席に座りウトウトしていると、人が沢山乗ってくる稲毛駅に停車します。そこでどうしても起きてしまう。でも暫くしたらまた睡眠の妖精が当方に甘い言葉を囁きかけて来るわけですが、この日はちょっと違った。

稲毛駅で人の流れのために軽く目が覚め、顔を上げて車内を見回すと当方から1mほど離れた場所に超ベッピンさんが立っていました。「いい足してんなぁ・・」などとスカートから出ている脚線美を凝視していると、そんな「いい足」・・・いやその上のケツに伸びる魔の手が見えたんです。

(ち・・・ちちちち痴漢だ!!!)

それを見てる当方は座っているので目線がモロに女性のケツなんですよ。だから立っている人からの目線には見えないものが見える。おぱんてぇとか、おぱんてぇとか、おぱんてぇとか。

もうね、見ているコッチがすごくドキドキした。

もう少し見たいなぁ・・なんて思っていたけど、女性のほうが泣きそうになってて可哀相。男のほうも抵抗しない女性に向けて行為が段々エスカレート。(す・・すげぇ・・ドキドキ)なんて思いながら暫く見ていたけど、よくよくその痴漢をされている女性の顔を見ると、知り合いにすごく似てたんです。似ていたというよりも、友達でした。

暫く会ってなかったので最初は解りませんでしたが、どうみても中学時代の友達だってことに気付いたんです。「これは黙って見てたらいかん!」とこの時の当方は正義感に燃えたのか、それとも偽善か、いずれにしても何を思ったのか席を立ち上がります。

で、一回全く関係の無い駅で降りて、また同じ電車に乗り込む。今まで立っている老人に席を譲った事もないし、老人に「席譲ってください」なんて言われようものなら「寝たふり」で完全無視を決め込み、座っている時はいつも椅子に思いっきり深く腰掛けて大また開いて2人分のスペースを取っていたくらいの「歩く迷惑人間」が何を思ったのか。

卒業してから数年経ってはいるものの、中学時代に同じ教室で馬鹿話をした女のおぱんてぃを見る事も興奮します、が、そこはやはり節度というものがある。知人として助けなければ、という感情が芽生えました。

そんでその痴漢を撃退した後に駅のホームを歩きながら、

「やぁ、舞じゃないか。大変だったね」
「グスン・・・うん・・M・・久しぶりだね・・・」
「見てられなくてさ、助けちゃった」
「ありがとう・・・ほんと・・」
「いいのさ、俺は舞のことが中学の頃から好きだったからね」
「え?・・そ、そうなんだ・・」
「そうさ、気がつかなかった?」
「気付いてたけど・・恥ずかしかった・・」
「舞、ちっと喉渇いたからそこの自販でコーヒーでも奢ってくれよ、コーヒーくらいいいだろ?」
「うん、ちょっと待ってて」
「はい、このコーヒーで良かったかな・・」
「暖かいね、コレのんで落ち着けよ、俺は要らないから」
「え・・・優しいんだね、、M」
「まぁな、俺の心はそのコーヒーよりも温かいぜ」
「・・・ねぇM・・この後予定あるの?」
「舞のためならどんなに忙しくても予定あけるよ」
「ありがとう・・」

「・・・私でいいの?」
「当たり前じゃないか、舞、お前は可愛いよ」
「ありがとう・・」

なんて事になったら・・こんな妄想をしながら頭の中は正義の味方気取りですよ。でもね、取り合えず立ってはみたものの、助ける手段がなかなか思いつかなかった。その間にも「舞」には魔の手が侵略している。早く!早く助けないと!と思っても、車内が混み過ぎていて男の後ろに位置取るのがやっとの状態。2人の間に割って入るのは至難の技だった。

考えに考えた。

どうにかして男の手を止める方法。

即効性があって、実行しても相手の男と喧嘩にならない方法。

コレしかないと思った当方は、迷わず男のケツを揉んだ。揉みしだいた。目をつぶって、このケツがおにゃのこのケツであることをイメージして、それはそれは丁寧に揉んだ。揉んでる時に男がコッチを振り返って、苦虫を潰したような顔をした。もう少しだ、ここで怯んではいけない。

後ろから男の肩に顎を乗せて耳元で、

「ハァハァ・・・いいケツですね・・・僕、こういうケツ大好きです・・ハァハァ」

と、ちょっと危ない人を演じる。こんな事をやってても当方の髪型はオールバックっぽかったのでホモを演じても説得力にやや欠けるかもしれませんでしたが、即効性は抜群だった。男は直ぐに女性の方から手を引っ込めて、当方からのホモ攻撃阻止に両手を使う事になる。

取り合えず作戦は成功した。

でも、当方の知り合いの女の子に与えた身体的・精神的苦痛はこんなものではない、そしてもう一つ、もう2度とその男と会うことも無いだろうと考えたときに、当方の頭の中は更に面白くなってきた。

「ハァハァ・・・どこがいいんだい?ここかい?・・・ハァハァ、、君も触って良いんだよ・・」

と追い討ちをかけると、次の駅で逃げるように降りていった。

撃退した。やっほっほーーい☆

車内が少し空いてきた頃に「舞」に話しかけた。シナリオは妄想の通り。最初の言葉は「やぁ、舞じゃないか。大変だったね」だ。

「やぁ、舞じゃないか。大変だったね」

「だれ?マジでキモイんだけど」

「ちょ、ちょっと待て、俺だよ、Mだよ!」

「M、ああ、Mね。貴方、ホモだったんだ、近寄らないで、マジキモイ」

「違うんだって、俺は・・

 「最低」
  「最低」
   「最低」
    「最低」

ヒューーー・・・・各駅電車のドアが開くたびに車内に吹き込んでくる冷たい風が当方の心に氷柱のように吹きすさぶ。あぁ、この世の不条理だ、こんな事があっていいのか。くそう、やってられるか、俺がやったことは間違いではない、きっと正しい事をしたんだ。でも、それに至るまでの行為が、ちょっとだけズレていただけなんだ、、

車内が空いた頃、再度ドカンと座席に腰掛けて大また開いて3人分のスペースを占領し、ウトウト眠り、気がついたら三鷹の終着駅まで行き、車掌に起こされ、友達との約束に大遅刻した散々な日だった。女性にキモイって言葉を使われたのは、それまでの人生でもコレが最初で結構落ち込んだなぁ。

三鷹の駅で折り返しの電車を待つ間、暖かい缶コーヒーを飲んでいると「あぁ、舞と一緒に飲むはずだったコーヒーなのに・・・」とヤケ酒ならぬヤケコーヒーがぶ飲みで服に大量のコーヒーが垂れてオコチャマの食事後の服みたいになった当方は、そのまま線路に身投げしようかと思いました、が、Tシャツをリバーシブルで着ればいいんだと言うことを思いつき1秒で断念。

裏もバッチリ染みてて今度は本気で線路に飛び込もうかと考えていたら、ホームに可愛い女の子がいたのでそれを見てたら身投げするの忘れた。本当に散々な一日だったなぁ☆





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Last updated  2006.05.15 06:38:45
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