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カテゴリ:あ☆ぼたん
最近、身体が弱くなったのかそれとも歳なのかまた風邪を引いた。以前までの風邪は測ったように業務が余り忙しくないときに熱が出たりしてたのでまだマシだったんだけど、今回のは大型パーティの当日の朝イキナリ来た。
当日の朝、いつもより少し早めに起きようと6時に起床。何処と無く身体の変化に気づきながらも(何とか持ちこたえられるべ)と安易な気持ちで業務に就く。が、徐々に身体が眠りから覚めていくのと同時に身体がやたらと重く感じてきた。 数百グラムの包丁がまるで何十キロかの丸太を持っているように重く、体重も300キロほどになったように重い。軽い咳払いをするたびに頭に激痛が走る。早朝で薬屋が開くまでまだ時間があるし、持ち合わせの薬も無いのでそのまま(うおぉぉぉうおぉぉぉ)と歯を食いしばりながら人参を切る。 手に職を持っているという事は正にこういうときに非常に残酷なもので、料理人などの専門職になるとこういう万一の事故に際して当人の代わりをできる人間なんか誰も居ない。増してや当日の朝なので、当方仕様に仕込みも段取りも完成してしまっている、その点から見ても誰にも当方の頭に描いた料理シナリオを読むことはできないし、仮に代わりに誰かが作ったとしても当方以上のものが出来るということもありえない。 なので責任をもって最後までやらなければいけない。が、そういう気持ちに身体が全くついてこない状況。この日薬局が開くまでの数時間で4回立ちながら意識を失った。倒れる前に根性で意識を繋ぎとめ、その場でバッタリいくことは無かったけど、歯茎から血が出るほど歯を食いしばって、自分の太ももを殴打しながら何とか意識を繋ぎとめる。 朝方10時になり、やっと薬局が開く時間になったので部下に「頼む、アルゼンチンにある風邪薬の中で効く効かないは別として最強に強力な熱冷ましを買ってきてくれ・・・」と薬を買いに行かせた。 買って来てくれた薬は毒々しいほどのピンク色で(コレ、何か別の薬なんじゃねーの?)と思わせる風貌をしてはいたものの背に腹は変えられない。買ってきてくれた部下が「Mさん、1日2回食後に一錠づつ飲んでください、って薬局の人が言ってました」と言ってたけど飯も食わずにその場で8錠一気飲み。 30分後。 ・・・・・・・・ ・・・ ・ ・ 寒い。 身体が羽のように軽い。 でも寒い。 まるで自分の身体ではなくなったかのように軽い。地に足が着いていない、地上から5センチばかし身体が浮いている。そうか、前々から思っていたんだけどやっぱり俺ってこういう未知のパワーを持っていたんだ・・・・ いや違う。 目がおかしい。 遠近の差が変についている。物がこんなに近くにあるのに手が届かない。逆にこんなに遠くにあるものに簡単に手が届く。うっは!すげぇ!ハンドパワーだよ! ぽた ぽたぽた・・・ あ、血だ。 数年ぶりに鼻血が出た。 しかし寒い。 ここで当方の余りの異変に気づいた部下が体温計を持ってきた。「いや、俺は熱がでても体温計らないから。計ったって治らねーだろ?」。トン、と当方の目の前にそれを置き、仕事に戻っていった。でも目の前に体温計があったら、どれくらいの熱があるんだろう・・と気になってくるのが人間というもの。 (多分、この状況からすると・・・39度は間違いなく振り切ってるだろうな・・) ピピピッ 33.9度 (う、うそ・・・もう一度・・・) ピピピッ 33.8度 「・・・・」 (冗談だろ、何だよ33度って。確か人間って32度になると死ぬんじゃなかったっけ・・・アレか、薬が効きすぎたのか、やっぱ8個も飲んだら流石にきつかったか。でも熱が高いよりは全然良いな、身体軽いし。) 結局それ以上熱を計ってなかったのでその後は何度まで下がったのかは不明だけど熱は下がっているのにとにかく寒かったのだけは覚えている。 が、その日の仕事のことは何をやったのか全く覚えていない。 未知の領域である33度台を体験し程なく生還したM君ですが、33度台・・・なかなか良いですよ。見えないものが見えてくるっていうか、神経が研ぎ澄まされるというか。危なそうなので金輪際こういう無茶は止めにしときます、多分。 でも勢い余って12錠飲んでいたら・・・禁断の32度台にもなってたかも。 おー怖。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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