|
カテゴリ:今を歩む
ゲド戦記(映画)を見た。
かなり惰性で見た。いや、見てやった。返せ、俺の時間を。 (ネタばれ注意) 見ながら20分毎に「つまらん。もう見るのやめよう、この先も多分期待しているような山は来ない」と頭では既に解っていても、「もしかしたら・・・(ジブリだし・・・)」という気持ちがずっと頭の隅にあり、結局だらーっと全部見てしまった。 予想通り最後までそんな期待しているような山場はもちろん来なかったんだけどね。 本に例えるなら、せっかく買った小説が超つまらない。でも他に読むものもない、再度その小説に目をやるも数行読んだところで「もうだめ、限界…」とラストの数ページにワープして無理やり読みきった、という感じ。 これを見ながら退屈で何本煙草を吸ったか解らない。 最近よくコチラで映画館へ足を運ぶけど、この映画ほど駄作という言葉が似合う映画は無いかも。とは言っても、これがスタジオジブリの作品じゃなければ期待して見る事も無かっただろうし、こんな辛口のレビューも書いてはいなかっただろうと思うけど。 はからずも過去の数々の優秀な作品群のせいで、見る前はこの映画に対しての期待も大きかったし、ある程度自分の中の欲求ハードルも高めに設定していたので、見終わってからの失望も落胆も大きかった、という事になるんだろうか。 まず何が駄作なのかを具体的に書くと"ストーリーの薄っぺらさ"が一つ。 話が単純なんだか複雑なんだか最後まで全く解らなかった。複雑というにしてもマトリックスのような何回か見たら理解できるようなものではなく、「なんでコレがこうなるの?」という考えても永遠に答えが出ない無限ループのような難解さ。ただ、そういう細かいところを無視して物語の肉を削ぎとって見ていけば、単純明快な世界を救うために女魔王を倒す、という単純なストーリーになる。 でもね、世界を滅ぼそうとしている女魔王の部下が5人しか居ない。そしてみんな弱い。なんて小規模なんだ、当方のほうが部下が多いじゃないか。 他に期待を大いに裏切ってくれたのは、このゲドってのは主人公であっても、主人公的な描写で描かれている訳でもなく、活躍もあんまりしないし、特別強くも無い。戦記という題名が付いていたものだから、ゲドの回想的なものも想像していたんだけど、「戦記」として記されるオチも「これで良いのか・・・」というくらいに弱い。 登場してくる人物もナウシカのユパ様とクロトア、モノノケ姫のヤックル(馬?)とアシタカ、祟り神のドロドロゼリーをごっちゃに混ぜて煮込んでパイで包んで焼いたくらい他の作品から引っ張ってきたような描画が多かったことも一つ、当方ごときに駄作と言わしめるに値する事例であろう。だって完璧に主人公のゲドとナウシカのユパ様がかぶってたからね、いつ「双方やめぃ!」って言うのか期待してしまった。 次に登場人物の少なさ。 名前が付いてる登場人物が4人か5人くらいしか出てこなかった。そして出てくる登場人物にも魅力が無く、個人個人の歴史の説明も無く、どうしてこの人がこうであーなのかと最後の最後まで考えても答えが決して出る事が無い、まるで歯に引っかかったスルメがいつまでも取れない、のと同じような中途半端な不愉快さも見終わってからずっと感じた。 3つ目に、画。 ジプリといえば、非常に卓越した画力と、アニメとは思えないような人・動物の動きのリアルさがある、が・・・なにあの全体的にカクカクした動き。風景描写も特に綺麗に描かれているという部分も無い。あと、ちょっとグロい。今までのジブリには無かったような描写も結構出てくる。あーいうのは、子供が見ても平気なんだろうか、なんて思った。 全体的に見ると、今現在日本でブームになっている親の子供に対する虐待や家庭内暴力、その逆の親殺し、自殺問題などに疑問を投げかける、要は「命の尊さ」みたいなものがテーマだったように思う。それは綺麗で素晴らしいテーマだとは思うんだけど、どうもテーマ外の事があやふやで、感情移入できるわけも無くせっかくの中心視点が広がりすぎてその中心すらぼやけてしまっている。 こんな映画だから特にこれら3つの要因が残念だとも思わないけど。 今さっき見終わって、記憶の新しいうちにざーっと書いてみたけど、少ない脳容量をこの映画のために幾分か使ってしまったので、今日は早めに寝て脳内デフラグしよう。 まだ見てない人は時間の無駄だと思うけどどうぞ。ゲド戦記1/12 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|