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語りと筆しごと~書家香玉のうずまき帖

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2021年10月05日
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テーマ:ニュース(100194)
夏から秋。
季節の変わり目です。
なんの性分か、私は四季の移ろいを
目よりも先に
鼻や耳でキャッチする。

夏が来たぞの合図といえば
蝉の初鳴きが毎年気になるところで
ジジジーと小さく遠慮がちな一声から
ワーシワシワシと暑さ倍増のリズムを
刻むクマゼミが真夏のシンボルね。

お盆が近くなると
第3楽章までの多彩なハーモニーを
奏でるツクツクボウシ。

私はこの法師様の声を聴くのが
特に好きだ。
近づく秋を感じながら
懐かしい田舎の縁側を思い出す。

都会暮らしだが
まわりは緑が割と多いため 
9月の残暑と共に毎年10月の初めまで
その声を楽しむことができ
ある日ピタッと鳴き止む。 

最後に鳴いた日は?と
毎年なんの得にもならない
私的メモを知らず知らずと
手帳に書き記したり。

ところがだ。

今年は
いつもと違う仕事があって
日々のせわしさからそれに気づかず
いつの間にか、法師様の時代は
すでに終わっていた。無念。

しかしながら
しかしながら

まだまだ昼間の日差しの強さに
うんざりしていた昨日、10月4日
目覚めると同時にあっと驚く
声を聴く。

クマゼミが鳴いている。

酷暑の夏の記憶が蘇る。
まさかと耳を澄ましたが
間違いなくクマゼミ。

音を撮り、生き物好きで話が合う
東京の大学生息子に送信してみたが
彼も驚いていた。

ちょっとタイミング間違えて
1人で生まれたんやろうね

と返事。
切ない。

セミは地中に長いこといて
やっとの想いで外に出て
生きられるのはわずか1週間。

ひょっこり顔を出した10月の
クマゼミ。

でも大丈夫。
まだまだ暑いから
頑張って天寿を全うして欲しい。

翌朝もその声が聞こえ
彼の生きた証にと
ここに書くことにした。

セミ繋がりで
ふと思い出した
八日目の蝉という小説
圧巻だったよな。
あらためて絶妙なタイトル。






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最終更新日  2021年10月05日 09時47分42秒
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