惜しまれつつ
運動会のとき、デザートにと持ってきてくれた義母手作りの栗の渋皮煮。丸々艶々の栗がしっとり柔らかく上品な甘さに煮詰められていて、いくらでも食べられるおいしさ。栗好きな私としては、この季節限定の最高のデザートでした。毎日もったいぶって、ちょこちょこと味わってきたけど、ついに残り五粒になってしまった…あー名残惜しい!自分では、毎年、必死に皮を剥き、一回り小さくなった栗を残念に思いながらも塩味と昆布だしをきかせた栗ご飯をシーズン中、三回くらいは作るけれど、デザートに挑戦したことはまだ一度もない。というか義母のこれをいつも期待しているから、そんな気も起こらない。義母は大らかで懐が広いひと。料理のときも、みんながお腹いっぱい食べられるように、いい材料をけちらずどーんと、大鍋いっぱいに作ってくれる。今回の栗も、市場から6キロも買ってつくり、出来に満足できなくて、さらに追加注文までしたそうだ。イチゴやマーマレイドのジャムも季節になると大瓶いっぱいに、いくつも送られてくる。食べても食べてもなくならないから、夫たちはいつも「作りすぎ!」と苦笑いしたりもするが、それが義母ならではの流儀。この惜しみなさが素敵だとあったかい気持ちとなる。といいつつ…栗はもうなくなりつつ…かといって、あえて作り方は習わないでおこう。いつまでも惜しみなく、手作りのそれを味わいたいから。