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カテゴリ:心をめぐる冒険
―――今日は祝祭男さんに、『好きな言葉』というのを訊いてみたいんですけれど。
祝祭男】 そういうのってすぐにポヒョって思いつけるような座右の銘ってものははないんですけれど、ちょうど今閃いたものを言えば、『人生は祭りだ共に生きよう』って言うのがフェリーニの『81/2』のラストに出てきますよね。 あれなんか割と気に入ってますけれど。何かこうあんまり意味がなさそうな言葉だし。例えば誰かにそんなことを言われても、もう一つピンと来ないところはありますよね。でもなんか、いい言葉だな、と思います。 ―――私なんかは『恋は遠い日の花火ではない』っていうコピーを思いついちゃいましたよ。 祝祭男】 それも、もう一つよく解らない言葉ですよね(笑) でも多分、意味がよく解っちゃう言葉なんて、あんまり面白みもないわけですよね。ふと口をついて出てくるなんてこともないだろうし。 そうそう、あとブッダの『感興のことば』(岩波文庫)の中にこういうのがあります。『「わたしはこれをなしとげた。これをしたならばこれをしなければならないであろう」というふうに、あくせくしている人々を、老いと死とが粉砕する』。まあこれなんかは直裁的過ぎて、ちょっと面白みに欠けるけれど、『粉砕する』っていう突拍子のなさは笑えますよね。 粉々になっちゃうわけですよね、これは文字通り。 ―――ええっと、ところで、今日は、ある社会人の方からメールを頂いているんですが、紹介したいと思います。 祝祭男】 なんか突拍子ないですけれど ―――ニックネーム 「色白大好きさん」です。 祝祭男】 ああ、馬鹿なニックネームですね(笑) ―――えっと、読みますよ。 「僕は社会人三年目の25歳なんですけど、今、住宅関連の営業をやっています。本当は宇宙飛行士になりたかったんですけれど、学生の頃付き合っていた彼女に反対されて、今の会社に就職しました。結構名の知れた企業なんですけど、はっきり言って仕事が全然面白くありません。こんなはずじゃなかった、って毎日のように思いながら、上司の顔色ばっかりうかがって一日中ビクビクしている有り様です。時々車の中で一人で泣いたりします。おまけにこの三月で五年間付き合っていた彼女に振られました。他に好きな人ができたみたいです。で、身も蓋もない質問ですけれど、僕はいったいどうしたらいいんでしょうか?宇宙飛行士の夢も捨てきれないし、心にぽっかり空いた穴を埋めようがありません、お願いします」 ということです。さて、いかがですか? 祝祭男】 ともかく、宇宙飛行士になれ、ってことですよね。 別に何も遅くないですからね。まあ、そんな無責任なことをっていう風に聞こえるかも知れませんけれど、『いろいろいう前に、やりなさい』ってことですよね。多分それが一番いいことだと思いますよ。 でも、もちろん面倒臭いぜ、っていうなら別のことでもいいんじゃないんでしょうか。転職したり、仕事休んでみたりね、気分を変えてみるのも良いと思いますよ。でも、ともあれ、人間は落ち込んでいる時こそ何かした方が良いですからね。鍋洗ったり、雑巾掛けしたり、みたいなね。そういうのって多分大事ですよね。で、美味しいもの食べてのんびり構えるのが良いんじゃないでしょうか。 これで答えになりますかね。 ―――途方もなく無責任なアドバイスだと思いますけどね…… 祝祭男】 そうかも知れませんね。でも、苦しくても駄目でも、支離滅裂でもまあ、いいかってことなら、このまま何もしなくても問題ないですよね。 でもともかく解決策ってことになると、やっぱりそうなりますよね。 ―――あと、「色白大好きさん」からは、リラックス法の質問もありますけど 祝祭男】 リラックスですか。これはまあ、一番簡単なのは、「リラックスしている振り」をすることですよね。 嘘でも何でもいいから、三分ばかり、完璧に「リラックスしている状態」であると錯覚してみるといいんじゃないでしょうか。効果ありますよね。 あとは、「自分なんてないんだぜ」と思うことですよね。 「自分ってもんはねえよ」って思うと、自分にまつわる問題は存在しなくなりますよね。 ―――そんなんでいいんですか? 祝祭男】 いいと思いますよ。何も問題を根こそぎ解決する必要はないですからね。そのときそのときでも良いんじゃないでしょうか。 ―――ええっと「色白大好きさん」、今日はこのようなアドバイスということになりました。私にはよく解りませんけれど、ともかく一度試してみて下さい。 それではまた! 聞き手 祝祭男の恋人 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Mar 9, 2005 01:03:41 AM
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