9/13 Noriko's Day Vol.2
ミューザ川崎シンフォニーホール 15:30〜 / 18:00〜 1階席 <アフタヌーン・リサイタル> ドビュッシー:映像第一集 ラフマニノフ:練習曲集「音の絵」 op.39-1,5,6,9 川島素晴:ピアノの為のポリ・エチュード「ノンポリ」 ショパン:アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ <アンコール> エルガー:愛の挨拶 <イヴニング・ピアノ・デュオ> ルトスワフスキ:パガニーニの主題による変奏曲 ライヒ:ピアノ・フェイズ ストラヴィンスキー:ペトルーシュカ <アンコール> ???:T2 ピアノ:小川典子、フィリップ・スミス(デュオ) 去年からだという、小川典子が一日ピアノを弾きまくるという企画。朝のマスタークラスと昼のコンサートは外して、午後と夜の2公演を聞いてきました。 結論から言うと、面白かった。 小川典子はそれほど好きという訳でもないのですが、よくミューザには出るので、ちょぼちょぼ聞いてますが、それにしても見ての通りの突っ走ったプログラム。なんでも弾きたいものを弾かせてもらうということで、基本聴衆に背を向けて、しっぽを振らずに組んだのが夜公演のプログラム、なんだそうですが、どうしてどうして、午後の公演だって決して聴衆受けするとは言い切れません。 そのせいもあってか、お客の入りはホールの割に結構寂しい感じ。無論後ろ側の席や最上階は誰も居らず、午後の公演は、一階席こそ満席に近かったけれど、2階以上にはそこそこ空きが。夜の公演は一階席ですら空席が少なからず。 まぁ、やりたい事をやる、という趣旨故、それはそれでいいんでしょうし、やりたいものをやってるだけあって演奏は概ね良好。とはいえ、やはり勝手ながら合う合わない、或いは向き不向きはあるのかと。午後公演で言えば、やはりドビュッシーよりはラフマニノフの方がしっくりくる演奏だったし、夜公演はそれ以上に良かった。演目もまるで違うのだけれど、ライヒのミニマルミュージックの実演は当人がやりたいと強く望んだそうで、その甲斐あって「こんなものが生で聞けるとは!」という感じの演奏だった。ただ、お客の方は結構冷淡で、ちょっと気の毒なくらい。この、ピアノ二台による微妙な位相差を演ずる20分ほどの曲、正直もう少しでゲシュタルト崩壊起こしそうなくらいでありながら、しかし、演じられる「差異」がその寸前で色々なアスペクトを見せてくれるという曲。率直に言って、非常に面白かったのだけれど、どうもあまり受けは良くなかったようで、むしろ最後の演目ということはあるにせよ、ペトルーシュカの方が喝采は大きかった。 実際、ペトルーシュカはミスタッチや何かもあるにせよ、非凡な出来映え。ストラヴィンスキーでは、5月のLFJでアルゲリッチが2台ピアノで春の祭典を弾いたけれど、あれに勝るとも劣らないとてもいい演奏。正直お客の入りがあまり宜しくないのが勿体無いくらい。 こういう企画は良いですね。オーチャードの小山実稚恵もそうだけれど、ピアニストにフリーハンドで企画をしてもらうというのはなかなかいいと思います。実際、ピアニストに関しては、他の分野に比べると層が厚いと思うし、脂の乗ってる演奏家が多いというのも好材料ですね。