キャッシュフロー計算書を読む:死亡・あがき・出直し型企業
(昨日の日記の続き)昨日はキャッシュフローで6つの企業タイプを見抜く方法を書きました。とりあえず、業績の悪い企業の例から考察してみましょう! ■ US Airways (死亡型→倒産→合併) アメリカの航空業界は激しい価格競争にさらされほとんど航空会社は業績が悪いです。US Airwaysが最初の破産申請されるまでのキャッシュフローをまとめました。(参考資料) (↓テーブルにすろとどうしても余分なスペースができてしまいます。下にスクロールしてください) 単位:$ Millons ()はマイナス 2003 第1四半期 2002年 2001年 営業フロー -282 -364 -112 投資フロー 89 22 -867 財務フロー 986 334 1,029 飛行機、飛行場、ハブの整備で巨額な設備投資が必要のわりには、激しい価格競争になると資産そのものは死んでしまいます。残るは巨大な借金に負われてしまう最後です。興味深いのは、2002年締めには、死亡型(お前はすでに死んでいる!?)」になっていることです。その後、2003年に破産申請。最近では格安航空会社America Westと合併を模索しているところです。 ■ ダイエー(あがき型→出直し企業型) 土地を担保に借金により拡大しつづけたダイエー。バブル崩壊後、多額の借金を抱えたダイエーは大ピンチでした。その流れを見てみると。。(参考資料 (単位:百万円) H15年8月期 H14年8月期 H13年8月期 H13年2月期 営業フロー 23,079 61,435 30,249 -13,273 投資フロー -13,000 6,503 99,613 209,033 財務フロー -8.852 -39,826 -242,213 -245,285 H13年2月では出直し型企業で、資産を売却して借金を返済していることがよくわかります(投資→財務)。とりあえず、H13年から営業フローがプラスになり、H15年には投資にもお金を費やして一見は優良型に見えます。しかし、バランスシートを見てみると、以前借金大魔王にはかわりないです。 ■ ImClone (出直し型→ 積極型) ImCloneはがん治療薬の開発を行っているバイオテクノロジー企業。カリスマ主婦マーサ・シュチュワートも含め多くの投資家はその夢治療薬に期待し投資しました。 (単位 $Millions) 2004年 2003年 2002年 営業フロー 255.7 -93.4 -4.5 投資フロー -872.2 51.7 34.6 財務フロー 665.0 25.7 4.7 一見死亡型にみえるのですが、2002年、2003年の投資フローは短期投資売却によるフローで、その内容は調べていないのでよくわかりません。 ImClone社のような会社は政府(FDA)からの認可が必要で、その認定に業績が思いっきり左右されるのでとてもリスキーな投資です。実際にImClone元社長はがん治療薬 Erbituxの認可延期をうけて自分の持ち株を売却してしまいインサイダー取引で逮捕されました。カリスマ主婦マーサ・シュチュワートもこのインサイダー取引に関与し、SECへの偽証罪で有罪となり、とても話題性のある会社でした。 ことなく2004年にFDAから認可され、利益を出すようになりまし投資家は報われたようだけど、株価の値動きはかなり激しい。(→チャート参照)まあ、ごらんのとおり、一概にタイプわけをすることは難しいですが、そのキャッシュの流れを知ることで、会社の状態を推測してみるのは結構楽しいですよ。PS. 明日からテキサス出張。ひとまず株ネタはお休み。この週末は司馬遼太郎の「坂の上の雲」にはまっていて、暇があれば本を読んでいます。やっぱり幕末から近代国家をつくりあげる歴史は本当におもしろい。ほんの一握りのエリートたちが日本をひっぱっていたことがよくわかりますね。現在日露戦争突入!