目利きは難しい。
畳表を仕入れる際、どこを見るか…どのランクでも丈夫で長持ちし、使い込むにしたがって、ツヤが出るような品をと考えて、1,イグサ一本一本の内部がしっかり詰まっていて、2,なるべく草表皮が厚いもので、3,全体にツヤがあるもの…と、思って仕入れしていたが、必ずしも上記のものが、使用するにあたり、良い耐久性や発色を出すとは限らないことが最近経験から分かってきた。つまり、新品のとき、見栄えが最高でも使うと思ったような品物ではないこともある、ということだ。最近、こんなことがあった。5年前、ある問屋ブランドの畳表を購入した。品物は、価格の割には貧弱だった。上記した、自分なりの「良い畳表の条件」からは品質は大きく外れていた。なので、ほぼ投売り価格で、施工した。で、先日、5年振りに、そこのお客さんの家に呼ばれて行った。多分、例のブランド畳はすでにボロボロで、見られない状態を想像した。ところが、である!??????全く痛んでないのである。3世代同居の家族で、キッチンに面した6帖間にもかかわらずである。東と南に面した日当たり良好で掘りコタツのある部屋で、敷物していた形跡も無く、使い込んだ畳特有のツヤを放っている。きれいな、山吹色に発色している。新品時にあれだけ目立つった変色した草たちも、ツヤツヤの山吹色にまぎれて影をひそめた感じになっている。なんで??早速調べてみた。そのブランド表をネットで検索すると… えっ!その生産グループの中に知り合い居るじゃない、っていうか、しかも、その人なんだか一番偉そうなポジションに居るじゃない…で、早速、その生産者さんに連絡して、いろいろ教えてもらった。内容は…なんで、新品時にしょぼく見えた畳表が、耐久性と上質な退色を示すに至ったか?1,そのブランド表は特殊でイグサに非常な負荷をかける織り方をするため、 繊維質に富んだ草質でありながら、あまり実が充実していないものを使用している。 ↓ つまり、もともとそのブランド表は、理由あって、柔軟性があって丈夫なんだけども、 ぱっと見は良くない草をあえて使用しているということだ。2,きれいなヤマブキ色に退色した事に関しては、有機肥料の有機質が効いている栽培 をしているから(というような内容だったと思う)。3,あとは、収穫時期の関係。 あまりに草が若い時期に収穫したものは、白っぽくて無条件できれいなんだけど、 やわらか過ぎ。軟弱。 遅すぎると、硬くはなるんだけど、黒ずんだ焼け方になる。 なので、少し黄色みかがった色合いのときに収穫したものが一番きれいな焼け方を示す、。4,イグサの品種 以上の条件を満たすのに適した品種がある。代表的なものに「せとなみ」がある。 ↓ ああ、なるほど、と思った。確かに「せとなみ」イグサは見た目貧弱なのだが、 畳表になると他の追随を許さないほど丈夫だ。5,畳表の重量の付け方 やたら目方を付けると、畳表の目立ちが良くなるゆえに、使用した時の摩擦が大きく なって早く痛む。逆に薄くテローンとした仕上がりに織ると、柔軟性があって、摩擦 をうまく逃がすので、痛みにくい。…と、言った内容を教えていただいた。(勘違いあったら、詳しい方、コメント欄で訂正お願いします)。 逆に見栄えの良い品物を仕入れても、使った感じが良くないこともあることを考えると、良いイグサの条件を再考する必要が出てきたようだ。うーむ、一筋縄ではいかない。良さそうな物がダメで、ダメぽっい物がすごく良かったり…奥深け~。