ひとめぼれ
私は「ひとめぼれ」はしない人間だと思っていた。大体、それまでに付き合った人たちはみんな、第一印象がひどく悪かった。見た目が好みじゃない、遊んでそう、恐そう、ヘラヘラしていて気持ち悪い、といった印象で、最初は眼中に無く、しかし友達や同僚という関係で、日常的に接する機会に恵まれ、彼の言動を観察し、色んな話をする中でだんだんと相手の良さが見えてきて好きなるのがパターンだった。そして、はじめは「全然タイプじゃない」と思ったくせに、「よく見たら結構カッコイイかも」と、外見の評価まで変わったものだった。逆に、見た目で「カッコイイ」と思う相手は、知り合ううちに欠点が見えてきて「大嫌い」もしくは「どうでもいい」に変わるのが常だった。