亀甲船が沈没して・・・
やっぱり沈没した。亀甲船・・・史実にはない事を演出したと、沢山のファンが残念がり、批判している。死者も30名ほど出てしまった。戦争中は朝鮮側の死傷者は少なかったのに。私もこれはどうかな、と思った。一緒に見ていた息子に「これは本当にあったことじゃなくて、ドラマを面白くするために、こんなことがあったかもしれないなと思ってわざと沈没させたのだ」と言った。歴史ドラマは面白いけれど、見ている方がちゃんとした歴史観を持っていないと、と思った。たとえば、この「不滅の李舜臣」は好きだけど、これから7年戦争が始まると、日本は残酷なことをしたという場面が沢山でてきそうだ。今日もそういう事をにおわせるシーンがあった。こういう場面は子供に見せたくない。子供には韓国の血も日本の血も入っている。日本人の私が殆ど韓国人のように振る舞っているから、息子達は自分は韓国人だという事を疑わないだろう。それはそれでいい。私もそれを望んでいる。アイデンティティは確実に持っていた方がいいと思うから。それとともに新しい時代を担う彼らには「国」という観念は超えて欲しいとも思っている。ちょっと矛盾しているが。自分たちは「韓国人」であるけれど「韓国」だけが「世界」だとは思って欲しくないし、韓国の「歴史観」だけがすべてじゃないという事を理解してもらいたいと思うのだ。「7年戦争」は確かにばかげた戦争だったかもしれない。実際、無辜の朝鮮人がひどい目に遭わされた戦争だった。当時の日本人だってどれだけ多くの人が反対したか。それに、侵略戦争なんだから、侵略軍が生き残るためには略奪したり、色々な悪事を働くだろうな・・・痛みを受けた側に「しょうがないよ」とは言えないかもしれないが・・・そういう歴史の両面性を理解できる子供になってもらいたい。そして歴史の過ちを繰り返さない子供になってもらいたい。そして「李舜臣将軍」は韓国の偉人ではなく、世界史的な偉人としてもっと知られてもいいと思う。孤独な立場で守る戦いを続けた人物だ。日本人の私が見ても、本当に偉人だったんだなと思う。こういう人物を扱うドラマの責任は大きいだろう。現在多くの「不滅の李舜臣」視聴者が感じているような事を、私も思う。あまりにフィクションになってはいけないという事だ。子供に見せられなくなる。よく比較される「海神」はチャン・ポゴの一代記を扱ったドラマだが、これはすでに歴史ドラマではないと思う。チャン・ポゴについてはあまり史料が残ってなく、人気作家の空想を膨らました作品だ。数人以外は架空の人物だし、最初から歴史性は棄てている作品だ。私の少ない知識では何ともいえないが、チャン・ポゴという人物はあんなにかっこよくなく、思慮深くもなかったのでは?という気がする。記録が少なさ過ぎるから、どういうチャン・ポゴを描いても作者の自由だ。でも「李舜臣」は違う。朝鮮王朝実録に、客観的な記録に、ご本人が残した日記まである。国民が知り尽くした「英雄」なのだから、もっとデリケートに扱って欲しい。李舜臣の勝利も奇跡も苦悩も、想像力を巡らすのはいいが、ある一線は超えてはいけないような・・・亀甲船が沈没して、子供は少なからず考えてしまったらしい。多くの犠牲を払ってまで亀甲船を再建しようとする李舜臣の意地と、この戦争を分析しようとする天才性を描きたかったのだろうが、私からしてもちょっと疑問だったりする。亀甲船がなくても勝っていたような気もする。別に沈没させなくてもよかったような・・・まあ、来週辺りから「7年戦争」が始まるという事で、心の準備をしながら見ていこうと思う。韓国は歴史が大好きであるが、偏った歴史観を持たないように子供を促していかなければ・・・、難しいかもしれないが・・・