ワインヲタ入門生のチラシの裏

先日の和食に甲州を合わせる会で飲んだ2本のうちの1本がこちらです。
バーダップ樽熟成白2012。生産者酒井ワイナリーは山形県の赤湯で、明治25年から営まれている全国でも最古参の部類に入るワイナリーです。山形といいますと果物どころですが、本ワイナリーも畑を持つ鳥上坂でのブドウ栽培は江戸時代初期に始まったという歴史ある土地です。その後、米沢に牛肉文化を根付いた際、牛肉にあうワインを地元のブドウで作ろうという事でワイン作りへの取り組みが始まったそうです。昔からノンフィルターでの醸造を行っており、最近は自然栽培にも挑戦しているそうです。
セパージュは、地元産甲州100%。価格は、写真のお店で2484円。

色は黄色。そこまで濃くはありませんが、しかしよくある透明に近いような感じではなくしっかり色合いを感じられます。

香りは、開けて直ぐは樽のニュアンスが立っています。ただ、そこまでゴリゴリという感じではなく、ワインのフルーティさと相まってかレーズンバター的な雰囲気。その後、徐々に落ち着いてきますと、カリンや黄桃、それに梨や洋ナシといった要素が強く感じられるようになりました。また、ミネラルや若干のスパイス感も。

味わいは、キュッとした印象の明るい酸が特徴的。山形のワインはそう飲んだ経験は多くないですが、個の存在感のある酸が一つの特徴のように感じています。果実味は繊細で、旨みしっかりの辛口といった印象。ボディはライトですが、エキス分は十分あり、弱弱しいといった感覚は無し。グラスについた涙も中々粘りがありましたよ。

当日は、突き出しの段階でもう1種類も一緒に抜栓して飲み比べる形で行きました。
相性としては、どの料理とも喧嘩など一切せず。味わい的に負けてしまうような組み合わせは確かにありましたが、それでも旨みを引き立てるといった仕事はしてくれます。
その中でも、特に印象に残ったのは、サンマの梅煮、黄にらのお浸し、ヒラメ・サワラのおつくり、椀物の鱧でしょうか。
梅煮は、味わいがそこまで濃くなく、魚の旨みを感じられるスタイルでしたが、その味の濃さとワインの果実味が丁度いいバランス感でしたし、どちらかが濃くなり過ぎないことで酸の明るさが活きます。黄にらは、香り等のマリアージュは特にありませんが、シャキシャキした食感が、ワインのハリのある質感にいい対比でした。
おつくりは、サワラのコクにワインのコクが中々ですし、ヒラメのコリコリした質感と旨みに、ワインの質感や旨みがよくはまりました。特に、ヒラメとの相性はもう1種類の北条甲州よりも勝っていましたね。
鱧は、ダシの旨みとよく絡んでいつつも、仄かな鱧らしい甘味が感じられ、その辺がワインの果実味・旨み・酸といい具合に噛み合ってくれました。

明るい酸と、濃くは無いのですがしっかりした質感というのが印象的でした。なるほど、畑は岩が多いと聞きますし、環境的には当然気温の低い場所ということで、そういった特徴が反映されているのかなと感じました。


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