リン酸オセルタミビル
タミフル服用の14歳男子がマンションから転落死 (仙台)2007年2月27日午前1時20分頃、仙台市宮城野区福田町1丁目のマンションの11階に住む中学2年 (14) の男子生徒がマンションから転落、全身打撲で収容先の病院で死亡が確認された。男子生徒はインフルエンザ治療薬 「タミフル」 を服用していた。まったく困ったものです。色んな意味で困るのです、このパターンの情報は。問題をすぐにでも諦視したいところではございますが、その前に簡単なタミフル情報をば…。■ 商品名 : タミフルカプセル75 ・ タミフルドライシロップ3%■ 成分名 : リン酸オセルタミビル■ 製薬会社 : 中外製薬■ 効能効果 : A型またはB型インフルエンザウイルス感染症 ・ カプセルはその予防にも使用--◆ 困りますのよ その一.厚労省の対応がいつも遅い因果関係が掴めてないのにも関わらず、何でもかんでも薬の副作用にされては、確かに困ります。ちょっと何かあると、やれ製造中止やら、そら裁判やらとなると、その薬が本当に必要な人はどうなんねん?と思わなくもないです。しかし、当該薬剤を服用後、精神変調を来たして死亡に至った小児が全5例報告されているというのも、これまた事実です。因果関係を調査するのは大いに結構ですし、むしろすべきことだと思いますが、その間、安全性に関していわゆる 「グレーゾーン」 にそれとなく収めるという態度はいかがなもんでしょ?非加熱製剤の時もそうでしたが、厚労省は副作用関連に対しては、どうしてあんなにも腰が重くなるんでしょうね。「そんな危険な薬の承認を簡単におろしやがって!」 と非難されるのを恐れているのでしょうか?ここはやはり、タミフルと精神変調の因果関係が不明なら、不明であるという回答に至った流れを、根拠あるデータ等を交えて、テレビや新聞、インターネットを媒体としたメディア報道だけでなく、厚生労働省のホームページで公式に述べて欲しいものです。現在のところ、○○が××ということもあり、また△△や□□を考慮に入れると、必ずしもタミフルが影響したとは判断出来ません。因果関係が明確となってはおりませんが、タミフル服用後はその後の体調変化に注意し、何かあったらすぐに医療機関に相談するようにして下さい。こんな感じでいいと思うので、患者サイド、それから医療従事者サイドに注意喚起すべきだと思うのですが、いかがなものでしょ?役人に向ってムチャクチャなこと、私言うてますでしょうか?--◆ 困りますのよ その二.報道内容が中途半端あのですねー、マスメディアの皆さんに言いたいことがあるんですよー。報道内容は極論を避け、端折らず正確に!まず、報道内容の不正確さを追及したいですね。タミフルは 「カプセル剤」 です。なのに報道では 「タミフルを1錠服用した…」 とか平気で言ってますよね?正しくは 「タミフルを1カプセル服用した…」 でございますわよ。何?細かいこと言うなって?ニュアンスで解るんちゃうかって?キーっ!理系の人間は、ちっこいことにこだわるねちっこい性格なんですよーだ!べー!それとですねー、伝えるならば全部を伝えて下さいよー。何ですか?あの報道内容は?「タミフルの副作用で54人が死亡」確かに、タミフルの副作用で54人の方が亡くなったというのは事実です。この部分を否定するつもりは毛頭ありません。「タミフル服用後にマンションから飛び降りて14歳の男子が死亡」 と、散々事故の詳細を解説した後に、「タミフルの副作用として過去総数54人が亡くなってる」 と言えば、インフルエンザ治療もしくは予防目的でタミフルを服用した患者のうち54人がマンションから飛び降りて亡くなったように解釈する人もいるかも知れないじゃないですか。別に私は製薬会社の回し者ではありませんが、一薬剤師として、この中途半端なメディア報道に対して、怒り心頭に発するわけです。だから、ちょっと補足させてもらいますね。タミフルは年間860万人もの方が服用しており、インフルエンザ治療薬の中でも一番売れている商品です。年間860万人ですよ!860万人!2001年2月に国内にて販売が開始されてから今年に至るまで、インフルエンザの流行度合などで需給の変動はあるでしょうけど、延べ6,000万人くらいは使ったってことになるでしょうね。となると、死亡例発症頻度は何%です?死亡総数 54人/延べ使用患者数 60,000,000人=0.0000009 → 0.00009%しかもですね、54人という死亡総数のうち小児ケースは16例、そして精神変調による事故死はそのうちの5例なんですよね。となると、服用後の精神変調による死亡例発症頻度は何%です?死亡総数 5人/延べ使用患者数 60,000,000人≒0.00000008 → 0.000008%ホント、メディアの報道の仕方には、毎度毎度いささか不快感を抱きます。視聴者の目を釘付けにしようする極論的内容、どや!インパクトがあってなんぼじゃい!みたいな新聞の見出し、もうウンザリです。勿論、薬剤における死亡例は1例たりとも出てはいけないことは百も承知です。確率の問題ではなく、有か無かの次元であることは解ってます。でもですね、タミフルのお陰で 60,000,000人-54人=59,999,946人の患者さんが長引くインフルエンザを早急に治せてるわけですよ。48時間以内に服用すれば、タミフルの効果は、それはもう絶大ですから。これは否定しようのない事実なんです。ド素人のレポーターがクチャラクチャラ話すんじゃなく、ちゃんとした医療従事者を間に立てて、専門家としての見解を聞きつつ報道してもらいたいものです。… ま、無理な話でしょうけど。