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偐万葉田舎家持歌集

偐万葉田舎家持歌集

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2023.08.01
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​​ 今日は月例の墓参。
 我が家の墓は、生駒山西麓の高みにある。
 自宅からは1km弱の距離であるが、400mほど坂道を上らなくてはならないので、「坂の上の雲」ならぬ「坂の上の墓」である。​
 途中の寺の門前の言葉は、先月(7月)のままであったので、撮影せず。
 自販機でスポーツドリンクを購入。それを飲みながら行く。

(墓地からの眺め)
 今日はよく晴れて、空気も比較的澄んでいるようで、遠く六甲の山々も淡路島もよく見える。

(同上・パノラマ撮影)
 左手奥に見える高層ビルはあべのハルカス。
 ズームアップして撮ると、こんな風です。

(同上・あべのハルカス・ズームアップ撮影)
 大阪城も見える筈と探してみるが、肉眼ではビル街に紛れ込んでいてよくは分からない。ズームアップして探してみると、発見。

(同上・大阪城・ズームアップ撮影)
 坂道途中のテニスクラブの外塀にツタの模様。

(ツタ)
 ツタは万葉でも「都多」として登場するが、これはこのツタではなく、テイカカズラのこととされている。石綱
​(いはつな)​、岩蔦(いはつた)とも表記される。
 「柿本朝臣人麻呂、石見国より妻に別れて上り来る時の歌」と題された歌の中で、「延都多乃 別之来者
(延ふ蔦の 別れし来れば)(万葉集巻2-135)という形で登場している。
 人麻呂の上の歌では、「延ふ蔦の」は、「別れ」の枕詞として使われていて、ツタそのものを詠んだ歌ではない。
 ツタは枝分かれして先へと伸びてゆくことから、別れの喩えにも使われたのだろう。テイカカズラと同じくこのツタも上掲写真のように枝分かれしつつ伸びているから、「延ふ蔦の」の蔦をこのツタとイメージしても間違いではないとも言える。
(注)テイカカズラの写真、石綱の歌は下記記事参照。
   ​ツタやイバラも花咲けば​ 2023.5.3.

 テニスクラブの少し手前の民家の脇にあるのが棗の木。
 実がなっていました。
 6月の墓参の折には小さな花をつけていたが、2ケ月でこんなにも大きな実に変貌していたのでありました。
<参考>​墓参・花散歩​ 2023.6.6.
 ナツメというのは夏芽で、初夏に芽を出すことからこの名がついたとされるが、もう実になっているからナツミと呼ぶべきか(笑)。それとも、秋になると実は茶褐色に熟し食べられるようになるから、その頃にはアキミと呼ぶべきか。

(ナツメ)
 ナツメも万葉歌に登場するが、これまでに何度か言及しているので、今回は割愛します。下掲の参考記事をご参照ください。
<参考>​墓参・ザクロとナツメ​ 2014.10.5.
    ​墓参の道すがら​ 2016.9.5.


(ハマユウ)
 そして、ハマユウの花。このハマユウも何度か記事にアップしているのであるが、上からの流れで来るとハマユウの万葉歌も採り上げなくてはならないだろう。
 と言っても、ハマユウの歌はこの1首だけなのである。
み熊野の 浦の浜木綿 百重なす 心は思へど 直に逢はぬかも
                       (柿本人麻呂 万葉集巻4-496)
​(み熊野の浦の浜木綿のように幾重にも心では恋しく思っても、直接には逢えぬことよ。)
<参考>​囲碁例会・雨にも負けず​ 2017.7.5.
    ​囲碁例会・里山散歩​ 2018.7.11.
    ​墓参・六地蔵​ 2021.7.2.


(ヘクソカズラ)
 墓地入口前の池の畔にあるアキニレの木にまとわりついていたのはヘクソカズラ。この花も万葉植物である。
 何とも酷い名前を付けられてしまった気の毒な花であるが、この名は万葉の頃からのものであるから、由緒正しき名であるとも言える。
 尤も、万葉集では単に「屎葛
(くそかづら)」であるが、今は「屁」まで付け加えられて「ヘクソカズラ」とまで呼ばれているのは「哀れなるかな」であります。
ざうけふに ひおほとれる 屎葛くそかづら 絶ゆることなく 宮仕みやづかへせむ
                        (高宮王 万葉集巻16-3855)
​​(ジャケツイバラに這い広がっている屎かづらのように、絶えることなくいつまでも宮仕え致しましょう。)
<参考>​春夏連覇の大阪桐蔭高校の前を通って​ 2012.8.24.
​ 最後はサルスベリの花。
 サルスベリは漢字では「猿滑」であるが、普通には「百日紅」と漢字表記される。
 百日紅は漢名である。この漢名からヒャクジツコウとも呼ばれるが、中国原産の植物。
 わが国には江戸時代以前には入って来たとされるが、万葉人はこの花を知っていたのかどうか。万葉には登場しない花である。


(サルスベリ)
 サルスベリは中国では「紫微」とも呼ばれるが、これは、唐の時代、長安の宮廷(紫微)に多く植えられていたことによるとのこと。
 紫微というと、天平勝宝元年(749年)に設置された令外官・紫微中台とその長官となった藤原仲麻呂のことなどが想起されるが、勿論、これらとサルスベリとは何の関係もない。
<参考>​紫微中台​・Wikipedia
 猿も滑るというサルスベリの木。
 滑った猿が坐るのがサルノコシカケ。
 そのサルノコシカケが破壊されていました。
​​​​
(壊されたサルノコシカケ)
 これは、今日の写真ではなく、先月(7月)22日に撮影のもの。
 7月20日の記事で紹介した、加納緑地のサルノコシカケがその二日後に行ってみると、このように壊されていたのである。遊びにやって来た子どもが壊したのだろうと思うが、猿が困っているかも。
<参考>​キノコも元気​ 2023.7.20.
 いや、7月20日の記事では、そのサイズからネコノコシカケと名付けたような気がするので、困っているのは猫かもしれない(笑)。
<参考> 墓参関連の過去記事は​コチラ​。
<参考>花関連の過去記事​​​​​​​
    ​花​​​(5)​・2022~​
    花(4)​・2020.4.~2021
    花(3)​・2017~2020.3.
    花(2)​・2012~2016
    花(1)​・2007~2011






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最終更新日  2023.08.01 23:41:34
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