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偐万葉田舎家持歌集

偐万葉田舎家持歌集

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2023.08.14
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​​​​​​​ ​日(13日)はお盆を控えての墓参でした。
 いつもとは違って、往路復路共に池の辺の細道を辿って、墓への坂道に出る裏道ルートを採用。このルートだと坂道を少し上った処にあるいつもの「門前の言葉」の寺のすぐ近くで墓への坂道に出ることになる。
 かつては、墓参はこの裏道ルートで行くことが多かったが、最近は滅多にこの道は歩かない。

(墓地からの眺め)
 お盆とあって、いつもより墓参の人の姿が多い。
 朝とは言え、既に10時近くになっていたので、急な坂道を上って行かねばならない墓参は、汗、汗、汗である。
 暦の上では、立秋も既に過ぎ、夏の終わりを告げるツクツクボウシの鳴き声を、今年初めてこの墓参の道で耳にしたものの、残暑も亦猛暑の状態が続くようだ。

(同上)
 さて、今回は、墓参を済ませての帰り道、その裏道ルートで見かけた草木の写真を紹介します。
 先ずは、アカメガシワ。
 アカメガシワはこれまでに何度かとりあげているので、過去記事と重複した記述になっていたら、ゴメンナサイであります。

(アカメガシワ)
<参考>​アカメガシワ​・Wikipedia

(同上)
 アカメガシワは万葉集に登場する「久木
(ひさき、ひさぎ)」だとされる。
​​​
ぬばたまの 夜のふけゆけば 久木ひさきふる 清き川原かはらに 千鳥しば鳴く
                           (山部赤人 万葉集巻6-925​​

去年​(こぞ)咲きし 久木(ひさき)今咲く いたづらに (つち)にか落ちむ 見る人なしに
                               (万葉集巻10-1863

波の間ゆ 見ゆる小島の 浜久木(はまひさき) 久しくなりぬ 君に逢はずして
                               (万葉集巻11-2753

​渡会​(わたらひ)の 大川(おほかは)()の 若歴木(わかひさき) わが(ひさ)ならば 妹恋ひむかも
                   (柿本人麻呂歌集 万葉集巻12-3127
​​

​​​
(同上・実)
 この木は、雌雄異株で、雄株と雌株がある。
 今回目にしたアカメガシワの木は実がなっていたから、雌株の木ということになる。
 下の写真のように、大きな池の岸辺にこの木は生えていました。
 上の山部赤人の万葉歌では、吉野川に流れ込む「象の小川」の川原に生えていたようだが、こちらは、墓へと続く池の辺の道に生えていたのであり、 時刻も、赤人歌のそれは夜、こちらのそれは朝である。
 従って、千鳥がしきりに鳴くということはなく、時折、池に棲む鯉たちが跳ねてたてるパシャッという音がするだけなのでありました。
 松尾芭蕉ならぬ、杉尾馬笑なら、古池や 鯉の跳ねたる 水の音 とでも句作するのでしょうが、ここは偐万葉なので、山部赤人ならぬ、池部青人で短歌と参りましょう。

墓参り 朝道(あさみち)ゆけば 久木(ひさき)生ふる 古池(ふるいけ)()に 鯉また跳ねる (池部青人)

(同上・実)
​​
 「久木」はアカメガシワの木だと述べたが、諸説あって何とも定まらない不詳の木である。元々は「久しい時を経た木」という意味であるから、特定の種類の木を指した言葉ではなく、樹齢の古い木一般を指すという解釈もありうるだろう。雑木説はこれに該当する。
 また、シバの類を指すという説もあるほか、キササゲの木だという説などもある。
​​​ しかし、今回はアカメガシワを目にしたのだから、ここではアカメガシワ説を採用しなければならない(笑)。
 因みに、キササゲ説もあると述べましたが、その木を実際に目にしたことがなく、従って、ヤカモチの手許にはその写真がない。
 多くの人もヤカモチと同様だろうと思うので、
参考までにWikipedia記事に掲載のキササゲの木の写真を、以下に転載して置きます。

(キササゲ Wikipediaに掲載の写真を転載)
<参考>​キササゲ​・Wikipedia
 次はヒメツルソバ。

(ヒメツルソバ)<参考>​ヒメツルソバ​・Wikipedia
 ヒメツルソバはヒマラヤ原産のタデ科の植物。
 5月から秋にかけてが花期にて、金平糖のような球状の花を咲かせるが、真夏には花がいったん途絶えるので、今は花が見られない。葉がある茎の部分が地面に接しているとそこから根を出し、地面を這うようにして横に広がって行く草で、近ごろは道端でよく見かけるようになった。
 ヒメツルソバの生えていた道端の先で、石垣の隙間からモジャモジャ、フサフサという感じで生えている草が目に入った。カニクサである。

(カニクサ<別名:ツルシノブ>)<参考>​カニクサ​・Wikipedia
 カニクサはシダの仲間。
 ツルのように延びているのは茎ではなく、本当の茎は地面の下にあり、地上に顔を出しているのは、葉だという。この茎・ツルのように見える部分は葉の主軸であり、これら全体が構造的には一枚の葉であるとのこと。
 まあ、ワラビやゼンマイなどの地上部は葉であり、茎は地下にあるのと同様であるが、このカニクサの茎のように見える葉の主軸の先端は無限成長するようになっていて、茎と同じ機能を有している。
 シダの地上部を引っ張っても、それは地下部の茎から伸びた葉を引きちぎることになるだけで、通常の草のように根こそぎに引き抜くことはできない。地下部の逞しく太い茎とそこから延びる根は無傷・健在なのである。
 このように石垣の隙間の奥から延びているカニクサは、ビッグモーターよろしく除草剤でも注入散布しない限り、その除去は不可能であるだろう。
 以下の写真は、墓参の帰り道で撮影したものではなく、その日の夕刻に散歩に出た際に、この裏道ルートをまた歩くということがあったので、再度、これを撮影したものであります。

(同上)

(同上)
 石走る垂水の上の早蕨の萌えいづる春、は万葉的であるが、石垣の隙間の奥に蟹草のはびこれる夏、は偐万葉的と言うべきか。

 さて、大型で強い台風7号が今夜から明日(15日)にかけて東海、近畿に接近、上陸とか。
 予想進路では我が家のある地域がその中心線付近に当たっている。
 トラックが横転するほどの猛烈な風が吹くとの予想。
 自宅敷地内の、強風で吹き飛ばされる危険性のあるものは、片づけたり、飛ばされないように括り付けたりするなど、風対策をそろそろして置くこととしますか。
​​​​​​​
<参考> 墓参関連の過去記事は​コチラ​。
<参考>花関連の過去記事​​​​​​​
    ​花​​​(5)​・2022~​
    花(4)​・2020.4.~2021
    花(3)​・2017~2020.3.
    花(2)​・2012~2016
    花(1)​・2007~2011





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最終更新日  2023.08.14 11:34:07
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