まさかの喋り疲れ。
先日、いつも苦手だと書いている美容院に行きました。いつものごとく、同じ美容院内で指名はせず、行った時に空いていた美容師さんにカットをお願いしました。先日の水島氏の日記にもありましたが自分より技術のある人を前にすると僕も狼狽してしまうタイプの人間なので指名なんておこがましくてできなくていつも「空いていれば、どなたでも平気です」と言ってしまいます。そんな訳で今回も初めての美容師さんにカットしてもらうことになりました。最近カットをするようになったという女性の美容師さんだったのですがいつもの「今日はお休みですか?」というお決まりの美容院会話は始まらず、ちょっと変わった会話のやり取りに今回の美容院はなかなか楽しめました。会話のテーマは「電車の話」「○○線ってよく乗ります?」といきなり彼女は口火を切りました。僕は都心に出るには必ずその線を使うのでいきなりの質問に面食らいつつも「ああ、そうですね…」と答えました。すると彼女は「じゃあ、パンのおばさん知ってます?」と続けます。僕は何のことやら分からなかったので「…いや」と答えました。「あー知りませんかー?いつもスーパーの袋にぎっしりのパンを持って乗ってて優先席でバクバク食べてるんですよー。」と彼女。「いや、見たことないですねー。」というと「じゃあ是非今度探してみてください。終電近くに主に○両目辺りの優先席にいるんで」と熱弁する彼女。そして彼女は「ほんと電車って面白いですよね」と会話を締めました。と思ったんですが、次に出てきた会話も「じゃあ、○○線って夏にアロマ車両あったの知ってます?」と、再び電車話を続けます。彼女曰く「去年ぐらいから夏にはアロマの香りを電車内に振りまいている車両がある」らしいのです。それも僕は知らなかったので「ほんとですか?知らなかったです」というと本気でがっかりしたのか、大きなため息をつき「ああ、知りませんか…。これほとんどのお客さんに聞いてるんですけど知ってた人まだ一人しかいないんですよね」と言った後、「でも、ほんとですから!来年の夏、確かめてください」と念押しされました。ここで電車話は終わり。と思ったんですが今度は「何か、面白い話ありませんか?電車の」とこちらに話を振ってきました。美容院での会話といえばこちらはたいてい美容師さんの質問に答える程度と思っていたので話を要求されたことに驚きましたが、日頃、このブログにも電車ネタを書いていることも幸いしてS字フックを持込み、つり革に買い物袋をぶら下げるおばさんの話や座席に並んで座っている3人の靴が全く同じだった話などをし、電車話をつなげました。この時点でカット、シャンプーまで終わり、残すはブローと仕上げのカットのみ。シャンプー台から座席に戻り、ドライヤーをかけ始めた彼女はやっと美容院会話らしい話を始めました。「お仕事は何をされてるんですか?」と聞かれたので「あ、舞台関係の仕事を…」と言うと彼女は「え、何ですか?」と聞き返してきます。ドライヤーの音で聞こえなかったんだなと思い、もう一度同じ事少し大きめの声で言うと、「へぇ、どんな仕事なんですか?」と彼女。「音響とか舞台監督とか…」と言い掛けると再び「え、何ですか?」と聞き返される。こんな質疑応答崩れを何度か繰り返しているうちにブローは終了。途中でちゃんと仕事の内容を伝えることを諦めた僕は最後の仕上げのカットという短い時間に自分の仕事内容を説明し、カットを終えました。結果、初めて会話に詰まることなく美容院を終えることが出来ましたが何だか妙に疲れたカットでした。会話自体は面白かったのですが、きっと次回も指名はせず、行き当たりの美容師さんに任せるんだろうな、と思いながら髪が短くなって、夜の風を冷たく感じる頭で帰路についたのでした。 KUMA