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カテゴリ:過去 実家に戻ってから
大学四年生の学園祭の時
研究室で出店を開いていた。 下っ端だった私たち四年生は昼夜を問わず働いていた。 当時の彼はちょくちょく顔を出してくれた。 忙しかった私は、ゆっくり話したりできなかったけど 分かってくれていると思っていた。 思っていたのに 信じていたのに 学園祭が終わって彼から別れを切り出された。 理由は”かまってくれなくて淋しかったから” 私は混乱した。 何故?どうして? 長い長い電話の中で他の女の子を好きになったと彼は白状した。 私の中で何かがプツンと切れた。 別れを私のせいにしたと逆上した。 包丁を持ち彼の部屋までタクシーで向かった。 早朝のタクシーの中、運転手とにこやかに会話する私がいた。 手元のバッグには包丁がしのばせてあったのに。 彼の部屋に着くと彼は部屋の隅っこでガタガタ震えて泣いていた。 殺される・・殺される・・ そんな彼を見て私は全てが終わったことを悟った。 抱きしめて欲しかったのに 嘘だと言って欲しかったのに 仲直りしたかったのに バカなことするなと包丁を取り上げて欲しかったのに やり場のない気持ち 行き場を失った手の中の包丁 ・・気がつくと包丁を口にくわえていた お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2004年10月25日 10時58分10秒
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