そして人格の崩壊が始まった
包丁をくわえて少し落ち着いた私は考えた。”この状況はかなり異常だ。何とかしなければ・・”口から包丁を離しぼんやりしていた。右の首の後ろがぐるぐるする。「おびえる子供」が出てきて泣く。彼が殺される・・あの人が怒っている・・誰か助けてまたぐるぐるが始まる。「言葉で怒る人」が出てくる。彼はやってはいけないことをやった。殺されて当然だ。二人が入れ替わり立ち代わり会話する。ふっと素の自分に戻る。保健センターに連れて行ってくれと彼に頼む。ぐるぐるが始まるとまた別の人格になっているようだ。素の自分は体から少しずれたところでぼんやり眺めている。子供が泣く、冷徹に彼の非を責める、また子供が混乱して泣く・・何かを口にくわえて、思いっきり噛んでいると落ち着いてくる。自分に戻れそうな気がする。包丁はドクターに取り上げられてしまった。仕方ないので右手の手首の甲を噛む。歯型がくっきりとできる。精神科への緊急入院が決まった。